おはようございます。Trader MTです。ドル円はついに157円台まで一段高と、かなりの高値圏に入ってきましたね。今日はなんといっても夜の米雇用統計がメインイベントで、発表前は様子見、発表後は大きく振れやすい一日になりそうです。それでは、今日もサクッとポイントを確認しておきましょう😌(公開時刻:08:10/日本時間)
昨日の振り返り
昨日のドル円相場は、東京時間から円安地合いが続くと、欧州時間には日本の三者会談で明確な円安けん制が見られなかったことをきっかけに一段高となりました。その後、NY時間には米国の金融引き締めが長期化するとの観測からドル買いがさらに加速し、10月のFOMC議事録公表後には一時157円台に乗せるなど、終日ドル高・円安の流れが鮮明となった一日でした。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年11月19日 | 155.453 | 157.180 | 155.211 | 157.136 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
昨日の東京時間のドル円は、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、底堅い展開で始まりました。朝方は155円台後半で取引が開始されると、目立った材料がない中でじりじりと下値を切り上げる動きとなりました。日経平均株価が堅調に推移したことも、リスク選好の円売りを誘う一因となったと考えられます。ただし、夜に海外での重要イベントを多数控えていたことから、積極的な売買は手控えられ、値幅は限定的でした。
また、仲値にかけては本邦実需筋による目立ったフローも観測されず、全体的には様子見ムードの強い相場つきだったと言えるでしょう。シンガポール首相から「日本と中国が緊張緩和の道を見いだすよう希望する」との発言が伝わりましたが、為替市場への直接的な影響は限定的でした。
結局、午後の取引でも円安地合いは変わらず、156円の節目を前にやや上値の重い展開が続きました。しかし、下値も堅く、155円台後半のサポートラインは維持されました。欧州時間のイベントを前に、市場は次の材料を待つ形で、ドル円は155円台後半から156円手前のレンジで静かに推移し、東京時間の取引を終えました。この時間帯の底堅い動きが、その後の上昇への布石となった格好です。
欧州・NY時間
欧州時間に入ると、東京時間の静けさから一転してドル円は大きく動き出しました。最大の変動要因は、市場が注目していた日本の財務省・金融庁・日銀による三者会談の結果です。この会合後、当局者から市場が期待していたような強力な円安けん制発言が聞かれなかったことで、「事実上の円安容認」との見方が広がりました。これを受けて、これまで円安進行を抑制していた介入警戒感が後退し、失望感から円売り・ドル買いが殺到。ドル円は一気に156円台へと上伸し、ロンドン市場中盤には156.10円近辺まで値を上げました。
NY時間に入ると、この流れはさらに加速しました。米長期金利の上昇を背景に、日米金利差の拡大を意識した円売り・ドル買いが継続。いわゆる「円キャリー取引」が再び活発化したとの観測も広がり、ドル円は156円台半ば、さらには156.80円近辺まで上昇幅を拡大しました。この間、米国の住宅ローン申請指数が-5.2%と弱い結果となったものの、相場への影響は皆無でした。市場の関心は、日本時間午前4時に公表される10月開催分のFOMC議事録に完全に移っていました。
そして、注目のFOMC議事録が公表されると、その内容が市場でタカ派的、すなわち金融引き締めに前向きであると受け止められました。これを受けて米長期金利が一段と上昇し、ドル買いが最終的にクライマックスを迎えます。ドル円は一気に買い進まれ、ついに心理的な大台である157円台を付けました。さすがにその後は達成感から若干値を戻したものの、高値圏を維持したままNY市場の取引を終了。東京時間の朝方には157.00円台で取引が開始されており、ドル高・円安トレンドの強さを改めて市場に示す結果となりました。
今日の注目材料
