おはようございます。Trader MTです。ドル円は自律反発が一服し、156円台後半では戻り売りが意識される展開が続いています。今夜は米新規失業保険申請件数と感謝祭前のポジション調整が重なり、指標後にボラティリティが高まりやすい地合いです。155~157円のレンジをメインに想定しつつ、米金利の動きとヘッドラインにはいつも以上に注意していきましょう😌(公開時刻:08:01/日本時間)
昨日の振り返り
昨日のドル円は、先週から続いてきた自律反発の流れが一服し、戻り売り圧力の強さを意識させる一日となりました。東京時間は材料難の中で156円台後半を中心とした小動きにとどまりましたが、欧州時間以降は米長期金利の低下や12月利下げ観測の強まりを背景にドル売りが優勢となり、NY時間には一時155円台後半まで下押しする場面も見られました。最終的には156円台前半で引けており、始値156.91円、高値156.98円、安値155.81円、終値156.04円と、約1.2円のレンジの中で上値の重さと下値不安が同時に意識された展開だったと言えます。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年11月25日 | 156.911 | 156.982 | 155.803 | 156.043 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
25日の東京時間のドル円は、前日終値近辺の156.90円前後で取引をスタートしました。早朝こそ156円台後半でもみ合いましたが、その後も目立った新規材料に乏しく、156.70~156.90円近辺での小動きが続きました。国内勢は、先週からの乱高下を経てポジション調整を優先する向きが多く、積極的な方向感を伴うフローは限られました。
午前中は、日経平均株価が前日比でプラス圏とマイナス圏を行き来する中、リスクオン・リスクオフいずれにも大きく傾かない環境となり、ドル円も156円台後半でのレンジ取引が中心となりました。市場の関心は、前日までに急速に進んだ米長期金利低下と12月利下げ観測の行方に向いていたものの、東京時間中は新たな材料に乏しく、「米金利待ち」「欧米時間待ち」の様相が強かったと言えます。
午後に入っても流れは大きく変わらず、156円台半ばから後半でのレンジ相場が継続しました。欧州勢の本格参入を前にポジションを傾ける動きは限定的で、仲値通過後も実需フローが断続的に下値を支える一方、157円台手前では戻り売りが上値を抑える格好となりました。結果として、東京時間は方向感に欠けるものの、156円台後半の上値の重さと、156円台前半では押し目買いが入りやすい構図が改めて確認される一日となりました。
欧州・NY時間
欧州時間に入ると、ドル円は156円台後半からじりじりと上値を試す動きとなりましたが、157円ちょうどの大台やその手前では戻り売りが厚く、156.90円台で上値を抑えられる展開が続きました。欧州株は総じて堅調に推移し、リスクオンの雰囲気自体は維持されていたものの、米長期金利の低下基調が続く中で、ドル買いを積極的に進めるだけの材料には乏しい状況でした。
NY時間に入ると、相場の主役は米金利となりました。米10年債利回りは4%ちょうど近辺まで低下し、約1カ月ぶりの水準を付けるなど、米国債買い・利回り低下の流れが一段と強まりました。 一連の経済指標が予想をやや下回る内容となったことで、12月FOMCでの追加利下げ観測が再び高まり、ドル全体に売り圧力がかかりました。
ドル円もこの流れを受けて156円台後半から下落基調に転じ、156円ちょうどの節目を割り込むとストップロスを巻き込みながら下げ足を速め、一時155.80円近辺まで下押ししました。その後は、米株式市場がダウ平均で+600ドル超の大幅高となるなど、リスクオンの流れが強まったこともあって円買い一辺倒の動きにはならず、NY終盤にかけては156円台前半まで持ち直して引けています。
今日の注目材料
本日最も注目される指標は、日本時間22時30分に発表される米国の新規失業保険申請件数です。週間統計であることからブレも大きい指標ですが、足元では22万件台前半で比較的落ち着いた水準が続いており、今回の市場予想は22.5万件、前回実績は22.0万件となっています。
| 時間 | 通貨 | 指標 | 重要度 | 前回 | 予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 22:30 | 🇺🇸 | 新規失業保険申請件数 | ⚡⚡ | 22.0万件 | 22.5万件 |
予想通り、あるいはそれを下回る結果となれば、労働市場の堅調さが再確認され、過度な利下げ期待をやや後退させる材料となり得ます。一方で、予想を大きく上回る増加となれば、雇用の減速懸念が強まり、米長期金利の一段の低下とドル売り圧力を誘う可能性があります。
新規失業保険申請件数は単独でトレンドを決定づける性格の指標ではありませんが、足元で12月利下げ観測が高まる中では、労働市場の減速を確認する材料として、いつも以上に市場の注目度が高まりやすい局面と言えます。
