【ドル円コンパス】今日の為替相場予想(2025年12月10日)

『ドル円コンパス/USD/JPY COMPASS』、円とドル記号、コンパスのシンボル、ローソク足。右下に指を立てたロボット。左上に2025年12月10日のカレンダー

おはようございます。Trader MTです。ドル円は156円台後半までじり高が続き、今夜はFOMCとパウエル議長会見というビッグイベントを迎えます。東京〜欧州時間は結果待ちのレンジになりやすい一方で、深夜は一気にボラティリティが高まりそうなので、いつも以上にポジションサイズと損切りラインを意識していきましょう。😌(公開時刻:07:52/日本時間)

昨日の振り返り

昨日のドル円は、植田日銀総裁の発言が想定の範囲内にとどまり、日銀の急速な正常化観測が後退したことで円売りが優勢となったうえ、NY時間のJOLTS求人がサプライズなく労働市場の底堅さを意識させたことでドル買いが強まり、156円台後半まで上昇する展開となりました。東京時間こそイベント待ちで方向感に欠けましたが、欧州・NY時間にかけては押し目買いとショートカバーが重なり、終値は156.81円と高値圏でのクローズとなっています。

日付 始値 高値 安値 終値
2025年12月9日 155.920 156.955 155.744 156.811

※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。

東京時間

12月9日の東京時間のドル円は、155.92円前後で取引をスタートしました。序盤は前日までの上昇の反動もあり、156円ちょうどを挟んだ小幅なレンジでもみ合う展開となりました。日経平均株価は小高く始まったものの、高値警戒感から上値は重く、株高を手掛かりにした積極的な円売りにはつながらず、ドル円も155円台後半〜156円ちょうど近辺で方向感を欠く値動きが続きました。

午前〜昼過ぎにかけては、夕方の植田日銀総裁の発言と、深夜の米JOLTS求人統計を控えた様子見ムードが強まり、短期筋のポジション調整が中心の相場つきに。155円台後半では押し目買いが入りつつも、156円台前半では戻り売りも出やすく、結果として155.70〜156.10円前後の比較的狭いレンジに収れんする時間帯が長く続きました。東京時間単体では、「イベント待ちの中で下値は堅いが、上値も追いにくい」という典型的な持ち合い相場だったと言えます。

欧州・NY時間

欧州時間に入ると、ドル円は156円ちょうど近辺で再スタートしました。序盤はロンドン勢のフローをこなしながら155.80〜156.20円前後での往来が続きましたが、夕方に行われた植田日銀総裁の発言が「急速な正常化を急ぐトーンではなかった」と受け止められたこともあり、円買い方向への反応は限定的となりました。日銀の慎重スタンスが改めて確認された格好となり、イベント通過後は円売り・ドル買いのポジションがじわりと優勢に。欧州時間後半にかけて、ドル円は156円台前半〜半ばへと水準を切り上げていきました。

NY時間に入ると、注目されたJOLTS求人は、市場予想から大きく乖離するほどのサプライズとはならず、「労働需給はタイトさを残しつつも、過度なひっ迫感は和らいでいる」といった評価が中心となりました。米長期金利は小幅ながら下値を切り上げる動きとなり、株式市場も落ち着いた推移を維持したことで、ドル円はファンダメンタルズ・センチメント両面から下支えされる展開に。

短期筋のショートカバーやテクニカル要因の買いも重なり、ドル円は156円台半ばを明確に上抜けると、一時は156.96円まで上昇して日中高値を更新。その後は157円ちょうど手前で上値が重くなったものの、高値圏では押し目買いが入りやすく、NYクローズにかけても大きく崩れることなく推移しました。最終的に終値は156.81円と高値圏で取引を終え、FOMCを目前に控えるなかでも「ドル高・円安基調の根強さ」が意識される一日となりました。

今日の注目材料

☑️ 12月10日(水)の重要度の高い注目材料
時間 通貨 指標 重要度 前回 予想
28:00 🇺🇸 FOMC政策金利&声明発表 ⚡⚡️⚡️ 利下げ4.00% 利下げ3.75%
28:30 🇺🇸 FRB議長パウエル氏の記者会見 ⚡⚡️⚡️ - -

今日最大の焦点は、NY時間深夜(日本時間明朝)に予定されているFOMC政策金利発表と、その後のパウエルFRB議長の記者会見です。市場は、前回の「利下げ4.00%」から「利下げ3.75%」への変更、すなわち追加利下げが行われるとの見方を織り込みつつあり、「利下げ幅そのもの」と「今後の利下げペース」に強い関心が集まっています。

