おはようございます。Trader MTです。昨日のドル円は米指標を受けてじわじわと水準を切り下げたものの、高値圏レンジ内の調整にとどまっています。今日はウォラー理事とウィリアムズ総裁の発言で、利下げペースに対する見方がどう動くかが最大のポイント。夜のヘッドライン次第で相場の空気が変わる可能性もあるので、ポジション管理に気を配りつつ、今日の見通しを確認していきましょう😌(公開時刻:07:42/日本時間)
昨日の振り返り
昨日のドル円は、前日の米雇用統計や小売売上高をはじめとする一連の米指標の結果を消化する過程で、米金利の低下とドル売り優勢の流れが意識され、じりじりと水準を切り下げる展開となりました。東京時間では155円台前半でもみ合いが続いたものの、欧州・NY時間にかけては雇用・賃金・消費指標を受けた利下げペース加速観測が意識され、ドル円は一時154.39円まで下落。その後は155円手前では押し目買いも入り、終盤にかけて154円台後半まで持ち直したものの、前日比ではややドル安・円高方向に振れて取引を終えています。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月16日 | 155.208 | 155.244 | 154.394 | 154.688 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
12月16日の東京時間のドル円は、155.20円前後で取引をスタートしました。前日のNY時間で米指標を控えた思惑から上値の重さが意識されていた流れを引き継ぎ、序盤から155円台前半でのもみ合いが中心となりました。日経平均株価は小高く始まったものの、既に高値圏にあることから利益確定売りも出やすく、株高を手掛かりにした積極的な円売りにはつながりにくい状況でした。
午前からお昼にかけては、前日の米指標の内容を織り込みつつ、市場全体が「利下げサイクル入りの流れの中で、どこまでドルの上値を追えるのか」を探る時間帯となりました。155円台半ばでは戻り売りが意識されやすく、じわじわと水準を切り下げる動きが優勢となった結果、東京時間の後半には154円台後半を試す場面も見られました。ただし、155円ちょうどを割り込む水準では本邦実需筋の買いも散見され、大きく崩れるというよりは「高値圏からのスピード調整」をこなす動きにとどまりました。東京クローズにかけては、欧州勢の参入を前にポジションを軽くするフローも加わり、154円台後半〜155円ちょうど手前での推移となっています。
欧州・NY時間
欧州時間に入ると、ドル円は154.90円前後で再スタートしました。欧州株式市場は総じて落ち着いた値動きとなり、ユーロ圏の金利も大きな方向性を欠くなかで、為替市場も「前日の米指標の評価を改めて確認する」ようなトーンが続きました。利下げサイクル入りを意識した米金利低下観測が背景にある一方、景気そのものは急激な悪化には至っていないとの見方も根強く、ドル円は154円台後半〜155円ちょうどを挟んで上下に振れながらも、方向感の出にくい展開がしばらく続きました。
NY時間入り後は、前日の雇用統計や小売売上高の数字を改めて吟味する流れが優勢となり、米長期金利は一時的にさらに低下する場面も見られました。雇用・賃金・消費指標はいずれも「景気の腰折れとまでは言えないものの、利下げ加速を全否定するほどの強さではない」と受け止められ、マーケットは利下げペースをめぐる不透明感を抱えたまま、ややドル売り方向に傾く形となりました。結果として、ドル円は欧州時間から続いていたじり安基調を引き継ぎ、NY時間序盤にかけて154.39円まで下落し、日中安値を更新しています。
もっとも、154円台前半から半ばにかけては、前日までの下落局面で売りポジションを積み上げていた向きの利益確定や、本邦勢を中心とした押し目買いも入りやすく、売り一辺倒の流れにはなりませんでした。NY後半にかけては、次の材料として意識されるFRB要人発言や、週後半の指標を見据えたポジション調整も相まって、ドル円は154.60〜154.80円台を中心としたレンジに収れん。最終的には終値154.69円前後と、前日から水準を切り下げつつも、155円台を大きく割り込んでトレンド転換を示すほどの下落には至らず、「高値圏の中で一段階下にシフトしたレンジ」を形成して取引を終えています。
今日の注目材料
| 時間 | 通貨 | 指標 | 重要度 | 前回 | 予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 22:15 | 🇺🇸 | FRB理事ウォラー氏の発言 | ⚡⚡️ | - | - |
| 23:05 | 🇺🇸 | NY連銀総裁ウィリアムズ氏の発言 | ⚡⚡️ | - | - |