また、明日27日(木)は米国市場が感謝祭で休場となり、翌28日(金)も短縮取引となるため、多くの市場参加者は本日中にポジションを調整する動きに出るとみられます。このため、経済指標の結果に市場が過敏に反応し、通常よりもボラティリティが高まる可能性には警戒が必要です。流動性が低下する中での思わぬ急変動には十分注意したいところです。
日本側からの新たな材料は現時点で見当たりませんが、政府・日銀による円安牽制発言や為替介入への警戒感は常に市場の片隅にあります。155円台まで下落したことで介入の緊急性は後退したとみられますが、再び円安が急ピッチで進むような場面では、当局のスタンスが再び意識されることになるでしょう。
今日の見通し
今日のドル円は、前日の米金利低下とドル安の流れをどこまで引き継ぐか、そして新規失業保険申請件数の結果がその流れに追い打ちをかけるかどうかが焦点となります。
ファンダメンタルズ分析
米10年債利回りは4%ちょうど近辺まで低下しており、ここ数日で4日連続の低下となるなど、「12月追加利下げ」シナリオを意識した金利調整が続いています。 一方で、米株式市場はダウ平均が600ドル超の上昇となるなど、利下げ期待を好感する形でリスクオンが進行しており、為替市場では「株高・ドル安・円高」というやや複雑な組み合わせとなっています。
こうした環境下でのドル円は、日米金利差の縮小を背景とした中期的な下押し圧力と、リスクオン地合いに伴う円売り圧力が綱引きとなり、155~157円台の中で方向感を探る展開が続きやすい状況です。本日は米雇用関連指標が控えていることもあり、指標発表まではポジション調整中心の値動きとなりそうですが、発表後は金利・株価・ドルインデックスの動きに連動して一時的にボラティリティが高まる可能性があります。
テクニカル分析

テクニカル的には、昨日の大幅下落により短期的な上昇トレンドに変化の兆しが見られます。これまでサポートとして機能してきた水準を割り込んでおり、目線はやや下向きに傾いています。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
日足チャートを見ると、25日のローソク足は上値の短い陰線となり、高値は前日の157円台前半を下回る156.98円にとどまる一方、安値は155.81円まで切り下げており、短期的には「戻り売り優勢」の流れが続いていることを示唆しています。
短期の25日移動平均線は依然として下向きで推移しており、レートはそのやや下方での攻防が続いています。75日・200日移動平均線はなお上向きを維持しているものの、短期のトレンドは明確に調整局面に入っていると見てよいでしょう。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
一目均衡表では、価格が雲の下側に位置し、遅行スパンもローソク足を下抜けている状態が続いており、依然として「三役逆転」が継続しています。足元では転換線近辺での攻防が続きますが、その上に基準線と雲の下限が控えており、157円台を明確に上抜けない限り、本格的な上昇トレンド回帰を想定するのは時期尚早といった印象です。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDはシグナルラインの下でマイナス圏を推移しているものの、両者の乖離は徐々に縮小しており、ヒストグラムのマイナス幅もやや縮小傾向にあります。下落モメンタムはピークアウトしつつある可能性があり、155円台前半~半ばのサポートゾーンをしっかりと維持できれば、再度の戻り局面入りを模索する余地も残されています。
現時点で意識される水準としては、上値は157.00円前後と、25日高値圏の156.90~157.00円台前半、下値は昨日の安値近辺である155.80円、そしてその下の155.00円前後が重要な節目となりそうです。
シナリオ分析
↗️ 上昇シナリオ(確率40%)
米新規失業保険申請件数が市場予想を下回るなど、労働市場の底堅さを示す結果となった場合、過度に織り込まれた12月利下げ期待がやや後退し、米長期金利の反発とともにドル買いが優勢となる可能性があります。この場合、まずは156円台半ばをしっかりと回復できるかが焦点となり、その上で昨日の高値圏である156.90~157.00円を明確に上抜けることができれば、157.30円近辺、さらには158.00円台乗せを試す展開も視野に入ります。
もっとも、157円台に近づくにつれて日本当局による為替介入への警戒感が再び意識されやすく、上値追いの勢いは途中で鈍りやすい点には注意が必要です。上昇シナリオが実現したとしても、短期間で一気に160円方向へと駆け上がるというよりは、介入警戒感をにらみつつ上値を試す「じり高」の形が想定されます。
↘️ 下落シナリオ(確率60%)
一方、米新規失業保険申請件数が市場予想を上回る増加となり、労働市場の減速懸念が強まった場合には、「利下げの前倒し観測」が一段と強まり、米長期金利の低下とともにドル売りが加速する可能性があります。この場合、まずは昨日の安値水準である155.80円近辺のサポートを試す展開が想定されます。ここを明確に割り込むと、155.50円、155.00円といった水準をターゲットとする下落局面に移行するリスクが高まります。
