おはようございます。Trader MTです。FOMC後の利下げサイクル入りを意識しつつも、ドル円は155円台半ばを中心に高値圏レンジでの持ち合いが続いています。今日は日銀短観と米FRB要人発言が控えており、このレンジを上に抜けるのか、それとも調整が深まるのかを探る一日になりそうですね。それでは、今日もサクッと相場のポイントを確認していきましょう😌(公開時刻:07:35/日本時間)
先週末の振り返り
先週末のドル円は、FOMC後の利下げサイクル入りという大きなテーマを意識しつつも、米長期金利の下げ渋りと株式市場の底堅さが意識され、155円台半ばを中心とした小幅レンジの中でじり高となる展開でした。東京時間では156円台前半で上値の重さを確認しながらも下値は限定的で、その後の欧州・NY時間にかけて押し目買いが優勢となり、終値は155.799円と前日から水準をわずかに切り上げてクローズしています。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月12日 | 155.576 | 156.128 | 155.446 | 155.799 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
12月12日の東京時間のドル円は、155.57円前後で取引をスタートしました。序盤は前日までの下押しの反動もあり、155円台後半から156円ちょうど近辺にかけて底堅く推移しましたが、週末ということもあって新規のポジションを積み上げる動きは限定的でした。日経平均株価は堅調さを維持したものの、高値圏での利益確定売りも意識され、株高をきっかけとした一方的な円売りにはつながらず、ドル円は156円台前半で上値を抑えられる時間帯が続きました。
午前からお昼にかけては、FOMC後の利下げサイクル入りを意識した米金利低下観測と、前日までの戻り売りフローの名残もあって、短期筋を中心に上値を試す動きと戻り売りが交錯する展開となりました。それでも、155円台半ばに近づく場面では実需筋の押し目買いが下支えとなり、155.40〜60円台では底堅さが意識されました。東京時間の後半にかけては、欧州勢の参入を控えたポジション調整も入りつつ、155.70〜156.00円前後を中心としたレンジに収れんして欧州時間へとバトンを渡しています。
欧州・NY時間
欧州時間序盤、ドル円は155.80円前後で取引を再開しました。欧州株式市場は総じて落ち着いた推移となり、リスクオン・リスクオフいずれにも大きく傾かない中で、為替市場も方向感に乏しいスタートとなりました。ただ、FOMCを無難に通過したことで「利下げ局面入りは織り込みつつも、急激な景気悪化にはつながっていない」という評価が広がっており、米金利の下げ渋りや株価の底堅さを背景に、じわじわとドル買い・円売りが優勢となる場面も見られました。
欧州時間の後半からNY時間前半にかけては、155円台後半〜156円台前半のレンジ内で上値・下値を何度か試す動きが続きました。テクニカル面で意識されていた155.50円近辺では押し目買いが入りやすく、一時的に155.44円まで下押しする場面はあったものの、そこでの下げは比較的短時間で吸収されました。一方、156.10円台まで持ち上がる局面では戻り売りも散発的に出ており、高値追いの勢いが一気に強まるというよりは、「高値圏レンジの上限を試しながらも、週末を前にした様子見ムードも残る」といったバランスの値動きとなりました。
NY後半にかけては、週末を控えたポジション調整と実需フローが中心となり、ドル円は155.80円近辺で比較的落ち着いた動きを維持。結局、始値155.576円に対し終値155.799円と小幅高で週末の取引を終え、「利下げサイクル入りを織り込みつつも、すぐにトレンドが反転するほどのドル売りには至らない」という、やや複雑なセンチメントを反映した一日だったと言えそうです。
なお、週末から週明けのオセアニア・早朝時間帯にかけてのドル円は、155円台後半を中心とした小幅な値動きにとどまっており、材料待ちのなかで落ち着いたスタートとなっています。
今日の注目材料
| 時間 | 通貨 | 指標 | 重要度 | 前回 | 予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 08:50 | 🇯🇵 | 第4四半期日銀短観 | ⚡⚡️⚡️ | +14 | +15 |
| 23:30 | 🇺🇸 | FRB理事ミラン氏の発言 | ⚡⚡️ | - | - |
| 24:30 | 🇺🇸 | NY連銀総裁ウィリアムズ氏の発言 | ⚡⚡️ | - | - |
