【ドル円コンパス】今日の為替相場予想(2025年11月27日)

濃紺の背景に『ドル円コンパス/USD/JPY COMPASS』、円とドル記号、コンパスのシンボル、ローソク足。右下に指を立てたロボット。左上に2025年11月27日のカレンダー。

おはようございます。Trader MTです。ドル円は先週の急落から自律反発が続き、今日も155円後半〜156円台後半のレンジで方向感を探る展開になりそうです。今日は野口日銀審議委員の発言と、米国が感謝祭で休場による薄商いがポイント。東京時間の一言コメントやヘッドラインに振らされやすい地合いなので、ポジションサイズは控えめに、値が飛びやすい動きには注意していきましょう😌(公開時刻:08:17/日本時間)

昨日の振り返り

昨日のドル円は、先週から続いてきた自律反発局面のなかで上下に振れながらも、最終的には156円台半ばで引ける展開となりました。東京時間は155円台後半まで下押しする場面があったものの、その後は押し目買いが入り欧州時間にかけて156円台半ばまで反発。NY時間では、米株高と12月FOMCでの利下げ観測が意識される一方で、米10年債利回りが4%前後でもみ合うなか上値も限定され、高値156.73円、安値155.66円、終値156.46円と、約1.1円のレンジで方向感を探る一日となりました。

日付 始値 高値 安値 終値
2025年11月26日 156.031 156.737 155.655 156.458

※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。

東京時間

26日の東京時間のドル円は、前日終値近辺の156.05円前後からスタートしました。早朝は156円ちょうどを挟んで小幅なもみ合いが続きましたが、前日までの戻り局面の反動もあり、徐々に利益確定の売りが優勢となりました。日経平均株価は前日までの米株高を受けて底堅く推移したものの、為替市場では「BOJの12月利上げの可能性」と「米利下げ観測」という相反する材料が意識され、積極的に上値を追う動きは限定的でした。

午前から正午にかけては、海外勢による円買い戻しも加わり、ドル円は一時155.60円台半ばまで下押し。155円台後半では実需筋を中心とした買いが観測され、大きく崩れることはなかったものの、「156円台後半から上は戻り売りが出やすい」という意識が改めて意識される展開でした。

午後に入ると、欧州勢の参入を前にショートカバー主導の買い戻しが入り、ドル円は156円台前半を回復。東京時間の終盤には156.30円前後まで水準を切り上げ、欧州時間にバトンを渡しました。東京時間全体としては、155円台後半での下値の堅さと、156円台後半では上値が重いという、レンジの上下が確認された一日だったと言えるでしょう。しょう。

欧州・NY時間

欧州時間に入ると、ドル円は156.30円前後からスタートし、リスクオンの流れを受けてじり高基調となりました。英国の予算案を巡る不透明感がやや後退するなか、欧州株が底堅く推移し、世界的に株高・金利横ばい〜やや低下という環境が続いたことで、円はクロス通貨を通じて売られやすい地合いとなりました。

NY時間に入ると、米主要株価指数はダウ・S&P500・ナスダックともに上昇し、4営業日続伸となるなど、12月のFed利下げ期待を背景としたリスク選好ムードが鮮明になりました。 一方で、米10年債利回りは4%前後で一進一退となり、大きく上昇するには至らず、ドルインデックスも上値の重い推移となりました。

このような環境下で、ドル円は欧州時間の流れを引き継いで一時156.70円台まで上昇し、日中高値を更新しましたが、その後は米金利の上昇一服やポジション調整の売りが重石となり、NY終盤にかけては156円台半ばまでじり安。結局、始値156.03円、高値156.73円、安値155.66円、終値156.46円と、終値ベースでは前日水準をやや上回ったものの、上値の重さと下値の堅さが同時に意識される値動きとなりました。

今日の注目材料

☑️ 11月27日(木)の重要度の高い注目材料
時間 通貨 指標 重要度 前回 予想
10:30 🇯🇵 日銀審議委員野口氏の発言(あいさつ) ⚡⚡ - -
未定 🇯🇵 日銀審議委員野口氏の発言(記者会見) ⚡⚡ - -

今日は、米国が感謝祭(Thanksgiving Day)の祝日で金融市場が休場となります。これに伴い、ニューヨーク株式市場、債券市場、商品市場などが全てクローズされるため、市場参加者は大幅に減少し、為替市場も動意に乏しい閑散とした相場展開が予想されます。

