おはようございます。Trader MTです。昨日のドル円は155〜156円台のレンジの中で方向感を探る一日となりましたが、今夜はADP雇用統計とISM非製造業景況指数が控えており、どちらにブレイクするかの分岐点になりそうです。東京時間は無理に追いかけず、NYのイベントに向けてシナリオを整理しておきたい一日ですね。😌(公開時刻:07:48/日本時間)
昨日の振り返り
昨日のドル円は、前日の長い下ヒゲを引いた自律反発局面を引き継ぎつつも、上値の重さを意識させる一日となりました。東京時間は155円台前半での底堅いスタートとなり、その後はじり高基調で推移しましたが、欧州時間以降は156円台前半で戻り売りに押される展開となりました。最終的には、始値155.41円、高値156.18円、安値155.40円、終値155.86円と、約0.8円のレンジの中で方向感を探る動きとなっています。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月2日 | 155.406 | 156.181 | 155.400 | 155.862 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
12月2日の東京時間のドル円は、155.40円台前半で取引をスタートしました。序盤は前日の下ヒゲを受けた自律反発の流れを引き継ぎつつも、材料難のなかで155円台前半〜半ばでもみ合う展開となりました。日経平均株価は堅調さを維持したものの、高値警戒感も意識されて上値は限られ、株高を手掛かりとした大きな円売りにはつながりませんでした。前日の急落局面で削られたポジションを慎重に積み直す動きが中心で、東京午前は方向感に乏しい値動きが続いた印象です。
午後に入ると、欧州勢の本格参入を見据えたショートカバーの動きがやや優勢となり、ドル円は155.70円台までじり高。米長期金利の動向を見極めたいとの思惑から積極的なドル買いは見られなかったものの、155円ちょうど近辺では押し目買い意欲が根強く、下値を試す動きは限定的でした。東京終盤には155.80円前後まで水準を切り上げ、欧州時間にバトンを渡しています。
欧州・NY時間
欧州時間に入ると、ドル円は東京の流れを引き継いで155.80円前後から取引を開始しました。当初は欧州株が堅調に推移したこともあってリスクオンムードが意識され、ドル円は一時156.18円まで上昇し日中高値を更新しました。ただ、156円台前半では戻り売りも厚く、米金融政策の行方を占う重要指標(ADP雇用統計・ISM非製造業景況指数)を翌日に控える中で、新たなポジションを積み増す動きは次第に後退しました。
NY時間に入ると、米国から目立った指標の発表がなかったこともあり、ドル円は156円台前半からじりじりと上値を切り下げる展開となりました。米長期金利は小幅な上下にとどまり、株式市場も落ち着いた値動きとなるなかで、市場の関心は「翌日のADP・ISMをどう迎えに行くか」に移っていきました。短期筋によるポジション調整の売りが出たこともあり、ドル円は155円台後半まで押し戻され、NY終盤は155.80円台での小動きに終始。結果として、始値155.41円、高値156.18円、安値155.40円、終値155.86円と、前日の安値からは切り上がったものの、156円台後半以降の上値の重さが改めて意識される一日となりました。と言えるでしょう。
今日の注目材料
| 時間 | 通貨 | 指標 | 重要度 | 前回 | 予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 22:15 | 🇺🇸 | ADP雇用統計 | ⚡⚡️ | +4.2万人 | +1.0万人 |
| 24:00 | 🇺🇸 | ISM非製造業景況指数 | ⚡⚡⚡️ | 52.4 | 52.1 |
本日の最大の注目材料は、NY時間に相次いで発表される米国の雇用・景況感関連指標です。まず22時15分に発表されるADP雇用統計は、民間部門の雇用動向を示す指標として、市場が本命視する米雇用統計(非農業部門雇用者数)の先行指標として位置付けられています。数字のブレが大きいことから、そのまま本番の雇用統計を予測するには限界があるものの、雇用市場の強弱感を測るうえで無視できない材料です。
