【ドル円コンパス】今日の為替相場予想(2025年12月5日)

濃紺の背景に『ドル円コンパス/USD/JPY COMPASS』、円とドル記号、コンパスのシンボル、ローソク足。右下に指を立てたロボット。左上に2025年12月5日のカレンダー

おはようございます。Trader MTです。ドル円は155円前後のレンジでもみ合いが続いていますが、今夜24時発表の米PCEデフレーターとミシガン大学指数が、このレンジをどちらに抜けるかのカギになりそうです。イベント前はポジションを傾けすぎず、24時前後の値動きを一緒にチェックしていきましょう😌(公開時刻:07:34/日本時間)

昨日の振り返り

昨日のドル円は、155円台前半を中心としたレンジの中で上下に振れながらも、終盤にかけてじり高に戻す展開となりました。東京時間は前日終値近辺の155円台前半でスタートし、その後いったん154円台後半まで下押しする場面があったものの、欧州時間以降は押し目買いが入り、NY時間にかけて再び155円台前半へと持ち直しています。最終的に、始値155.213円、高値155.540円、安値154.507円、終値155.052円と、約1円強の値幅ながらも方向感に欠ける一日だったと言えるでしょう。

日付 始値 高値 安値 終値
2025年12月4日 155.213 155.540 154.507 155.052

※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。

東京時間

12月4日の東京時間のドル円は、155.20円台前半で取引をスタートしました。序盤は材料難のなか、155円台前半で小刻みな値動きが続きましたが、前日までのレンジ相場を引き継ぎ、上値の重さと下値の堅さが同時に意識される展開となりました。日経平均株価はやや軟調に推移し、リスクオンを背景とした積極的な円売りにはつながらなかったこともあり、ドル円はじりじりと上値を切り下げる動きが優勢となりました。

午前後半から午後にかけては、米新規失業保険申請件数の発表を控えてポジション調整の売りが出たこともあり、ドル円は155円を割り込んで154.70円台へ下落。その後も一時154.507円まで日中安値を更新しました。ただ、154円台後半には本邦実需筋を中心とした押し目買いが観測され、節目の154.50円割れを試す動きには至らず、東京時間の終盤にかけては155円ちょうど近辺まで切り返して欧州時間にバトンを渡しています。

欧州・NY時間

欧州時間に入ると、ドル円は155円近辺での取引となりました。欧州株式市場は総じて落ち着いた推移となり、リスクオン・リスクオフいずれにも大きく傾かないなかで、ドル円も155円台前半を中心としたレンジ取引が続きました。米国の雇用関連指標を控えて新規ポジションを傾けづらいこともあり、欧州時間前半は様子見ムードが色濃い値動きでした。

NY時間序盤、注目された米新規失業保険申請件数は、市場予想から大きく外れることのない無難な結果となり、労働市場が急激に悪化しているわけではないとの安心感が広がりました。一方で、前日のADP雇用統計の弱さもあって、労働市場の減速懸念が完全に払拭されたわけでもなく、米長期金利は方向感に欠ける小動きにとどまりました。こうしたなかでドル円も、一時155.50円近辺までじり高となる場面はあったものの、上値追いの動きは限定的で、NY終盤には155.05円前後に収れんして取引を終了しています。

今日の注目材料

☑️ 12月5日(金)の重要度の高い注目材料

 

時間 通貨 指標 重要度 前回 予想
24:00 🇺🇸 PCEデフレーター(前年比) ⚡⚡️⚡️ 2.7% 2.8%
24:00 🇺🇸 PCEコア・デフレーター(前年比) ⚡⚡️⚡️ 2.9% 2.8%
24:00 🇺🇸 ミシガン大学消費者信頼感指数【速報値】 ⚡⚡️ - -

今日の最大の注目は、日本時間24時に同時発表される米PCEデフレーターとPCEコア・デフレーター、そしてミシガン大学消費者信頼感指数【速報値】です。PCEデフレーターは、FRBが物価動向を判断する際に重視すると明言している指標であり、特に変動の大きい食品・エネルギーを除いたコアPCEは、今後の利下げペースを占ううえで非常に重要な材料となります。