今日の東京時間でまず注目されるのは、朝8時50分に発表される第4四半期の日銀短観です。大企業製造業・非製造業の業況判断DIや先行き、設備投資計画などを通じて、日本経済の現状と見通しを一度にチェックできる重要な指標であり、日銀の政策運営にも大きな影響を与えるデータと位置づけられています。
市場の関心は、①世界的な需要減速や為替動向を織り込んで企業マインドがどこまで悪化しているのか、②賃上げや設備投資計画がどの程度維持されているのか、③物価見通しがどれだけ「2%目標」に近い水準で定着しているか、という3点に集まりやすいと考えられます。企業マインドの悪化や投資計画の下振れが強く意識される結果となれば、日銀の一段の正常化観測がやや後退し、円売り方向に傾きやすくなる一方、想定より底堅い内容となれば「賃金・物価の好循環」が意識され、円買い材料として受け止められる可能性もあります。
一方、NY時間にはミランFRB理事とウィリアムズNY連銀総裁の発言が相次いで予定されています。ともにFOMC内で重要な発言力を持つ立場にあり、直近の利下げ決定や今後の利下げペースについて、どの程度踏み込んだコメントが出てくるかに注目が集まりそうです。インフレ鈍化の評価や労働市場の見通し、さらに「次の一手」に関するニュアンスによっては、米金利とドルの方向感を左右する一因となり得るため、ヘッドラインと金利の反応を合わせて確認しておきたいところです。
今日の見通し
今日のドル円は、東京時間の第4四半期・日銀短観と、NY時間のFRB要人発言という日米双方の材料をこなしながら、「利下げサイクル入りを意識しつつも、高値圏レンジを維持できるのか」を探る一日になりそうです。
ファンダメンタルズ分析
日本側では、日銀が物価・賃金の好循環をどの程度「定着」とみなすかが、今後のマイナス金利解除や追加利上げのタイミングを占ううえで重要なポイントとなっています。短観で設備投資や雇用計画が堅調さを維持しているようであれば、日銀の正常化議論を後押しする材料となり、中長期的には円の下支え要因になる一方、足もとでは「早期の追加利上げ」を正面から織り込むには至っておらず、短期的には米金利やドル指数の動きに振らされやすい状況が続きそうです。
米国側では、FOMCによる利下げ開始を受けて、「今後どの程度のペースで利下げを進めるのか」が最大のテーマとなっています。ミラン理事やウィリアムズ総裁が、インフレ鈍化を評価しつつも急速な緩和には慎重な姿勢を強調するようであれば、金利の下げ渋りを通じてドル買い戻しの動きが入りやすくなります。逆に、追加利下げに前向きなスタンスや、景気減速に対する警戒感が前面に出ると、利下げペース加速が意識されて米金利低下・ドル売り方向に傾きやすくなるでしょう。
大きな構図としては、ドル円は「利下げサイクル入り」というややドル安方向のバイアスと、「日銀の正常化はあくまで緩やか」という構図のはざまにあり、一方向へのトレンドを形成しにくい環境が続いています。今日も、材料ごとの反応を見極めながら、155〜157円の高値圏レンジの中でどちらに重心が移っていくかを探る展開になりそうです。
テクニカル分析

テクニカル面では、ドル円の日足チャートは依然として高値圏での持ち合いを続けています。先週末のローソク足は、高値156.128円・安値155.446円と上下にヒゲを伴いながら、終値155.799円と始値をわずかに上回る小さめの陽線を形成しました。FOMC後の調整が一巡しつつも、上値追いの勢いは限定的で、「高値圏での値固め」を進めている印象です。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
移動平均線に目を向けると、25日移動平均線はなお右肩上がりを維持しており、その下では75日線と200日線も緩やかな上昇基調を保っています。三本の移動平均線がすべて上向きで、短期線が中長期線を上回る「順ザヤ構造」が続いていることから、中長期的には上昇トレンドが継続していると判断できます。一方で、足元のレートは25日線のごく近辺〜やや上側での攻防となっているとみられ、155円台半ばが「短期トレンドの分岐点」として意識されやすいゾーンになっています。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