続く24時にはISM非製造業景況指数が発表されます。米経済はサービスセクターの比重が大きく、ISM非製造業は景気の「体温計」として市場参加者から高い注目を集める指標です。指数が景気の分かれ目とされる50を上回るか下回るか、また新規受注や雇用指数の動きなどが、金利・株価・為替に同時に影響を与える可能性があります。特に、足もとで「来年の利下げ開始時期」を巡る思惑が交錯しているだけに、想定より強い数字が出れば利下げ期待の後退を通じてドル買い材料となり、逆に弱い数字が出れば利下げ観測が一段と強まりドル売りが意識される展開も想定されます。
今日の見通し
本日のドル円は、東京・欧州時間こそ手掛かり難から方向感を欠きやすいものの、NY時間のADP・ISMをきっかけに、日米金利差と景気認識を織り込み直す動きが強まる一日になりそうです。
ファンダメンタルズ分析
米国では、インフレ鈍化の兆しと一部指標の弱さを背景に、来年の利下げ開始時期が前倒しされるとの見方がくすぶる一方、実体経済はなお底堅いとの評価も根強く、「ソフトランディング」期待と「利下げ前倒し」観測が交錯しています。本日のADPとISMが総じて堅調な内容となれば、「景気はまだしっかりしており、急いで利下げする必要はない」との見方が意識され、米長期金利の反発とともにドル買いが優勢となる可能性があります。逆に、両指標がそろって弱めの結果となれば、景気減速懸念と利下げ期待の前倒しを通じて米金利・ドルが下押しされ、ドル円には下方向の圧力がかかりやすくなるでしょう。
日本側では、日銀の追加利上げ観測がくすぶるものの、足もとで新たな材料は乏しく、当面は米側の指標動向に相場の主導権を握られやすい状況です。もっとも、155円近辺では実需筋を中心とした押し目買いも観測されており、米指標が極端に弱い内容とならない限り、急激にトレンドが反転するというよりは、レンジの中で上下に振れながら次の方向性を探るイメージがメインシナリオとなりそうです。
テクニカル分析

テクニカル面では、日足ベースで見たドル円は依然として上昇トレンドを維持しつつも、高値圏での調整色がやや強まっている状況です。10月以降、ドル円は安値を切り上げながら上昇を続け、11月には一時157円台手前まで上昇しましたが、その後は155〜157円のレンジ内での持ち合いが続いています。昨日のローソク足は、実体の小さい陽線ながら上下にヒゲを伴う形となっており、155円台前半では押し目買いが入る一方、156円台前半から上では戻り売りが意識されていることを示唆しています。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
短期の25日移動平均線が中期の75日線、長期の200日線のいずれも上回る位置にあり、三本とも緩やかに上向きで推移していることから、中長期的には上昇トレンドが継続していると判断できます。現在のレートは25日線のやや上方〜近辺での攻防となっており、昨日の下値も25日線にサポートされる形で切り返しています。75日線・200日線はより下の水準に位置しており、「押し目は拾われやすいが、直近高値圏では利益確定売りが出やすい」という、トレンド継続局面特有の持ち合い相場となっている印象です。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
ローソク足は依然として雲のかなり上方で推移しており、遅行スパンもローソク足を上抜けた状態を維持していることから、全体としては「三役好転」を伴う強い上昇基調が続いていると見ることができます。一方で、足元では転換線がやや横ばいとなり、基準線との距離も縮まりつつあることから、高値圏でのスピード調整局面に入っていることも示唆されています。転換線〜基準線のゾーン(155円台前半〜半ば)がおおよそのサポートとして機能している間は、「押し目買い優勢」というスタンスを維持しやすいものの、このゾーンを明確に下抜けると、調整幅拡大への警戒感が高まりやすい点には注意が必要です。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDはゼロラインより上のプラス圏で推移しているものの、ここ数週間でMACD線がシグナル線にじわじわと接近しており、ヒストグラムのプラス幅も縮小傾向にあります。これは、トレンドそのものは上向きを維持しながらも、上昇モメンタムがやや鈍化していることを示しており、高値追いには慎重姿勢が求められる局面です。今後MACDがシグナル線を下抜ける「デッドクロス」が発生した場合には、日足レベルでの調整局面入りを示すサインとして意識される可能性がある一方、現時点ではまだプラス圏を維持していることから、「上昇トレンドの中での押し目形成」と見る余地も残されています。