そんな中、今日の最大の注目材料は、午前10時30分から予定されている野口日銀審議委員のあいさつと、その後に行われる見通しの記者会見です。野口委員は本来「ハト派」と見られてきたメンバーですが、9月以降の講演では「物価・賃金動向を踏まえると、利上げの必要性はこれまで以上に高まっている」と発言するなど、以前よりもタカ派寄りのトーンにシフトしているとの評価が広がっています。

足もとでは、複数の審議委員が12月会合での利上げに前向きな見解を示しており、日銀としても「近い将来の追加利上げ」を市場に織り込ませつつあるとの見方が強まっています。 そのなかで、本日の野口委員の発言・質疑応答は、12月会合での利上げの可能性や、その後の利上げペースについてのヒントを探るうえで非常に重要なイベントとなります。

特に市場は、インフレ見通し(2%目標の持続性)、賃金動向の評価、円安と金融政策の関係といった論点に対して、どの程度踏み込んだ発言が出るかに注目しています。タカ派寄りのメッセージが強まれば、一時的に円買い・ドル売りが加速する可能性があり、逆に慎重・ハト派寄りのトーンが目立てば、日銀の利上げ期待後退を通じて円売りに振れやすくなる点には注意が必要です。

今日の見通し

本日のドル円は、日銀の追加利上げ観測と米利下げ観測という二つのテーマが交錯するなか、野口審議委員の発言内容を見極めたいとの思惑から、東京時間を中心に神経質な展開となりそうです。

ファンダメンタルズ分析

海外では、米景気指標の一部で減速感が意識されるなか、Fedの12月利下げ観測が一段と高まりつつあります。米10年債利回りは4%をやや下回る水準まで低下しており、金利面だけを見ればドル売り・円買い方向にバイアスがかかりやすい環境です。 一方で、株式市場は米株を中心に「利下げ期待」を好感する形で上昇基調を維持しており、リスクオンによる円売り圧力も無視できません。

日本側では、これまで慎重姿勢を崩さなかった野口委員を含め、複数の審議委員が利上げに前向きなメッセージを出していることから、「12月会合での利上げを日銀がどこまで本気で検討しているのか」が最大の焦点となっています。 本日の発言で、インフレや賃金に対する楽観的なトーンが強まり、円安が物価に与えるリスクへの言及が増えるようであれば、政策金利の引き上げを織り込む形で円買いが進みやすくなります。

もっとも、野口委員はこれまで一貫して「利上げは慎重かつ段階的に行うべき」との考え方を示しており、急速な引き締めへの警戒感も根強いと見られます。 そのため、本日のイベントは「タカ派寄りながらも慎重トーンを残すか」「本格的なタカ派シフトを印象付けるか」で市場の反応が大きく変わる可能性があります。

加えて、今夜の海外市場は米国が感謝祭(Thanksgiving)の祝日で株式・債券市場が休場となるため、NY時間の流動性は大きく低下します。実需フローやヘッジ調整に伴う一方向の動きが出た場合、普段よりも値が飛びやすくなる点にも注意が必要です。

テクニカル分析

テクニカル面では、先週の急落からの自律反発が続くなかで、155円台後半から156円台後半にかけてのレンジ相場色が一段と強まっています。昨日のローソク足は高値156.73円、安値155.66円という上下にヒゲを伴う形となっており、売り買いが交錯する中で、市場が次の方向性を見極めきれていない様子がうかがえます。終値は156.45円近辺と前日終値をやや上回ったものの、上昇の勢いが加速しているというよりは、「戻り局面の中での持ち合い」という印象が強い形です。

📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
短期の25日移動平均線は依然として下向きで推移しており、足元のレートはその近辺での攻防が続いています。中期の75日線や長期の200日線は上向きを維持しているため、大局的には上昇トレンドの調整局面と捉えることができますが、少なくとも短期的には戻り局面の中で上値の重さが意識されやすい配置です。昨日の値動きも、25日線近辺に近づくと戻り売りが出やすく、155円台後半では押し目買いが入りやすいという、「移動平均線を挟んだ綱引き」が続いている状況と言えるでしょう。

📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
終値ベースで依然として雲の下側に位置しており、遅行スパンもローソク足を下回る状態が続いていると想定されます。転換線の上抜けと下抜けを繰り返しながらも、上方には基準線や雲の下限といった抵抗帯が重なっているため、上値を切り上げていくには相応のエネルギーが必要なチャート形状です。短期的な反発が入りつつも、テクニカルの大枠としては「三役逆転が継続する中での戻り売り優勢」という見方を崩しにくく、157円台を明確に回復するような動きが出るまでは、積極的に上値を追いにくい局面が続きそうです。

📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
ゼロラインの下で推移しているものの、MACDとシグナルの乖離は徐々に縮小しており、ヒストグラムのマイナス幅もやや縮小傾向にあります。先週までのような強い下落モメンタムは一服しつつあり、155円台前半〜半ばのサポートを維持できれば、いったんは自律反発を試す余地も残されている形です。一方で、MACDがなおマイナス圏にとどまっていることを踏まえると、「本格的な上昇トレンドに転じた」というよりは、あくまで下落トレンドの中の戻り局面と見るのが妥当であり、戻り場面では上値追いよりも戻り売り戦略が意識されやすい局面だと考えられます。

こうしたテクニカル環境を総合すると、下値では昨日安値に近い155.60〜155.70円ゾーンが一つの分岐点となり、この水準を維持できる限りはレンジ内でのもみ合いが続きやすいと見られます。一方、上値については156.70円台から157.00円ちょうどにかけてが目先の重要なレジスタンスとなり、このゾーンを明確に上抜けない限り、上値追いの動きは限定的となりやすいでしょう。

シナリオ分析

今日のドル円は、日銀の追加利上げ観測と米利下げ観測という相反するテーマが同時に意識される中で、野口審議委員の発言内容に対する市場の解釈が方向感を左右する一日となりそうです。テクニカル面ではレンジ相場色が強まっているものの、ファンダメンタルズ要因によっては、どちらか一方にレンジブレイクを試す動きが出てもおかしくありません。

↗️ 上昇シナリオ(確率55%)
野口審議委員がこれまでの慎重なスタンスを踏襲し、利上げには言及しつつも「データを見極めつつ段階的に進める」といった、相対的にハト派寄りと受け止められるメッセージが中心となるケースが想定されます。円安や物価に対する懸念を示しながらも、具体的な利上げ時期やペースについて踏み込みを欠く内容となった場合、市場は「12月会合での大きなサプライズは出にくい」と判断しやすくなり、日銀側からの円高要因はやや後退します。この場合、海外市場での株高基調と米利下げ期待を背景にしたリスクオンの流れが意識され、クロス円を通じて円売りムードが強まることで、ドル円も157円方向への戻りを試す展開が視野に入ってきます。まずは昨日の高値である156.70円台を明確に上抜けられるかが焦点となり、その上では157.00円ちょうど前後が次のターゲットとして意識されるでしょう。

↘️ 下落シナリオ(確率45%)
野口審議委員がインフレや賃金の持続性に対して一段と自信を示し、「近い将来の追加利上げが必要」といったニュアンスを強めるケースが考えられます。円安の継続が物価に与える影響に踏み込んだ発言や、12月会合での判断に含みを持たせるコメントが相次いだ場合、市場は「日銀が想定よりも早いペースで正常化を進める可能性」を意識しやすくなり、短期的には円買いが加速するリスクがあります。この場合、まずは155.60〜155.70円のサポートゾーンを試す動きとなり、ここを明確に割り込むと、先週安値圏である155.00円前後が次の下値目処として意識されてきます。米国が祝日で流動性が低下するなか、一方向にポジションが偏った場合には、節目割れからオーバーシュート的な円高が進む可能性にも注意が必要です。

時間帯別の展開予想

🕘 東京時間
午前10時30分に予定されている野口審議委員のあいさつと、その後に続く記者会見を中心としたイベントドリブンの展開となることが見込まれます。発言前の時間帯は、155円台後半から156円台前半にかけてのレンジ内で、様子見ムードの強い値動きとなりやすいでしょう。あいさつ文の内容が事前配布された場合には、その文言をきっかけに一時的に円買い・円売りのフローが膨らむ可能性があり、特にマーケットがタカ派寄りと受け止めるトーンが目立つ場合には、東京午前中から下方向に値を飛ばすリスクも意識しておきたいところです。時間未定の記者会見では、質疑応答のニュアンスがヘッドラインで逐次伝わるため、短時間に行き過ぎた値動きが出る局面も考えられます。

