おはようございます。Trader MTです。FOMCは想定どおりの0.25%利下げにとどまり、ドル円は156円前後の高値圏レンジを維持しています。今日は新規失業保険申請件数をきっかけに、利下げペース観測とレンジ相場のどちらにバイアスがかかるかを確認していきましょう😌(公開時刻:07:40/日本時間)
昨日の振り返り
昨日のドル円は、米FOMCで予想どおり0.25%の利下げが決定されるとともに、今後の利下げペースを巡って委員間の見方の違いが意識されたことで、イベント直後はいったんドル売り・円買いが優勢となり155円台後半まで下落する場面も見られました。その後は、追加利下げには慎重との受け止めや株高によるリスクオンの流れを背景に押し目買いが入り、下げ幅を縮小しつつ156円前後まで戻してクローズ。結果として、始値156.811円、高値156.937円、安値155.788円、終値156.003円と、FOMCを挟んで上下に振れながらもややドル安・円高方向での着地となっています。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月10日 | 156.811 | 156.937 | 155.788 | 156.003 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
12月10日の東京時間のドル円は、156.80円前後で取引をスタートしました。前日までの上昇基調の延長線上にあったものの、深夜にFOMC政策金利とパウエルFRB議長の会見を控えていたこともあり、序盤から積極的な方向感は出にくい展開となりました。日経平均株価は小高く始まったものの、高値圏での利益確定売りも意識され、株高をきっかけとした円売りにはつながりにくい状況でした。
午前中のドル円は、156円ちょうど〜156円台前半でのもみ合いが中心で、イベント前の様子見ムードが色濃い値動きに終始しました。午後に入ると、欧州勢の参入を前にポジション調整の売りが優勢となり、156円台前半からじりじりと上値を切り下げる展開に。FOMCを控えて新規のロングを積み上げにくい心理も重なり、徐々に156円を割り込み、東京時間の終盤には155円台後半へと水準を切り下げて欧州時間へバトンを渡しました。
欧州・NY時間
欧州時間の序盤、ドル円は155.90円前後で取引を再開しました。欧州株式市場は総じて落ち着いた推移となり、リスクオン・リスクオフいずれにも大きく傾かない中で、ドル円も156円手前を挟んだレンジ取引がしばらく続きました。FOMCを数時間後に控え、欧州勢もポジションを大きく傾けにくく、むしろ持ち高を軽くする意識が優勢だったとみられます。
流れが大きく変わったのは、NY時間深夜のFOMC以降です。FOMCは市場予想どおり0.25%の利下げを決定し、政策金利の誘導レンジを3.50〜3.75%へ引き下げました。利下げ自体は織り込み済みだった一方で、委員間で今後の利下げ回数を巡る見通しが割れていることや、パウエル議長が「今後の追加利下げはあくまでデータ次第」と慎重なスタンスを維持したことで、発表直後は米長期金利がやや下振れしながらも、その後は下げ渋る展開となりました。
為替市場では、声明文のハト派的な部分に反応して一時的にドル売りが強まり、ドル円は155.78円まで下落して日中安値を更新しましたが、155円台後半では押し目買いとショートカバーが交錯し、急速に下げ渋る動きに転じました。FOMCを大きな混乱なく通過した安心感や、株高・クレジット市場の落ち着きがリスクオンの円売りを誘った面もあり、その後のドル円は156円台を回復。最終的には156.00円近辺で取引を終え、イベントをこなしながらも「高値圏での持ち合い」を維持する結果となりました。
今日の注目材料
| 時間 | 通貨 | 指標 | 重要度 | 前回 | 予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 22:30 | 🇺🇸 | 新規失業保険申請件数 | ⚡⚡️ | 利下げ4.00% | 利下げ3.75% |
今日の注目材料は、22時30分に発表される米新規失業保険申請件数です。週次統計という性質上、一回ごとの数字にはブレもありますが、足もとの労働市場の強弱をタイムリーに示す指標として、FOMC直後のタイミングではとくに注目度が高まりやすいデータと言えます。