こうしたテクニカル環境を総合すると、下値では155.20〜155.40円前後が目先のサポートゾーンとして意識され、この水準を維持できる限りは、押し目では買いが入りやすい地合いが続きそうです。一方、上値については156.50円近辺から157.00円ちょうどにかけてが重要なレジスタンス帯となり、このゾーンを明確に上抜けない限り、上値追いは途中で失速しやすいと考えられます。
シナリオ分析
本日のドル円は、NY時間のADP雇用統計とISM非製造業景況指数をきっかけに、現在のレンジ(おおむね155〜157円)のどちら側を試しにいくのかを探る展開となりそうです。テクニカル面では上昇トレンドの中での持ち合い局面にある一方、モメンタムの鈍化も確認されており、上値追いと調整入りの綱引きが続いている状況と言えます。
↗️ 上昇シナリオ(確率40%)
ADP雇用統計とISM非製造業景況指数が総じて堅調な内容となり、「米景気はなお底堅く、急いで利下げに踏み切る必要はない」との見方が意識されるケースを想定します。この場合、米長期金利の下げ止まりや反発を通じてドル買いが優勢となり、ドル円は155円台後半から156円台前半へと水準を切り上げやすくなります。テクニカル面でも25日移動平均線や転換線が下値を支えるなかで、まずは156円ちょうど〜156.20円の戻り売り圧力をこなせるかが焦点となり、その上で156.50円近辺をしっかりと超えてくるようであれば、157円ちょうどを試す展開も視野に入ってきます。
↘️ 下落シナリオ(確率60%・メインシナリオ)
ADPやISMが市場の期待に届かない弱めの結果となり、景気減速懸念と利下げ期待の前倒しが意識されるケースを想定します。この場合、米長期金利の一段の低下を通じてドル売り圧力が強まり、ドル円は155円台前半のサポートゾーンを再び試す展開になりやすくなります。155.20〜155.40円前後のサポートを明確に割り込むと、テクニカル上の節目を下抜けたことをきっかけにストップロスを巻き込み、154円台後半まで下押しするリスクも否定できません。もっとも、中長期のトレンドはなお上向きであることから、下落が進んだ局面では再び押し目買いが入りやすく、トレンドそのものが即座に反転すると見るよりは、レンジ下限を広げる形での調整局面入りと捉えるのが妥当なイメージです。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
本日の東京時間は、国内から目立った経済指標や要人発言の予定がないこともあり、155円台前半〜155円台後半を中心としたレンジ取引がメインとなりそうです。仲値にかけては輸入企業のドル買いが散発的に入り下値を支える一方、156円台手前では戻り売りも出やすく、積極的にレンジを抜けていく動きは期待しにくいでしょう。株式市場が海外株高を素直に織り込んで堅調に推移する場合には、リスクオンによる円売りがドル円の支えとなる可能性もありますが、本命イベントがNY時間に控えていることを踏まえると、東京市場は「様子見優勢」の一日になりやすいと考えられます。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入ると、東京時間の値動きを引き継ぎつつ、ロンドン勢によるポジション調整が中心の相場展開となりそうです。ADPとISMを控えて新規ポジションを積み増す動きは限られ、むしろイベント前にリスクを落とすためのポジション調整が優勢になる可能性があります。欧州株や欧州債の動向次第では一時的なリスクオフの円買い、あるいはリスクオンの円売りに振れる場面もあり得ますが、本格的なトレンドはやはりNY時間の米指標発表を待つ展開になるでしょう。