本日は、為替相場の動向を左右する最重要イベントが目白押しであり、トレーダーにとっては極めて重要な一日となります。特に、日本時間22時30分に発表される米国の雇用統計は、FRBの金融政策の先行きを占う上で最大の注目材料であり、この結果次第で相場が大きく動くことは必至です。さらに、雇用統計発表後には複数のFRB高官発言も予定されており、市場のボラティリティが極めて高まることが予想されます。
本日注目すべき主な経済指標・イベントは以下の通りです。
| 時間 | 通貨 | 指標 | 重要度 | 前回 | 予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10:30 | 🇯🇵 | 日銀審議委員小枝氏の発言 | ⚡⚡ | - | - |
| 22:30 | 🇺🇸 | 雇用統計 | ⚡⚡⚡️ | - | - |
| 22:30 | 🇺🇸 | 失業率 | ⚡⚡⚡️ | - | - |
| 22:30 | 🇺🇸 | 製造業雇用者数 | ⚡⚡⚡️ | - | - |
| 22:30 | 🇺🇸 | 平均時給 | ⚡⚡⚡️ | - | - |
| 22:30 | 🇺🇸 | 新規失業保険申請件数 | ⚡⚡ | - | - |
| 23:30 | 🇺🇸 | FRB理事バー氏の発言 | ⚡⚡ | - | - |
| 25:00 | 🇺🇸 | FRB理事クック氏の発言 | ⚡⚡ | - | - |
| 26:40 | 🇺🇸 | シカゴ連銀総裁グールズビー氏の発言 | ⚡⚡ | - | - |
まず、東京時間午前10時30分には、小枝日銀審議委員の発言が予定されています。日銀の金融政策の正常化プロセスに関心が集まる中、今後の追加利上げの可能性や、現在の円安水準に対する見解が示されるかどうかが注目されます。もしタカ派的な姿勢が示されれば、一時的に円を買い戻す動きが強まる可能性も考えられます。
しかし、本日のメインイベントは、何と言っても日本時間22時30分に集中しています。ここで発表される米国の雇用統計は、非農業部門雇用者数、失業率、そしてインフレ動向を占う上で極めて重要な平均時給など、複数の重要指標が同時に公表されます。非農業部門雇用者数が市場予想を上回る強い結果となれば、米経済の底堅さが示され、FRBの利下げ期待が後退することから、ドル高・円安要因となるでしょう。逆に、予想を下回る弱い結果であれば、景気減速懸念からドル安・円高に振れる可能性が高まります。
特に注目したいのが平均時給の伸びです。賃金の上昇はサービス価格への波及を通じてインフレの粘着性につながるため、FRBが最も警戒している指標の一つです。平均時給の伸びが市場予想を上回るようだと、インフレ再燃懸念からドルは大きく買われる可能性があります。
さらに、雇用統計発表後には、23時30分のバーFRB理事を皮切りに、深夜にかけてクックFRB理事、グールズビー・シカゴ連銀総裁と、FRB高官の発言が相次ぎます。彼らが最新の雇用統計の結果をどのように評価し、今後の金融政策についてどのような見解を示すのか、市場は固唾をのんで見守ることになるでしょう。発言内容によっては、雇用統計発表後の相場の流れをさらに加速させる、あるいは反転させる力を持つため、最後まで予断を許さない状況が続きます。
今日の見通し
本日のドル円相場は、米雇用統計という最重要イベントを控え、発表までは様子見ムードが支配的となる一方、発表後は結果次第で乱高下する展開が予想されます。ドル高の地合いは強いものの、結果次第で流れが急変するリスクを常に念頭に置く必要があります。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ面での焦点は、日本時間22時30分に発表される米国雇用統計とその後のFRB高官発言に絞られます。現在の市場コンセンサスを上回る強い雇用統計(高い雇用者数の伸び、低い失業率、高い平均時給の伸び)が示された場合、米国のインフレ鎮静化への道のりが依然として険しいことを示唆します。これにより、市場が織り込んでいるFRBの利下げ期待は大幅に後退し、日米の金利差拡大を材料としたドル買い・円売りが再燃する可能性が非常に高いでしょう。昨日の157円台乗せの勢いがさらに加速することも十分に考えられます。