前回は19.1万件と、歴史的に見てもかなり低い水準を維持しており、労働市場のタイトさが改めて意識されました。今回は22.0万件への増加が見込まれているものの、仮に予想を下回る結果となれば、「雇用はなお底堅く、利下げを急ぐ必要はない」との見方から米長期金利の下げ渋りや反発を通じてドル買い材料となる可能性があります。一方で、予想を上回る増加となれば、労働市場の減速が意識され、来年以降の利下げペースが加速するとの思惑からドル売り方向に反応するシナリオも想定されます。
FOMCで大きな方向性が示された直後だけに、今日の新規失業保険申請件数は「その判断が妥当だったかどうか」を市場が検証する一つの材料として、いつも以上にマーケットの注目を集めそうです。
今日の見通し
今日のドル円は、FOMCというビッグイベントをこなした直後とあって、まずは東京〜欧州時間で「昨日の決定とメッセージをどう解釈するか」をマーケット全体で再確認する一日になりそうです。
ファンダメンタルズ分析
今回のFOMCは、0.25%の利下げ自体は市場のコンセンサスどおりだったものの、委員間の見解が割れる中で、来年以降の利下げペースや最終着地点を巡る「不透明さ」がむしろ意識される内容となりました。一方で、パウエル議長は会見で、インフレ鈍化の進展を評価しつつも、「時期尚早な緩和の加速は避けるべき」といった慎重なトーンも崩しておらず、マーケットの利下げ期待を一気に増幅させるほどのハト派サプライズにはなっていません。
こうした状況から、米金利は「利下げサイクル入りを意識しつつも、極端な金利低下までは織り込まない」レンジに落ち着きやすく、ドル円も一気にトレンドが反転するというよりは、高値圏でのレンジを維持しながら、個別指標の結果を見極める動きが続きそうです。
日本側では、日銀がなお慎重な正常化スタンスを崩していないことから、政策面で円が急速に買い戻される材料は乏しい一方、マイナス金利解除や追加利上げの議論が中長期的なテーマとしてくすぶり続けている状況です。したがって、短期的には米金利動向に振らされやすいものの、中期目線では「ドル高・円安一辺倒」からはやや距離を取りつつ、押し目と戻りの両方を意識したスタンスが必要な局面と捉えることができそうです。
テクニカル分析

テクニカルの面からは、ドル円は依然として高値圏での持ち合いを続けながらも、徐々に「押し目を固め直しつつある」印象が強まっています。昨日のローソク足は、高値156.937円・安値155.788円・終値156.003円と、上下にヒゲを伴うものの、実体の小さな陰線に近い形となりました。FOMCを挟みながらも、155円台後半ではしっかりと買いが入り、156円台前半が終値として維持されたことから、短期的には「やや一服感を伴った高値圏レンジ」といった足型です。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
移動平均線を見ると、25日移動平均線はなお右肩上がりを維持しており、その下側には75日線・200日線が緩やかな上昇基調で控えています。三本の移動平均線がすべて上向きで、かつ短期線が中長期線を上回る構図に変化はなく、中長期的な上昇トレンドは継続していると判断できます。足元のレートは25日線からやや上側に位置しているとみられ、156円近辺が「短期的な押し目候補」であると同時に、「ここを明確に割り込むと調整がやや深くなりやすい分岐点」として意識されます。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
一目均衡表では、ローソク足は引き続き雲のかなり上方で推移していると想定され、遅行スパンもローソク足を上抜けている状態が続いていることから、中期的な強気優勢の地合いは維持されていると考えられます。一方、転換線・基準線はやや横ばい気味となりつつあり、高値圏でのスピード調整が進んでいることも読み取れます。155円台後半〜156円ちょうど近辺に位置するとみられる転換線〜基準線のゾーンは、押し目買いが入りやすい水準であると同時に、このゾーンを明確に下抜けた場合には、雲の上限方向までの調整を警戒する必要が出てくるポイントです。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDを確認すると、ゼロラインより上のプラス圏で推移しながら、ここ数日はMACD線とシグナル線の乖離が再び小さくなってきており、ヒストグラムのプラス幅も限定的です。これは、上昇トレンド自体は維持されているものの、モメンタムはやや鈍化しており、「高値追い一辺倒」から「一旦は値固めを伴いながらの様子見モード」に移りつつあることを示唆しています。