12月17日(水)は、米国のFRB要人発言が相次いで予定されている点が最大の注目材料となります。日本時間22時15分にはウォラーFRB理事の発言が予定されており、その後の23時05分にはウィリアムズNY連銀総裁の発言が控えています。いずれもFOMC内で発言力の大きいメンバーであり、前回会合での利下げ開始や、今後の利下げペースに対してどのようなスタンスを示すのかが焦点となります。
市場が特に注目しているのは、インフレ鈍化と景気減速のバランスに対する評価です。景気指標に弱さが見られる一方で、インフレが完全に落ち着いたとは言い切れない中、ウォラー理事やウィリアムズ総裁が「利下げはあくまで緩やかに進めるべき」といった慎重なスタンスを強調するのか、それとも「必要であれば追加利下げも辞さない」といったニュアンスをにじませるのかによって、米金利とドルの方向性は大きく変わる可能性があります。
利下げペースを抑制するようなタカ派寄りの発言が目立てば、前日までのドル売りの巻き戻しが入りやすく、ドル円は155円台を回復する地合いが整いやすくなります。一方で、景気の下振れリスクや利下げ余地について踏み込んだハト派寄りのメッセージが出れば、利下げ加速観測が意識されて米長期金利の低下とドル売り・円買いの流れが再燃する可能性も否定できません。
今日の見通し
今日のドル円は、前日の米雇用・賃金・消費指標の評価を一通り織り込んだうえで、FRB要人発言を通じて「利下げサイクルのペース」を改めて見極める一日になりそうです。
ファンダメンタルズ分析
足もとの市場はすでに「利下げサイクル入り」という大きな枠組みを意識しつつありますが、そのペースや最終的な金利水準については、依然として不透明感が残っています。今回の雇用統計と小売売上高は、
足もとでは、非農業部門雇用者数の増加ペースが落ち着きつつある一方で、失業率は歴史的に見れば依然として低位にとどまり、平均時給も過去の水準と比較すればなお高めの伸びを維持しています。小売売上高や製造業関連指標には減速感がにじんでいるものの、「急速な景気後退」と評価するほどの弱さではないというのがマーケットの大まかなコンセンサスです。このため、利下げサイクル入りという方向性は変わらないものの、そのペースが「なだらかなものにとどまるのか」「やや前倒し気味に進むのか」が焦点となっています。
ドル円の水準感としては、155円台後半〜156円台を頂点とする高値圏から一段下にシフトし、154円台後半〜155円台前半あたりに重心を移しつつある状況です。米サイドが利下げペース加速の可能性をにおわせるようなメッセージを出せば、ドル売り・円買いの調整がもう一段進む余地があります。一方、FRB要人がインフレ再燃リスクや労働市場のタイトさに言及しながら慎重な姿勢を崩さなければ、足もとのドル売りが行き過ぎだったとの見方が強まり、155円台回復に向けたドル買い戻しが出やすい地合いとなるでしょう。
日本側では、日銀の政策スタンスに目立った変化はなく、マイナス金利解除や追加利上げの議論は続いているものの、短期的には米金利動向の方がドル円の方向性に与える影響は大きい状況が続いています。したがって、今日の相場は「米金利の微妙な上下にドル円が素直に追随しやすい一日」と位置づけつつ、FRB要人の発言内容と債券・株式市場の反応を丁寧に確認していくことが重要になりそうです。
テクニカル分析

チャート面からは、ドル円の日足はこれまでの高値圏レンジからやや下方向に重心を移しつつも、中長期のトレンドそのものはまだ崩れていない状態がうかがえます。昨日のローソク足は、高値155.244円に対して安値154.394円と下方向への値幅をやや広げつつ、終値154.688円と始値を下回る陰線となりました。ただし、安値圏からはある程度切り返して引けていることから、154円台前半では一定の押し目買いが入っていることも示唆されています。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
移動平均線を見ると、25日移動平均線は依然として緩やかな右肩上がりを維持しており、中期の75日線と長期の200日線も大きく形を崩してはいません。三本の移動平均線がすべて上向きで、短期線が長期線を上回る順ザヤ構造はギリギリ保たれていると考えられ、中長期的な上昇トレンド自体は継続中と評価できます。ただし、足もとのレートは25日線にかなり接近してきており、154円台後半〜155円ちょうどのゾーンは「短期トレンドが維持されるか、それとも調整が一段深まるか」を見極めるうえで重要な攻防ラインとなりそうです。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