特に注目されるポイントは、1.声明文でインフレ・雇用の評価がどう変化するか、2.ドットチャート(FOMC参加者の金利見通し)が、来年以降の利下げ回数をどの程度示唆するか、3.パウエル議長が会見で「インフレ鈍化」と「景気の強さ」のどちらにウェイトを置いて説明するかといった点です。

市場予想どおりの利下げ幅であっても、声明や会見のトーンがタカ派寄りかハト派寄りかによって、金利・株価・ドルの方向性は大きく変わる可能性があります。タカ派気味のメッセージが強ければ「利下げはするが、急いで緩和方向には傾かない」と受け止められ、ドル買い・円売りが強まりやすくなりますし、逆にハト派色が前面に出れば、「今後も利下げ方向へ進みやすい」との思惑からドル売り・円買い圧力が意識される展開も十分に考えられます。

いずれにせよ、28時前後は為替のみならず、株式・債券・コモディティを巻き込んだ「フルマーケットイベント」となりやすく、通常よりもボラティリティが大きく高まる時間帯となりそうです。

今日の見通し

今日のドル円は、FOMCとパウエル会見というビッグイベントを控え、東京〜欧州時間は基本的に「結果待ち」の色合いが強くなりそうです。その一方で、昨日の時点で156円台後半まで水準を切り上げていることから、「期待先行のドル買い」に対する警戒感も意識されやすい局面と言えます。

ファンダメンタルズ分析

米国では、インフレ鈍化の流れが続くなかで、利下げサイクル入りが既定路線となりつつありますが、「どの程度のペースで」「どこまで」利下げを進めるのかについては、FOMC参加者の見通しと市場の織り込みにギャップが残っている状態です。もし今回の声明やドットが、市場が織り込んでいるよりも慎重(タカ派寄り)な内容となれば、金利上昇・ドル高方向への巻き戻しが強まる可能性があります。逆に、市場の期待よりも早いペースの利下げを示唆するようなメッセージが出れば、金利低下・ドル安圧力が一段と強まるリスクも意識されます。

日本側では、昨日の植田総裁発言で「急速な引き締めには慎重」というスタンスが改めて確認された格好となり、円買い材料としてのインパクトはやや薄れた印象です。とはいえ、日銀の正常化議論自体が消えたわけではなく、中長期的には円を下支えする要因として意識されやすい状況が続きます。足もとでは、米金融政策の行方が相場の主導権を握りやすい局面であり、今日のFOMCを通じて「ドル高・円安トレンド継続」か「調整入り」かの方向性が見直される一日になりそうです。

テクニカル分析

チャート面を改めて眺めると、ドル円の日足は高値圏での上昇基調を維持しながら、直近では持ち直しの色合いを強めています。昨日のローソク足は、安値155.74円から高値156.96円まで上昇し、終値も156.81円と高値寄りで引けたことで、実体の大きい陽線が出現しました。これは、155円台後半〜156円ちょうど近辺が短期的な押し目として機能し、上方向へのモメンタムが再び強まりつつあることを示唆する足型と言えます。

📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
移動平均線を見ると、短期の25日移動平均線は右肩上がりを維持しており、中期の75日線・長期の200日線も緩やかな上向きで推移しています。三本の移動平均線がすべて上向きの「順ザヤ構造」が続いている点から、中長期的には依然として上昇トレンドが優勢であると判断できます。足元のレートは25日線よりも上のゾーンで推移しているとみられ、156円前後が目先の押し目候補として意識されやすい水準です。

📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
一目均衡表では、ローソク足が雲のかなり上方で推移していると想定され、遅行スパンもローソク足を上抜けた状態を維持していることから、中期的には「強気優勢」の地合いが続いていると考えられます。一方で、転換線や基準線はここ数日やや横ばい気味になっており、高値圏でスピード調整を挟みつつ上昇を試している状況とも読めます。156円前後に位置する転換線〜基準線のゾーンが当面の下値目安として機能している限り、押し目買いスタンスを維持しやすい地合いと見てよさそうです。

📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDはゼロラインより上のプラス圏で推移しており、前日まで縮小していたMACD線とシグナル線の乖離が、やや再拡大しつつあるイメージです。ヒストグラムのプラス幅もわずかに広がっていると想定され、上昇モメンタムがじわりと戻りつつあることを示しています。まだ「強烈なトレンド再加速」という段階ではありませんが、高値圏での持ち合いから再び上方向を意識し始めているサインと捉えることができそうです。