NY時間は、22時15分のADP雇用統計と24時のISM非製造業景況指数を起点に、米金利・株価・ドルインデックスが同時に大きく振れる可能性のある時間帯です。強弱いずれの結果にせよ、発表直後はアルゴリズム取引を含むフローが一気に集中し、スプレッドの拡大や「往って来い」の乱高下が生じやすいため、短期筋は特に注意が必要です。指標発表後、初動の値動きが一巡した段階で、金利と株価の方向性が定まり、それに沿ってドル円もトレンドを形成していく展開が想定されます。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:154.80円〜157.00円
本日は154.80円〜157.00円のレンジ内での攻防をメインシナリオとみており、上下いずれかへの明確なブレイクが確認されるまでは、この範囲を前提に戻り売りと押し目買いを組み合わせた戦略が有効となりそうです。
🔀 上値抵抗線:156.50円、157.00円
上方向では、156.50円近辺から157.00円ちょうどにかけてのゾーンが短期的なターゲットとなります。まずは156円ちょうど〜156.20円の戻り売り圧力をこなしてこの水準を回復できるかが重要であり、そのうえで156.50円を実体ベースで明確に上抜けることができれば、157円台前半を試す上昇余地が広がると考えられます。
🔀 下値支持線:155.20、155.40円
下方向については、まず155.20〜155.40円前後が最初のサポートゾーンとして意識され、この水準を維持できる限りは、レンジ内での押し目買いが優勢となりやすいと見られます。ここを明確に割り込んだ場合には、154.80円近辺が次の下値目処となり、それをも下抜けると154円台半ばまで下押しする可能性も出てきます。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向については156.50〜157.00円のレジスタンス帯を日足でしっかりと上抜けて引けるかどうかがポイントとなり、これが達成されれば、158円方向へのトレンド継続が意識されやすくなります。下方向については、155.20円前後のサポートを明確に割り込み、日足ベースで155円台半ばを回復できない展開となった場合に、154円台半ば〜後半が次のターゲットとして浮上しやすくなり、「高値圏での持ち合い」から「調整局面入り」へと評価が切り替わるリスクが高まる点に注意が必要です。
⚠️ 注意すべきリスク要因
本日は、NY時間に米雇用・景況感関連の重要指標が相次いで発表されるため、発表前後の短時間にフローが集中し、通常以上に値動きが荒くなるリスクがあります。特に、ADPとISMがそろって市場予想とかけ離れた結果となった場合には、米金利と株価が一方向に大きく動き、それに連動する形でドル円もテクニカルの節目を一気に抜ける可能性があります。また、指標直後はスプレッド拡大や約定の滑りが起こりやすく、想定以上の損失につながるリスクもあるため、発表タイミングでの過度なレバレッジは避けたいところです。
☑️ 投資判断における留意点
このように、本日はテクニカル上ではレンジの上下限が比較的明確な一方で、ファンダメンタルズ面ではADP雇用統計とISM非製造業景況指数という「トレンドを決めに行く可能性のあるイベント」を控えています。イベント前後に方向を決め打ちして大きなポジションを持つよりも、まずは結果と初動の値動きを冷静に見極め、その後に上位時間軸(1時間足・4時間足・日足)のトレンドと主要なサポート・レジスタンスを確認しながらポジションを構築していくほうが無難です。ころです。
レンジ内では戻り売り・押し目買いを組み合わせつつも、レンジの外側にブレイクした場合には、あらかじめ決めておいた損切り水準で機械的に撤退するなど、リスク管理を徹底することが求められます。短期的なノイズに振り回されすぎず、中期的なシナリオの中で自分がどの水準でリスクを取るのかを明確にしたうえで、今日の相場と向き合っていきたいところです。
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