一目均衡表では、価格はなお雲の上方に位置しているとみられる一方で、転換線や基準線はここ数日横ばいに近づきつつあり、スピード感のある上昇トレンドから一歩下がって、高値圏での持ち合いと調整が続いている印象です。154円台後半〜中盤にかけては、転換線や基準線が重なりやすいゾーンでもあり、この帯を下抜けるような値動きとなった場合には、日足レベルで調整が一段と深まる可能性が意識されます。逆に、この帯の上側で持ちこたえることができれば、押し目買いを意識したスタンスが引き続き取りやすいと考えられます。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDを確認すると、ゼロラインより上のプラス圏を何とか維持しているものの、MACD線とシグナル線の乖離は縮小傾向にあり、ヒストグラムのプラス幅もごく小さな状態です。モメンタムが徐々に弱まりつつあることを示す形となっており、今後デッドクロスが明確になってくる場合には、高値圏からの調整がもう一段進むシグナルとして意識される可能性があります。一方で、今日のFRB要人発言をきっかけに上方向へのモメンタムが回復するようであれば、再びMACDがシグナル線から上方へ離れ、上昇トレンド再開への期待が高まる場面も出てきそうです。
これらを総合すると、目先の下値めどとしては154.50円近辺、その下では154.00円台前半が意識される一方、上値については155.50円〜156.00円近辺が戻り売りのポイントになりやすく、当面は154円台後半〜155円台半ばを中心としたレンジを想定しながら、その外側のブレイクの有無を見極めていく局面といえそうです。
シナリオ分析
今日のドル円は、FRB要人発言を通じて「利下げペース」に対する市場の見方が微調整されるなかで、現在の高値圏レンジを維持できるのか、それとも一段下にシフトするのかを探る一日になりそうです。
↗️ 上昇シナリオ(確率45%)
上昇シナリオでは、ウォラー理事やウィリアムズ総裁がインフレ再燃リスクや労働市場のタイトさに言及し、利下げペースの加速に対して慎重な姿勢を改めて示すケースを想定します。この場合、市場が織り込んでいる利下げ期待の一部が修正され、米長期金利が下げ渋る、あるいは小幅に反発する可能性があります。その結果、前日まで続いていたドル売りの巻き戻しがじわりと進み、154円台後半〜155円ちょうどを起点に、155円台半ば方向への自律反発が試される展開も視野に入ってきます。テクニカル面で意識されている155.50円近辺をしっかりと回復できれば、156円台方向への戻り余地も出てくるでしょう。
↘️ 下落シナリオ(確率55%・メインシナリオ)
一方、下落シナリオ(こちらをややメインシナリオ寄りで見ています)では、FRB要人の発言が総じて慎重な景気見通しやインフレ鈍化の進展に重心を置き、必要に応じて追加利下げの余地に言及するような、どちらかと言えばハト派寄りのトーンとなるケースを想定します。この場合、利下げペース加速への思惑が再び強まり、米長期金利は低下圧力を受けやすくなります。ドル円は154円台半ばのサポートを下抜けて154.50円近辺を試しに行く展開となり、そこでも下げ止まりが確認できない場合には、154円ちょうど前後まで調整が広がる可能性も出てきます。もっとも、中長期のトレンド自体はなお上向きであるため、154円台前半までの下押しが進んだ場合には、改めて押し目買いの好機とみなす向きも多くなりそうです。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
東京時間は、前日の米指標とドル安・円高方向への調整を一旦織り込んだあとということもあり、154円台後半〜155円ちょうど前後を中心としたレンジ取引になりやすいと考えられます。仲値にかけては輸入企業のドル買いが下値を支える一方、155円を明確に上抜ける局面では、前日からの戻り売りスタンスを維持している向きの売りも出やすく、方向感に欠ける時間帯が続きそうです。
国内から新たなサプライズ材料が出る可能性は現時点では高くなく、むしろ市場参加者の関心は「今夜のFRB要人発言で利下げペースにどの程度踏み込んだ話が出るか」に向いています。そのため、東京時間の値動きは、欧州・NY勢にとって「どの水準で今日の取引をスタートさせるか」を測るための手掛かりとして位置づけられやすく、レンジの中でのもみ合いを想定しつつも、154円台半ば割れや155円台半ば超えといった節目の手前では一旦ポジションの軽量化を図るような動きになりやすいでしょう。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入ると、東京時間で形成されたレンジを引き継ぎながら、ロンドン勢がFRB要人発言を前にポジションを整える時間帯になります。欧州株や欧州債の動きに連動して、一時的にリスクオン・リスクオフのフローが出る場面も考えられますが、基本的には154円台後半〜155円台前半の範囲内で、方向感を探るような値動きが続くとみるのが自然です。