これらのテクニカルシグナルを重ねて考えると、155.70〜156.00円近辺が目先の押し目候補として意識される一方、上値については157円ちょうど〜157.50円が最初の関門、その上の158円台が次のターゲットゾーンとして浮上してきます。FOMCをきっかけに、これらの節目が試される展開を念頭に置いておきたいところです。

シナリオ分析

今日のドル円は、東京〜欧州時間は比較的落ち着いたレンジ取引が続きやすいものの、NY深夜のFOMCとパウエル会見を境に、トレンドの方向性が大きく変わる可能性を秘めた一日です。

↗️ 上昇シナリオ(確率50%)
上昇シナリオでは、予想どおりの利下げが行われつつも、声明やドットが「市場が織り込むほどの速い利下げペースは示唆しない」というタカ派寄りの内容となるケースを想定します。パウエル議長が会見で「インフレ鈍化は進んでいるが、2%目標の達成にはなお時間がかかる」「利下げのタイミングとペースについては慎重に判断する」といったメッセージを強調した場合、米長期金利が下げ渋る、あるいは反発する余地があり、ドル買い優勢の流れが強まりやすくなります。

このシナリオでは、156円台半ば〜後半が下値支持として機能するなかで、157円台方向への上値トライが意識されます。157.00円ちょうどを明確に上抜けた場合には、ストップロスを巻き込みながら157.50円〜158.00円方向への上昇余地が開けてくる可能性も視野に入ります。

↘️ 下落シナリオ(確率50%・メインシナリオ)
下落シナリオでは、FOMCが利下げ幅そのものだけでなく、「今後の利下げペース」について市場の想定よりもハト派寄りのメッセージを発するケースを想定します。ドットチャートが来年の利下げ回数を増やす方向にシフトしたり、パウエル議長が会見で「インフレ鈍化の進展」を強く評価し、「将来的な追加利下げの余地」に言及するような内容となれば、米長期金利は低下圧力が強まり、ドル売り・円買いの流れが優勢になりやすくなります。

この場合、156円台後半〜157円手前でつかんだロングポジションの手仕舞いが一斉に出やすく、156円ちょうど〜前半までの調整は十分に想定されます。155.70〜156.00円の支持帯を明確に割り込むと、ストップロスを巻き込みながら155円台半ば〜前半方向への下押しが広がる可能性もあり、高値圏での持ち合いから一段の調整フェーズに入るシナリオとして警戒しておきたいところです。

時間帯別の展開予想

🕘 東京時間
東京時間は、FOMCを控えて新規ポジションを大きく積み上げづらい環境のなか、156円台前半〜後半を中心としたレンジ取引になりやすいと見ています。仲値にかけては実需のドル買いが散発的に入りやすく、156円ちょうど近辺では下値が支えられる一方、157円手前では戻り売りも出やすく、イベント前に上方向へ走る動きには限界がありそうです。

東京時間だけでレンジを明確に抜けていくイメージは持ちにくく、「あくまでFOMC前のポジション整理と調整の場」という位置づけになりやすいでしょう。短期的な値動きに振り回されすぎず、上位時間軸のトレンドと主要なサポート・レジスタンスを確認する時間帯として位置付けたいところです。

🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入ると、東京で固まったレンジを引き継ぎつつ、ロンドン勢がFOMCを前にポジションを軽くする動きが中心となりそうです。新たに方向感を出しにいくというよりは、「イベントリスクを前に一度持ち高を落とす」フローが優勢となりやすく、上にも下にも中途半端に抜けたあとすぐ戻されるような値動きも起こり得ます。

NY時間の前半までは、FOMCを前に市場参加者の様子見姿勢が強く、156円台半ばを挟んだ小動きの展開になりやすいと想定されます。そこから28時のFOMC政策金利&声明発表、28時30分のパウエル会見にかけてが今日のクライマックスであり、金利・株価・ドルインデックスが同時に大きく振れる可能性が高い時間帯です。

指標・イベント直後は、『一方向に急伸したあとに急速に戻す「往って来い」』、『節目を一気に抜けたあと、そのまま走り続けるトレンドの発生』、どちらのパターンも十分にあり得ます。1本目の5分足や15分足だけで判断するのではなく、1時間足・4時間足の確定も踏まえつつ、「どこまでがノイズで、どこからが本格的なトレンドなのか」を見極めていきたい局面です。