逆に、雇用統計が市場予想を大きく下回る弱い結果となった場合、米経済の減速懸念が一気に高まります。これはFRBによる早期利下げ観測を強める材料となり、米長期金利の低下を通じてドルが全面的に売られる展開が想定されます。この場合、ドル円は急速に値を戻し、昨日からの上昇分を帳消しにするような下落に見舞われるリスクがあります。
東京時間に予定されている小枝日銀審議委員の発言も注目されますが、その影響は雇用統計に比べれば限定的となる見込みです。ただし、円安に対して極めて強いけん制姿勢を示すなど、サプライズ的なタカ派発言が飛び出した場合には、短期的に円買いを誘発する可能性には注意が必要です。いずれにせよ、本日の相場は米国の労働市場のデータによってその日の運命が決定づされると言っても過言ではありません。
テクニカル分析

昨日157円台に乗せたことで、ドル円の上昇トレンドはさらに勢いを増しています。各種テクニカル指標も総じて強気を示唆していますが、短期的な過熱感も意識され始める水準であり、指標発表をきっかけとした調整下落には警戒が必要です。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
日足チャートでは、短期の25日線、中期の75日線、長期の200日線の全てが上向きを維持しており、各線が順番に並ぶ「パーフェクトオーダー」が継続しています。これは非常に強い上昇トレンドを示唆する典型的な形状であり、買い方優位の地合いが続いていることを示しています。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
日足の一目均衡表では、ローソク足が分厚い「雲」のはるか上方に位置し、転換線が基準線を上回る「好転」状態が続いています。また、遅行スパンも日々線を大きく上抜けており、「三役好転」という最も強い買いシグナルが点灯中です。目先のサポートとして、転換線や基準線が意識されます。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDは、MACD線がシグナル線を上回った状態で推移しており、上昇モメンタムの継続を示唆しています。ヒストグラム(MACD線とシグナル線の乖離)もプラス圏で拡大傾向にあり、買いの勢いが衰えていないことを示しています。ただし、高値圏での推移が続いているため、デッドクロスへの転換には注意が必要です。
主要なサポートとしては、昨日の上昇過程で意識された156.50円、そして心理的節目である156.00円が挙げられます。一方、レジスタンスとしては、昨日の高値である157円台前半、そしてその上は157.50円、158.00円といった心理的な節目がターゲットとして視野に入ってきます。
シナリオ分析
↗️ 上昇シナリオ(メインシナリオ:確率60%)
最も可能性が高いメインシナリオは、ドル高・円安トレンドの継続です。具体的な強気要因としては、①米国雇用統計の非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回る、②平均時給の伸びが加速し、米国のインフレ懸念が再燃する、③雇用統計発表後のFRB高官らが総じてタカ派的な見解を示し、利下げ期待をけん制する、といった展開が挙げられます。これらの要因が重なれば、ドル買いの勢いはさらに強まるでしょう。この場合、まずは昨日の高値である157円台前半を突破し、次の心理的節目である157.50円、さらには158.00円を目指す動きが考えられます。
↘️ 下落シナリオ(サブシナリオ:確率40%)
サブシナリオとして、雇用統計の弱い結果を受けた調整下落も十分に想定しておく必要があります。具体的な弱気要因としては、①非農業部門雇用者数が予想を大きく下回り、失業率も悪化するなど、米労働市場の明確な減速が示される、②平均時給の伸びが鈍化し、インフレ圧力の後退が確認される、③日本の当局者から改めて強い円安けん制発言が飛び出し、介入警戒感が再燃する、といったケースです。この場合、まずは昨日の上昇過程でサポートとなった156.50円を割り込み、次のサポートである156.00円、さらには25日移動平均線が控える155円台半ばを試す展開が想定されます。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