一目均衡表では、価格は依然として雲の上方で推移していると想定され、遅行スパンもローソク足を上抜けた状態を維持していることから、中期的な強気優勢の地合いに大きな変化はありません。ただし、転換線・基準線はここ数日横ばい気味となっており、「強い上昇トレンド」というよりは、「高値圏での持ち合い・スピード調整」を進めている局面とみるのが妥当です。155円台半ばに位置するとみられる転換線〜基準線の帯は、下値支持として機能しやすい一方、この帯を明確に割り込んだ場合には、調整が一段と深まりやすいポイントとして注意しておきたいところです。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDを見ると、ゼロラインより上のプラス圏を維持しながらも、MACD線とシグナル線の乖離は小さく、ヒストグラムのプラス幅も限定的です。これは、トレンドの方向自体は上向きながらも、モメンタムがやや鈍化し、「上昇一辺倒」から「高値圏レンジ」に移行していることを示唆しています。今後、イベントをきっかけにMACDがシグナル線から再び上方へ離れていくようであれば、上昇トレンド再加速のシグナルとして意識されますし、逆にデッドクロスが明確となってくるようであれば、日足レベルでの調整局面入りへの警戒感が高まりそうです。
これらを総合すると、下値は155.00〜155.30円あたりが最初のサポートとして意識され、その下には154.80円近辺に次の防波堤が控える一方、上値は156.20〜156.50円ゾーンが重くなりやすく、さらにその上の156.80〜157.00円が高値圏レンジの上限として意識される構図だと考えられます。
シナリオ分析
今日のドル円は、東京時間の短観とNY時間のFRB要人発言をこなしながら、「高値圏レンジの中でどちらにバイアスが強まるか」を見極める一日になりそうです。
↗️ 上昇シナリオ(確率45%)
上昇シナリオでは、日銀短観が想定よりも底堅い内容となり、「賃上げ・設備投資の流れが大きく崩れていない」と受け止められる一方で、市場がそれを直ちに大幅な引き締めには結び付けず、「日本は緩やかな正常化ペース、米国は利下げはするが極端ではない」という従来の構図が再確認されるパターンを想定します。この場合、日中の円買いは限定的となり、155円台半ば〜後半を押し目としたドル買いが優勢になりやすくなります。NY時間のFRB要人発言がタカ派寄り、あるいは「過度な利下げ期待をけん制する」ニュアンスとなれば、米長期金利の下げ渋りを通じてドル買い・円売りが強まり、まずは156円ちょうど〜前半の戻り売り圧力をこなせるかが焦点となります。そのうえで156.50円前後のレジスタンスを明確に上抜けることができれば、156.80〜157.00円方向への上値トライも視野に入ってきます。
↘️ 下落シナリオ(確率55%・メインシナリオ)
下落シナリオでは、日銀短観の結果が企業マインドや先行きに弱さを示す内容となり、「日本経済に対する不透明感」が意識されることで、一時的に円買いポジションの巻き戻しが入りにくくなる一方、FRB要人発言が利下げ方向を後押しするようなハト派寄りのトーンとなるケースを想定します。この場合、米金利には再び低下圧力がかかり、ドル売り・円買いが優勢となりやすくなります。155.50円を割り込み、155.00円ちょうど近辺のサポートを試す展開となれば、テクニカルのストップを巻き込みながら154.80円方向への下押しが進む可能性もあり、高値圏レンジの中で調整が一段深まるシナリオとして警戒しておきたいところです。
もっとも、中長期のトレンドがなお上向きであることを踏まえると、下押しが進んだ局面では実需のドル買いや短期筋の押し目買いも入りやすく、「いきなりトレンド転換」というよりは、「高値圏での調整レンジを広げる動き」として捉えるのが現実的かもしれません。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
東京時間前半は、8時50分の日銀短観を起点に相場が大きく振れやすい時間帯になります。結果が強弱いずれに振れたとしても、ヘッドラインと同時に株価・金利・日本株先物の反応もセットで確認し、市場全体が「リスクオン/オフ」「日銀正常化期待の強弱」のどちらに寄っているのかを見極めることが重要です。
短観の内容次第では、発表直後に一方向へ走ったあと、すぐに反対方向へ戻される「往って来い」となる可能性もあります。仲値にかけては実需のフローも重なるため、155円台半ば〜後半の攻防がどのような形で落ち着くかが、欧州・NY勢にとっての「東京の答え」として意識されやすいでしょう。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間は、東京で形成されたレンジと日銀短観への初期反応を踏まえつつ、ロンドン勢がポジションを調整する時間帯となりそうです。欧州株や欧州債の動き次第では一時的にリスクオン・オフのフローが出る場面も想定されますが、今日の本命はあくまでNY時間後半のFRB要人発言であり、それまでは155〜156円台を中心としたレンジ内での取引が中心となる可能性が高いとみています。