今日の予想レンジ

↕️ 予想レンジ:155.50円〜158.00円
今日はFOMCとパウエル会見を控えていることから、通常より広めの155.50円〜158.00円をメインレンジとして想定します。東京〜欧州時間はこのレンジ内での押し目買い・戻り売りが中心となりやすく、イベント通過後にレンジの外側へ明確なブレイクが出た場合には、その方向へのトレンドがどこまで継続するのかを慎重に見極めていきたい局面です。

🔀 上値抵抗線:157.00円、158.00円
上方向では、まず157.00円ちょうど近辺が目先のレジスタンスとして意識されます。この水準は心理的な節目であると同時に、これまで高値圏として意識されてきたゾーンでもあり、利食い売りや新規の戻り売りが重なりやすいポイントです。その上では158.00円ちょうどが次の上値目処となり、このレベルまで上昇する場面では、「高値圏レンジからの上放れ」を意識した押し目買いも入りやすくなる一方で、短期筋の利確も増えやすく、ボラティリティが一段と高まりやすいゾーンと捉えておきたいところです。

🔀 下値支持線:156.00円、155.50円
下方向については、まず156.00円ちょうど前後が直近のサポート候補として意識されます。ここは前日の上昇局面での押し目候補とも重なり、テクニカル的にも心理的にも買いが入りやすい水準です。さらに下では155.50円前後が次のサポートとして意識され、この水準を割り込んだ場合には、「上昇一服からの調整モード入り」を警戒する必要が出てきます。FOMCをきっかけにこのゾーンが割り込まれると、ストップロスを巻き込みながら155円ちょうど方向まで下値を広げるリスクにも注意が必要です。

🔃 ブレイクアウト条件
上方向のブレイク条件としては、157.00円を明確に上抜けたうえで、日足ベースで同水準より上で引けるかどうかが重要なポイントになります。この条件を満たした場合、158円台を視野に入れた「高値更新トレンド」の継続が意識されやすくなります。下方向については、156.00円と155.50円のサポート帯を連続して割り込み、日足で156円台を回復できない形でクローズするようであれば、高値圏での持ち合いから一歩踏み込んだ調整局面に入ったと評価されやすくなり、155円ちょうど〜前半が次のターゲットとして浮上してきそうです。

⚠️ 注意すべきリスク要因
今日は、とくにFOMCとパウエル会見の前後で、通常よりもスプレッドの拡大や約定の滑り(スリッページ)が起こりやすい点に注意が必要です。イベント直前・直後の時間帯に大きめの成行注文や高レバレッジのポジションを持ち込むと、想定とは異なるレートで約定し、思わぬ損失につながるリスクがあります。

また、声明文や会見の一部だけがヘッドラインとして先に流れた場合、市場がそれを拡大解釈して一方向に走ったあと、全文の文脈が確認されてから反対方向に巻き戻されるといった「ヘッドライン・リバーサル」も起こりやすい局面です。一時的な値動きに飛びつくのではなく、全体のメッセージと金利・株価の反応をセットで確認する視点を持っておきたいところです。

☑️ 投資判断における留意点
今日のようなビッグイベントデーでは、「どこで勝負するか」以上に「どこではあえて勝負しないか」を決めておくことが、リスク管理のうえで非常に重要です。FOMC前からポジションを持ち越すのか、イベントはノーポジションでやり過ごして結果を見てから動くのか──スタンスによって取るべき戦略は大きく変わってきます。

エントリーする場合は、『事前に「ここまで逆行したら必ず切る」という水準をレートと金額で明確にしておくこと』『イベント直後の乱高下に振り回されすぎず、上位時間軸(1時間足・4時間足・日足)の流れに沿った方向でエントリーすること』を意識しておきたいところです。

一度のイベントで「大きく取ってやろう」と力んでしまうほど、判断が感情寄りになりがちです。レンジの真ん中で飛び乗るのではなく、あらかじめ決めた支持線・抵抗線付近まで引きつけてから入ること、そして自分で決めた損切り・利確ルールを淡々と守ることが、結果的に資金とメンタルを守る近道になります。大きく動きやすい一日だからこそ、いつも以上にルールベースで、冷静に相場と向き合っていきたいですね。

免責事項

本記事は、為替相場の動向に関する一般的な情報提供・分析を目的としたものであり、特定の通貨ペアの売買や投資を推奨するものではありません。投資判断は、読者ご自身の責任と判断において行ってください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト運営者は一切の責任を負いません。