足もとでは、インフレ鈍化が徐々に進んでいるとの認識が広がる一方で、「目標の2%にどこまで近づいているのか」「鈍化ペースが緩やかになっていないか」といった点に市場の関心が集まっています。予想を下回る弱い結果となれば、利下げ開始時期の前倒し観測が強まりドル売り方向に反応しやすく、逆にインフレの粘り強さが意識されるような強めの数字となれば、米長期金利の反発を通じてドル買い材料となる可能性があります。

ミシガン大学消費者信頼感指数は、家計の景況感やインフレ期待を示す指標として位置づけられており、PCEの結果と組み合わせて「物価と需要のバランス」を考える材料として注目されます。消費者マインドが予想以上に強ければ、景気の底堅さとともにインフレ圧力の継続が意識されやすく、弱ければ需要減速を通じてインフレ鈍化を後押しするとの見方が強まりやすくなります。いずれにしても、24時台は金利・株価・為替が同時に大きく振れやすい時間帯となるため、ボラティリティの上昇には十分注意したいところです。

今日の見通し

今日のドル円は、東京・欧州時間こそ昨日の流れを引き継いだレンジ取引が中心となりそうですが、NY時間のPCEデフレーターとミシガン大学指数をきっかけに、インフレと景気に対する市場の見方が大きく揺れ動く可能性があります。

ファンダメンタルズ分析

米国では、これまでの利上げの効果もあって、物価上昇率はピークアウトから鈍化傾向をたどっているものの、「目標達成まであと一歩」という状況が続いています。市場はすでに来年の利下げ開始をある程度織り込んでいますが、そのタイミングやペースについては、PCEや雇用指標といったデータ次第という状態です。今日のPCEがインフレ鈍化を再確認させる内容となれば、利下げ開始の前倒し観測が意識され、金利低下を通じてドル売り優勢の流れが強まりやすくなります。一方、インフレの粘り強さが示されると、「利下げ時期の後ずれ」や「高金利状態の長期化」が意識され、ドル買い・円売りに反応する余地も十分にあります。

日本側では、新たな材料に乏しいなか、日銀の正常化観測がくすぶりつつも、足もとでは米側の指標次第で円高にも円安にも振れ得る地合いが続いています。155円前後では実需を含む押し目買いが入りやすい一方、156円台後半から上は戻り売りが厚く、ファンダメンタルズのシナリオとテクニカルの節目が重なる形で、「どちらかに抜けそうで抜けないレンジ相場」が長引いている印象です。今日のPCEとミシガンの結果が、このレンジを明確に抜けるトリガーとなるかどうかが、今週後半の最大の焦点と言えるでしょう。

テクニカル分析

チャート面を改めて眺めると、ドル円は依然として高値圏での持ち合いを続けています。日足では、ここ数日小さな実体のローソク足が並び、上値と下値のどちらも抜けきれない「迷いの足型」が続いている状況です。昨日の足も、高値155.540円、安値154.507円と上下にヒゲを伴うものの、終値は155.052円と始値近辺に戻して引けており、売り買いの攻防が拮抗していることを示しています。

📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
移動平均線をみると、短期の25日移動平均線は依然として右肩上がりを維持しており、その下側には緩やかに上昇する75日線と200日線が控えています。三本の移動平均線がすべて上向きで、短期線が長期線を上回る形を保っていることから、中長期的には上昇トレンドが継続していると判断できます。一方で、足元のレートは25日線付近での攻防が続いており、このラインが短期トレンドの分岐点として機能している印象です。154円台後半〜155円ちょうどが25日線と直近安値の重なるサポート帯となっており、このゾーンを割り込まない限り、押し目は拾われやすい状態が続きそうです。

📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
ローソク足は依然として雲の上方で推移しており、遅行スパンもローソク足を上回る位置にあると想定されることから、テクニカル上はまだ強い地合いが続いていると見ることができます。ただし、足元では転換線が横ばい気味となり、基準線との距離も縮小しつつあることから、高値圏でのスピード調整局面に入っていることも示唆されています。155円台前半〜半ばに位置するとみられる転換線・基準線のゾーンがサポートとして機能しているうちは、押し目買いスタンスを維持しやすいものの、このゾーンを下抜けて雲の上限まで接近するようだと、調整幅の拡大に注意が必要な局面と言えます。

📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDはゼロライン近辺のプラス圏で推移しており、ここ数週間にわたってMACD線とシグナル線の距離が縮まったまま行きつ戻りつを続けています。ヒストグラムの振れ幅が小さい状態が続いていることから、トレンドの方向性ははっきりせず、モメンタムも強くないことがうかがえます。今後、PCEをきっかけにMACDがシグナル線の上方へはっきり離れていくようであれば、上昇トレンドの再加速を示すシグナルとして意識されますし、逆にデッドクロスが明確になれば調整局面入りのサインとして警戒が必要になってきます。

こうした指標を総合すると、下値は154.50〜155.00円のゾーンが当面の防波堤として意識される一方、上値は156.20〜156.50円付近が一つの壁になりやすい構図です。どちらのラインも何度か試されているだけに、今日のようなビッグイベントを契機に、いずれかの方向へ抜けた場合の値動きは大きくなりやすいと考えられます。

シナリオ分析

今日のドル円は、PCEデフレーターとミシガン大学指数を受けて、レンジのどちら側にバランスが傾くのかを探る一日になりそうです。トレンドとしては依然として上昇バイアスが残るものの、モメンタムの鈍化や高値警戒感もあって、上値を積極的に追いにくい地合いというのが現状です。

↗️ 上昇シナリオ(確率45%)
PCEとコアPCEが市場予想と同程度かやや上振れする程度にとどまり、「インフレはなだらかに鈍化しているが、FRBが急いで利下げする必要はない」との見方が強まるケースを想定します。この場合、米長期金利は急低下を回避しつつ、むしろやや下値を切り上げる動きとなり、ドル買い戻しがじわじわと優勢になりやすくなります。テクニカル面でも155円前後のサポートが維持されることから、まずは155円台後半〜156円ちょうどの節目を回復できるかが焦点となり、その上で156.20〜156.50円のレジスタンス帯を突破できれば、157円台方向への上値トライが視野に入ってきます。

↘️ 下落シナリオ(確率55%・メインシナリオ)
PCEやミシガン指数が総じて弱めの結果となり、インフレ鈍化と需要減速が同時に意識されるケースを見ています。この場合、来年の利下げ開始時期がさらに前倒しされるとの見方が強まり、米長期金利は再び低下基調を強める可能性があります。金利低下に連動する形でドル売り・円買いが進めば、154.50〜155.00円のサポート帯を試す展開となり、その水準を明確に割り込んだ場合には、154円ちょうど方向への下押しも視野に入ります。ただし、日足レベルではなお上昇トレンドの延長線上にあり、下落が進んだ局面では再び押し目買いが入りやすいことから、「トレンド転換」というよりは「高値圏での調整が一段と深まる」というイメージで捉えておくのが現実的かもしれません。

時間帯別の展開予想

🕘 東京時間
東京時間は、米PCEデフレーターなどのビッグイベントを控え、155円台前半を中心としたもみ合いになりやすいと想定されます。仲値にかけては輸入企業のドル買いが散発的に入り、154円台後半では下値の堅さが意識されそうですが、一方で156円台に近づく場面では戻り売りも出やすく、上値の重さも意識されやすいでしょう。株式市場が海外株高を受けて堅調に推移すれば、リスクオンによる円売りがドル円を支える要因となる一方、イベント前ということもあり、新たに大きなポジションを積み増す動きは限定されそうです。

🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入ると、東京で形成されたレンジを引き継ぎつつ、ロンドン勢によるポジション調整が中心の相場展開になりそうです。PCEやミシガン指数の発表が24時に集中しているため、その直前までは「イベント待ち」で方向感に乏しい値動きが続きやすく、むしろポジション圧縮のフローが目立つ可能性もあります。欧州株や欧州債の動向によっては一時的にリスクオン・オフに振れる場面もあり得ますが、本格的なトレンドはやはりNY時間の指標発表を待つことになりそうです。