NY時間の前半は、米金利と株価の動きを確認しながらの様子見ムードが続きやすく、156円ちょうどを挟んだもみ合いがメインシナリオです。24時台以降、ミラン理事とウィリアムズ総裁の発言が続く時間帯は、ヘッドラインに反応したアルゴリズム取引も重なり、一時的にドル円が上下どちらかに振れやすくなります。最終的には、発言内容を「FOMC全体のメッセージ」と照らし合わせながら、金利と株価の方向感に沿って落ち着きどころを探る展開が想定されます。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:154.80円〜156.80円
今日は154.80円〜156.80円のレンジ内での推移をメインシナリオとして想定しています。日銀短観とFRB要人発言という上下いずれにも振れ得る材料を控えながらも、この価格帯を基本レンジとみなしつつ、下限に近づく場面では押し目買い、上限に近づく場面では戻り売りを意識しながら、イベントの結果次第でレンジの外側に出ていく動きが本物かどうかを慎重に見極めたい局面だと考えます。
🔀 上値抵抗線:156.20円、156.80円
上方向では、まず156.20円前後が目先のレジスタンスとして意識されます。この水準は直近の戻り高値圏にも近く、短期筋の利食い売りや新規の戻り売りが出やすいゾーンです。その上では156.80円前後が次の上値目処となり、この水準まで上昇した場合には「高値圏レンジの上限を試す動き」としていったんポジションの軽量化を検討しやすいポイントとなります。
🔀 下値支持線:155.00円、154.80円
下方向については、まず155.00円ちょうど前後が直近のサポートとして意識されます。ここは心理的な節目であると同時に、前週の押し目水準とも重なりやすいゾーンであり、この水準を維持できる限りは押し目買いが優勢になりやすいと考えられます。これを明確に割り込んだ場合には、154.80円近辺が次の下値支持として浮上し、この水準まで下押しする場面では、いったん調整色が強まりやすい点には注意が必要です。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向については、156.80円前後のレジスタンス帯を日足ベースでしっかりと上抜けて引けるかどうかが、ブレイクの成否を占ううえでの重要なポイントになります。この条件を満たした場合には、11月高値圏や157円台方向を視野に入れた「高値更新トレンド継続」のシナリオが強まりやすくなります。下方向については、155.00円および154.80円の支持帯を連続して割り込み、日足が155円台を回復できない水準でクローズするようであれば、154円台前半が次のターゲットとして意識され、「高値圏での持ち合い」から「調整局面の深まり」へと相場の評価が切り替わるリスクを意識しておきたいところです。
⚠️ 注意すべきリスク要因
今日は、指標としての日銀短観に加え、FRB要人発言という「ヘッドライン次第で空気が変わりやすいイベント」が控えていることから、特に東京朝とNY後半の時間帯でボラティリティが高まりやすい点に注意が必要です。発表直後はスプレッドの拡大や約定の滑りが起こりやすく、想定より不利なレートでポジションを持ってしまうリスクもあります。
また、大きなテーマとして「利下げサイクル入り」が意識されている分、インフレや景気に対する慎重なコメントが出た場合には、金利・株価・為替が同時に反応しやすく、短時間でのポジション解消の動きが相場を押し広げる可能性もあります。レバレッジやロットサイズをいつも以上に意識して抑え、想定外の値動きにも耐えられる余裕を持っておくことが重要です。
☑️ 投資判断における留意点
今日のように、上下どちらにも振れ得るイベントが複数控えている局面では、「どこで勝負するか」と同じくらい「どこではあえて勝負しないか」を決めておくことが大切です。日銀短観発表直後やFRB要人発言の直後は、一方向に走ったあとにすぐ戻される「往って来い」も起こりやすく、短時間での値動きに飛び乗るほど、感情に振り回されやすくなります。
エントリーを検討する際は、あらかじめ自分の中で決めた支持線・抵抗線にできるだけ引きつけてからポジションを取ること、そしてエントリー前の段階で「どこまで逆行したら必ず損切りするのか」「どのあたりまで伸びなければ利確するのか」をレートと金額ベースで具体的に決めておくことが、結果として資金とメンタルの両方を守ることにつながります。
高値圏レンジが続くなかでは、一回一回のトレードで大きく狙いにいくよりも、「負けをコントロールする」「自分のルールを守り続ける」ことを優先したほうが、トータルのパフォーマンスは安定しやすくなります。今日も、マーケットのノイズに振り回されすぎず、自分のシナリオとルールに沿った取引を心掛けていきたいところです。
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