これらのテクニカルシグナルを重ねて考えると、下値では155.50〜155.80円のゾーンが当面のサポートとして機能しやすく、ここを維持できる限りは156〜157円台方向への戻り局面が意識されやすいと見られます。一方、上値については、直近高値に近い156.90〜157.00円が最初のレジスタンスとなり、その上では157.50円近辺が次の壁として意識されやすい構図です。
シナリオ分析
今日のドル円は、FOMC直後のポジション調整と、22時30分の米新規失業保険申請件数を材料に、「高値圏レンジの中でどちらにバイアスが強まるか」を探る一日になりそうです。
↗️ 上昇シナリオ(確率45%)
上昇シナリオでは、市場がFOMCを「利下げはしたものの、想定以上にハト派ではなかった」と受け止め、米長期金利が下げ渋るなかでドル買いがじわりと優勢になるケースを想定します。新規失業保険申請件数が予想の22万件を下回る、あるいはほぼ予想どおりの結果にとどまれば、「労働市場はなお底堅い」との評価から利下げペース加速への警戒感はやや後退し、156円台前半〜半ばを押し目とした買いが入りやすくなるイメージです。この場合、まずは157.00円ちょうどのレジスタンスをしっかりと上抜けられるかが焦点となり、その上では157.50円近辺が次のターゲットとして意識される展開が考えられます。
このシナリオでは、156円台半ば〜後半が下値支持として機能するなかで、157円台方向への上値トライが意識されます。157.00円ちょうどを明確に上抜けた場合には、ストップロスを巻き込みながら157.50円〜158.00円方向への上昇余地が開けてくる可能性も視野に入ります。
↘️ 下落シナリオ(確率55%・メインシナリオ)
下落シナリオでは、FOMC後の利下げサイクル入りという大きなテーマを改めて意識し直すなかで、「戻り局面では上値を売りたい」というスタンスが優勢になるケースをイメージします。とくに、新規失業保険申請件数が予想を上回る増加となった場合には、労働市場の減速懸念が強まり、来年以降の利下げペース加速が意識されることで、米長期金利に低下圧力がかかり、ドル売り・円買いが進みやすくなる可能性があります。
このシナリオでは、156円ちょうどを割り込み、155.80円〜155.50円のサポートゾーンを試す流れとなり、このゾーンを明確に割り込んだ場合には、155円ちょうど方向まで下値を広げる展開も視野に入ってきます。ただし、中長期トレンドがなお上向きであることを踏まえると、下押しが進んだ局面では再び押し目買いが入りやすく、「トレンド転換」というよりは「高値圏での調整がやや深まる」というイメージで捉えておくのが妥当なところでしょう。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
東京時間は、FOMCとパウエル会見の結果を一通り織り込みつつ、「どの程度までドル買い・ドル売りを巻き戻すか」を探る時間帯になりそうです。材料出尽くし感から156円台前半では戻り売りが出やすい一方、155円台後半に下押しする場面では押し目買いも入りやすく、イベント直後とはいえ、いきなりトレンドが大きく傾くとは考えにくい局面です。
仲値にかけては、実需筋のドル買いが散発的に下値を支える一方で、前日高値に近づく場面では短期筋による利食い売りも出やすく、「上がれば売り・下がれば買い」のレンジ志向が強まりやすいと見られます。東京時間の値動きは、欧州勢・NY勢にとって「FOMC翌日の初動」としての参考材料となるため、どの水準で落ち着いて引けるかにも注目しておきたいところです。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入ると、東京時間で形成された価格帯を踏まえながら、ロンドン勢がFOMC後のポジションを再調整する時間帯となります。米指標を控えていることもあり、欧州序盤は様子見ムードが続きやすいものの、金利や株価の動きを確認しながら、ドル円の戻り売り・押し目買いの水準感が徐々に固まっていくイメージです。