🕔 欧州・NY時間
東京時間に形成された価格帯を引き継ぎつつ、欧州勢によるポジション調整が中心の相場展開となりそうです。米国が感謝祭で休場となることから、欧州時間のうちに一定程度ポジションを軽くしておこうとする向きも増えると見られ、結果として上値・下値ともに抜け切らないまま、前日のレンジを意識した取引が続きやすいと考えられます。NY時間は主要市場の休場により流動性が大きく低下するため、普段であれば吸収される程度のフローでも、レートが大きく振れやすい点には注意が必要です。特に、オプションのカットオフや月末要因が重なる場合には、薄商いの中で一方向の動きが加速する場面も想定されます。。

今日の予想レンジ

↕️ 予想レンジ:155.50円~157.00円
下方向については、昨日安値に近い155.60円前後が最初のサポートとして意識され、この水準を維持できる限りは、先週から続く調整レンジの範囲内での値動きにとどまりやすいと見られます。ここを明確に割り込むと、155.00円前後が次の下値目処として浮上し、その先は154円台後半までの下押しも視野に入ってきます。

🔀 上値抵抗線:156.70円、157.00円
昨日の高値水準と心理的な大台が重なることから、ファンダメンタルズ面でよほど強いドル買い材料が出てこない限り、このレンジを一気に上抜けるのは容易ではないと考えられます。とはいえ、野口審議委員の発言が想定よりもハト派寄りと受け止められた場合には、戻りを試す動きが強まり、一時的に157円台前半までショートカバーが進む可能性も否定はできません。終値ベースでは、イベントの内容を織り込みながらも、概ね上記レンジ内に収まる展開をメインシナリオとして見込んでいます。

🔀 下値支持線:155.60円、155.00円
昨日安値に近い155.60円前後が最初のサポートとして意識され、この水準を維持できる限りは、先週から続く調整レンジの範囲内での値動きにとどまりやすいと見られます。ここを明確に割り込むと、155.00円前後が次の下値目処として浮上し、その先は154円台後半までの下押しも視野に入ってきます。

🔃 ブレイクアウト条件
上方向についてはまず156.70円台から157.00円ちょうどにかけてのレジスタンスゾーンを、日足ベースで実体を伴って明確に上抜けることが必要条件となります。この水準をしっかりと超えて引けるようであれば、短期的には157円台前半〜半ばを試す上昇余地が意識されやすくなり、場合によっては158円方向へのトレンド転換を模索する流れに発展する可能性もあります。一方、下方向については155.60円前後のサポートを明確に割り込み、日足で155円台半ばを回復できない展開となった場合に、155.00円ちょうどや154円台後半といった水準が次のターゲットとして浮上しやすくなります。この場合は、先週の急落局面の再開と受け止められやすく、テクニカル上も「レンジ相場から再び下落トレンドへ」と評価が切り替わるリスクが高まる点に注意が必要です。極めが必要です。

⚠️ 注意すべきリスク要因
今日は、日銀要人発言と米国の祝日という二つの特殊要因が重なるため、通常よりも値動きが読みにくい一日になりそうです。野口審議委員の発言内容が市場の事前コンセンサスとかけ離れていた場合には、東京時間の短い時間帯にドル円が大きく振れる可能性があり、その後の欧州・NY時間では薄商いの中でその反動が出ることも想定されます。テクニカル的にもレンジ上限・下限がはっきりしている分、どちらか一方の節目を抜けた際にはストップロスを巻き込みやすく、オーバーシュート気味の値動きには十分な警戒が必要です。

☑️ 投資判断における留意点
こうした環境では、イベント前後に大きなレバレッジをかけてポジションを持ち越すことは避けたいところです。すでにポジションを保有している場合には、野口発言の前にストップロスの水準を明確に決めておくとともに、指標ヘッドラインの初動に飛び乗るのではなく、ある程度落ち着いた後に上位時間軸のトレンドとテクニカルポイントを確認しながら取引を検討することが重要になります。短期的な値動きに翻弄されるよりも、中期的なシナリオの中で、自分がどの水準でリスクを取るのかをあらかじめ整理しておくことが、本日のようなボラティリティの高まりやすい相場では特に求められるスタンスと言えるでしょう。

免責事項

本記事は、為替相場の動向に関する一般的な情報提供・分析を目的としたものであり、特定の通貨ペアの売買や投資を推奨するものではありません。投資判断は、読者ご自身の責任と判断において行ってください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト運営者は一切の責任を負いません。