NY時間は、日本時間24時のPCEデフレーターとミシガン大学指数が勝負どころです。発表直後はアルゴリズム取引やオプション関連フローも重なり、一方向に急伸したあと急反転する「往って来い」の値動きも想定されます。金利・株価・ドルインデックスの三つの動きを確認しながら、最終的にどの方向へトレンドが定着していくのかを見極めることが重要になるでしょう。

今日の予想レンジ

↕️ 予想レンジ:154.50円〜156.50円
今日は154.50円〜156.50円のレンジをメインシナリオとして想定しており、基本的にはこの価格帯を前提に押し目買いと戻り売りを組み合わせながら、24時のPCE関連指標をきっかけにレンジの外側へ明確な抜けが出るかどうかを見極めていきたい局面だと考えます。

🔀 上値抵抗線:156.20円、156.50円
上方向では、まず156.20円近辺が目先のレジスタンスとして意識され、その上では156.50円前後が次の上値目処となります。いったんは156円ちょうど〜前半の戻り売り圧力をこなしてこの水準を回復できるかが焦点であり、156.50円を実体ベースでしっかりと上抜けることができれば、157円台方向を試す上昇余地が広がると見られます。

🔀 下値支持線:155.00円、154.50円
下方向については、まず155.00円ちょうど前後が最初のサポートとして意識され、この水準を維持できるうちはレンジ内での押し目買いが優勢になりやすいと考えられます。ここを明確に割り込んだ場合には、154.50円近辺が次の下値目処として浮上し、その水準まで下押しする場面では一時的に調整色が強まりやすくなるでしょう。

🔃 ブレイクアウト条件
上方向については、156.50円前後のレジスタンス帯を日足ベースで明確に上抜けて引けるかどうかがポイントになります。この水準を超えて定着するようであれば、11月高値圏や157円台半ば方向を意識したトレンド継続シナリオが強まりやすくなります。下方向については、155.00円のサポートに加えて154.50円前後の支持帯を連続して割り込み、日足ベースで155円台を回復できない展開となった場合に、154円ちょうど〜前半が次のターゲットとして意識され、「高値圏での持ち合い」から「調整局面入り」へと相場評価が切り替わるリスクが高まる点に注意が必要です。

⚠️ 注意すべきリスク要因
今日の最大のリスクは、24時にインフレ指標と景況感指標が同時に発表されることによるボラティリティの高まりです。PCEとミシガン指数がそろって市場予想とかけ離れた結果となった場合には、米金利と株価が急速に動く可能性があり、それに連動するかたちでドル円もテクニカルの節目を一気に抜けていくことが考えられます。また、指標直後はスプレッドの拡大や約定の滑りが発生しやすく、想定とは異なるレートで取引が成立してしまうリスクにも注意が必要です。

☑️ 投資判断における留意点
今日のように大きなイベントを控えた局面では、「事前に方向を決め打ちするか」「結果を見てから動くか」のスタンスによって、取るべき戦略が大きく変わってきます。指標前からポジションを持つ場合は、サプライズに逆方向へ振れた際の損失をどこまで許容するのかをレートと金額ベースで明確に決めておくことが不可欠ですし、ノーポジションで臨む場合は、初動が一段落してから上位時間軸のトレンドとサポート・レジスタンスを確認し、押し目や戻りを待ってからエントリーするくらいの落ち着きが求められます。

また、レンジが続いている相場では、値動きが出たように見えても結果的に行って来いに終わるケースも少なくありません。エントリーの回数を増やすよりも、自分が優位性を感じられるパターンに的を絞り、損切りと利確の水準をあらかじめ決めておくことが、トータルでのパフォーマンスとメンタルの安定につながりやすくなります。今日のようなイベントデーこそ、欲張りすぎず、自分のルールに沿った取引を徹底していきたいところです。

免責事項

本記事は、為替相場の動向に関する一般的な情報提供・分析を目的としたものであり、特定の通貨ペアの売買や投資を推奨するものではありません。投資判断は、読者ご自身の責任と判断において行ってください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト運営者は一切の責任を負いません。