NY時間の前半は、22時30分の新規失業保険申請件数を見極めるまでは、156円前後を中心としたレンジがメインとなりそうです。指標発表直後は、ヘッドラインに反応したアルゴリズム取引をきっかけに、一時的に上下どちらかへ振れる場面も想定されますが、最終的には米長期金利と株価の方向性に沿ってドル円も落ち着きどころを探る展開が予想されます。利下げサイクルの中にあるとはいえ、雇用が大きく崩れていない限り、「ドル全面安」への一方向の流れにはなりにくく、引き続きレンジの中での押し目買い・戻り売りの押し引きを意識した相場つきになりそうです。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:155.20円〜157.20円
今日は155.20円〜157.20円のレンジ内での推移をメインシナリオと想定しており、FOMC後のポジション整理と米新規失業保険申請件数の結果を織り込みながら、この価格帯を前提に押し目買いと戻り売りを組み合わせていくイメージです。レンジの真ん中で追いかけるのではなく、上下のめどに引きつけてからエントリーを検討したい局面と考えます。
🔀 上値抵抗線:156.80円、157.20円
上方向では、まず直近高値に近い156.80円前後が目先のレジスタンスとして意識されます。この水準は、FOMC前後の値動きのなかで上値を抑えられたゾーンでもあり、短期筋の利食い売りや新規の戻り売りが重なりやすいポイントです。その上では157.20円近辺が次の上値目処となり、この水準まで上昇した場合には、「高値圏レンジの上限を試す動き」としていったんは利益確定を検討しやすいゾーンと言えます。
🔀 下値支持線:155.80円、155.20円
下方向については、まず155.80円前後が最初のサポートとして意識されます。昨日の安値圏にも近く、FOMC直後に押し目買いが入った水準であることから、同水準では再び買いが入りやすいと考えられます。ここを明確に割り込んだ場合には、155.20円近辺が次の下値支持として浮上し、このゾーンまで下押しする場面では、いったんポジションを軽くしながら下げ止まりを確認するスタンスが無難になりそうです。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向のブレイクアウト条件としては、157.20円前後のレジスタンス帯を日足ベースで明確に上抜け、157円台後半で引けるような展開になれるかどうかがポイントになります。この条件を満たした場合、158円台を視野に入れた「高値更新トレンド継続」のシナリオが意識されやすくなります。一方、下方向については、155.20円のサポートを割り込んだうえで日足が155円台前半〜半ばでクローズするようであれば、高値圏での持ち合いから一段深い調整局面への移行を警戒する必要があり、その場合は154円台後半〜ちょうどあたりが次のターゲットとして意識されてきそうです。
⚠️ 注意すべきリスク要因
今日はFOMC直後ということもあり、一見落ち着いた値動きに見えても、市場参加者のポジションはまだ完全には整理しきれていない可能性があります。新規失業保険申請件数のような一見シンプルな指標でも、結果の解釈が「利下げペース」にどうつながるかによって、金利・株価・為替が一斉に振れやすい点には注意が必要です。
また、イベント後で流動性がやや薄くなりやすい時間帯には、まとまったフローが入っただけでレートが想定以上に振れることもあり得ます。とくに指標発表直後はスプレッドの拡大や約定の滑りも起こりやすいため、レバレッジを高めすぎず、ロットサイズをいつもより控えめにするなど、リスク管理を優先したポジション設計を心掛けたいところです。
☑️ 投資判断における留意点
今日のように「大イベントの翌日+週次指標」という組み合わせの日は、値動きのきっかけそのものははっきりしている一方で、トレンドが出るとは限らない難しい局面でもあります。FOMCの結果を受けて、自分なりに中期のシナリオをいったん整理したうえで、「今日はその中でどの価格帯ならリスクを取ってもよいのか」「どの水準まで逆行したら必ず撤退するのか」を、事前にレートと金額の両面で明確にしておくことが重要です。
レンジが続いている相場では、エントリー回数を増やして取り返そうとするほど、ノイズに飲み込まれやすくなります。むしろ、優位性を感じられるパターンが出た局面だけに絞ってエントリーし、損切りと利確のルールを機械的に徹底することが、トータルのパフォーマンスとメンタルの安定につながりやすいことを意識しながら、今日の相場と向き合っていきたいところです。
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