本日の東京時間は、夜に米雇用統計という最大のイベントを控えているため、市場参加者の多くが様子見姿勢に徹し、動意に乏しい展開となる可能性が高いでしょう。午前10時30分の小枝日銀審議委員の発言内容には一時的に反応する場面も考えられますが、トレンドを形成するほどの動きにはなりにくいと見られます。基本的には、昨日終値である157円を挟んだ、156円台後半から157円台前半での狭いレンジ内での取引が続くと予想されます。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入っても、雇用統計待ちのムードは継続する見込みです。しかし、日本時間22時30分の発表時刻が近づくにつれて、ポジション調整の動きから神経質な値動きとなる可能性があります。そして、発表の瞬間が本日のクライマックスとなります。指標の結果を受けて、ドル円は瞬時に1円以上の値幅で乱高下する可能性も否定できません。強い結果であれば158円方向へ、弱い結果であれば156円方向へと、一気に方向感が出るでしょう。その後は、FRB高官らの発言内容を消化しながら、新たなトレンドを形成していく展開が予想されます。ロンドンフィキシングやNYクローズにかけても、ボラティリティの高い状態が続くため、取引には最大限の注意が必要です。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:156.20円~158.20円
米雇用統計の結果次第で上下双方に大きく振れる可能性を考慮し、レンジは広めに設定します。強い結果なら158円台、弱い結果でも156円台前半のサポートは意識されると想定します。
🔀 上値抵抗線:157.50円、158.00円
最初の抵抗線は、心理的な節目となる157.50円です。昨日の高値を明確に超えてこの水準に到達した場合、市場のセンチメントはさらに強気に傾くでしょう。ここを突破すると、次のターゲットは重要な大台である158.00円となります。米雇用統計が市場予想を大幅に上回る強い内容であれば、この水準への到達も十分に視野に入ります。
🔀 下値支持線:156.50円、156.00円
目先の下値支持線は、昨日の上昇過程でレジスタンスからサポートへと転換した156.50円近辺です。ここを割り込むと、より強力なサポートとして意識されるのが心理的大台の156.00円です。この水準は多くの市場参加者が意識するレベルであり、雇用統計がよほど悪い結果でない限り、一旦は下げ止まる可能性が高いと考えられます。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向へのブレイクアウトは、米雇用統計の強い結果を受けて、157.50円のレジスタンスを明確に上抜けた場合に発生すると考えられます。この場合、上昇の勢いが加速し、158円台を目指す動きが本格化するシグナルと見なせます。逆に下方向へのブレイクダウンは、雇用統計の極端に弱い結果を受けて156.00円の強力なサポートを割り込んだ場合です。これは短期的な上昇トレンドの転換を示唆し、155円台への下落が視野に入ってくるでしょう。
⚠️ 注意すべきリスク要因
最も注意すべきリスクは、雇用統計の各指標が強弱まちまちな「まだら模様」の結果となることです。例えば、非農業部門雇用者数は強いものの、失業率が悪化し、平均時給は鈍化するといったケースです。このような場合、市場は結果の解釈に迷い、方向感が定まらずに上下に激しく振れる乱高下相場となる可能性があります。一方向にポジションを傾けるのは危険であり、冷静な判断が求められます。
☑️ 投資判断における留意点
本日は、今年最もボラティリティが高まる一日となる可能性があります。特に、米雇用統計の発表前後(22時30分前後)は、スプレッドが急拡大し、予期せぬ価格で約定するリスクが極めて高まります。経験の浅いトレーダーは、この時間帯の取引を避け、相場が落ち着いてからエントリーするのが賢明です。ポジションを持つ場合でも、通常よりサイズを小さくし、必ず損切り注文を設定するなど、徹底したリスク管理が不可欠です。発表後の初動に飛び乗るのではなく、その後のFRB高官発言なども見極め、トレンドの方向性を確認してから慎重に判断することが求められます。
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