テクニカル面でも、雲の下で三役逆転が続いている現状を踏まえると、下方向へのブレイクが起きた場合の値幅は相対的に大きくなりやすく、155円割れを視野に入れた値動きには十分な警戒が必要です。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
本日の東京時間は、夜に米雇用関連指標を控えていることもあり、基本的には様子見ムードが続きそうです。国内からは目立った材料が予定されておらず、仲値にかけては輸入企業のドル買いが断続的に観測される一方、156円台半ばから上では戻り売りが出やすく、レンジの上限も意識されそうです。
日経平均株価が前日の米株高を素直に受け止めて堅調に推移するようであれば、リスクオンの円売りがややドル円を支える可能性はありますが、米金利低下を背景としたドル売り圧力も根強く、156円台前半~半ばを中心とした小幅な値動きにとどまる公算が大きいと見ています。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間は、米指標待ちの中でポジション調整中心の相場展開となりそうです。欧州勢のフロー次第では一時的に156円台後半を試す場面も考えられますが、米金利が4%近辺まで低下している現状を踏まえると、157円台を積極的に攻めるような動きは出にくいと想定されます。
NY時間に入ると、22時30分発表の新規失業保険申請件数をきっかけにボラティリティが高まる可能性があります。結果がサプライズとなった場合には、米金利と株価、ドルインデックスが連動して大きく振れ、それに追随する形でドル円も一方向に走るリスクがあります。その後の値動きについては、初動の動きが継続するのか、それとも「往って来い」で打ち消されるのかを見極める必要があり、指標発表直後の数分間はスプレッドの拡大や乱高下に注意が必要です。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:155.50円~157.00円
上値は157.00円ちょうどの大台と前日高値近辺が強いレジスタンスとして意識される一方、下値は155.80円近辺と、その下の155.50円が重要なサポートゾーンとなりそうです。米指標がサプライズに終わった場合には、このレンジを上下に一時的に突き抜ける局面も想定されますが、終値ベースでは概ねこのレンジ内に収まるイメージをメインシナリオとしています。
🔀 上値抵抗線:156.50円、157.00円
156.50円は、昨日の下落後の戻り局面で上値が抑えられた水準であり、最初の抵抗線として意識されます。この水準を明確に上抜けることができれば、昨日の高値156.98円を含む157.00円の心理的節目が次のターゲットとなるでしょう。
🔀 下値支持線:155.80円、155.50円
155.80円近辺は昨日の安値であり、最重要のサポートレベルです。ここを割り込むと、下落に弾みがつく可能性があります。その場合、次の目標は心理的な節目であり、過去にもサポートとして意識された155.50円となります。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向へのブレイクアウトは、157.00円を明確に上抜けた場合と考えられます。強い米経済指標などをきっかけに利下げ観測が後退すれば、短期的な下落トレンドが終了し、再び上昇基調に戻る可能性が出てきます。下方向へのブレイクアウトは、昨日の安値である155.80円を終値ベースで割り込んだ場合です。ドル売りの流れが継続していることの確認となり、155円台前半への下落が視野に入ります。
⚠️ 注意すべきリスク要因
本日は、比較的発表内容のブレが大きい週間指標が相場のトリガーとなる可能性がある点に注意が必要です。新規失業保険申請件数は一回分の結果だけでトレンドを判断すべき指標ではありませんが、足元では「利下げ時期」に神経質になっていることもあり、サプライズが出た場合には市場の反応が過度に振れやすい地合いと言えます。
イベントドリブンな一日となるため、指標発表の直前直後にレバレッジを高めるポジション構築は避け、結果と初動の値動きを確認した上で、トレンドの方向に沿って慎重にエントリーすることが望ましいでしょう。短期足だけでなく、1時間足や4時間足といった上位時間軸のトレンドも併せて確認しながら、戻り売り・押し目買いの水準を見極めていきたいところです。
☑️ 投資判断における留意点
本日は、米新規失業保険申請件数の結果を見極めることが重要です。指標発表までは様子見に徹し、発表後の市場の反応と方向性を確認してからエントリーを検討するのが賢明でしょう。また、休暇前のポジション調整の動きは予測が難しいため、短期的な値動きに一喜一憂せず、大きなトレンドを見極める冷静な判断が求められます。
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