NY時間に入ると、22時15分のウォラー理事の発言と23時05分のウィリアムズ総裁の発言が相次ぐため、この時間帯はヘッドラインに振らされる場面が増えやすくなります。発言内容がタカ派寄りと解釈されれば、米長期金利の反発とともにドル円が155円台を回復する動きが強まる可能性がありますし、逆にハト派寄りと受け止められれば、再び154円台を試す展開となることも想定されます。どちらに振れたとしても、最初の一波は過度に追いかけず、金利と株価の反応がある程度落ち着いた段階で、トレンドとして継続し得る動きなのかを見極めながら対応することが重要な時間帯になるでしょう。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:154.30円〜156.00円
足もとの値動きを踏まえると、154円台前半では押し目買いが入りやすく、155円台後半〜156円ちょうど付近では戻り売りが意識されやすい環境です。FRB要人発言をこなすまでは、このレンジ内での取引を基本シナリオとし、上下どちらかへのブレイクが見られた場合にも、その継続性を慎重に判断していく必要がある局面だと言えます。
🔀 上値抵抗線:155.50円、156.00円
上方向については、まず155.50円前後が意識されます。この水準は短期的な戻り高値が集中しやすいゾーンであり、いったん利食い売りや新規の戻り売りが出やすいポイントと考えられます。その上では156.00円ちょうど付近が次の上値の目安となり、この水準を明確に上抜けることができれば、高値圏レンジの上側を再び試す動きが意識されやすくなります。
🔀 下値支持線:154.50円、154.30円
下方向については、154.50円近辺が最初のサポートとして意識されます。前日の安値154.39円にも近く、この周辺では押し目買いやショートカバーが入りやすいとみられます。ここを割り込んだ場合には、154.30円前後が次の防波堤として意識され、このゾーンを明確に下回るようであれば、高値圏レンジから一段下の価格帯へシフトする動きとして警戒が必要になってきます。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向については156.00円ちょうどをしっかり上抜けたうえで、日足ベースで156円台を維持して引けるかどうかが重要です。この条件を満たした場合には、157円方向への上値トライが改めて視野に入ってきます。下方向については、154.30円前後のサポートを明確に割り込み、日足が154円台前半、あるいはそれをさらに下回る水準でクローズするようであれば、高値圏での持ち合いから一段深い調整局面へ移行したと市場に受け止められやすくなり、次のターゲットとして153円台後半〜前半あたりが意識される可能性も出てきます。
⚠️ 注意すべきリスク要因
今日は経済指標そのものの発表は限られるものの、FRB要人発言が相次ぐことで、金利とドルの方向感が短時間で変化しやすい局面となります。ヘッドラインの一部だけが先行して報じられた場合、市場がそれを過度に拡大解釈して一方向に走ったあと、全体の文脈が確認されてから逆方向に巻き戻される「ヘッドライン・リバーサル」が起こる可能性もあります。特にNY時間後半は流動性が徐々に細りやすく、まとまったフローが入った際の値動きが大きくなりやすい点にも注意が必要です。
☑️ 投資判断における留意点
今日のようにイベントドリブンの相場が続く局面では、「どの水準でリスクを取るのか」と同時に、「どこではあえてポジションを持たないのか」を事前に決めておくことが大切です。レンジの真ん中付近で短期的な値動きだけを頼りに売買を繰り返すほど、ノイズに飲み込まれやすくなります。
エントリーを考える場合は、自分の中で重要と考える支持線・抵抗線にできるだけ引きつけてからポジションを取ること、そしてエントリー前の段階で「ここまで逆行したら必ず損切りする」という水準をレートと金額の両面で具体的に決めておくことが、結果的に資金とメンタルの両方を守ることにつながります。高値圏レンジが続く今のような相場では、一度に大きく狙うというよりも、ルールどおりに負けを小さくコントロールし続けることが、トータルのパフォーマンスを安定させるうえで非常に重要になってきます。
免責事項
本記事は、為替相場の動向に関する一般的な情報提供・分析を目的としたものであり、特定の通貨ペアの売買や投資を推奨するものではありません。投資判断は、読者ご自身の責任と判断において行ってください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト運営者は一切の責任を負いません。