おはようございます。Trader MTです。昨日のドル円は世界的な株安や米金利低下にもかかわらず、円売り優勢で155円台半ばまでしっかりと上昇しました。本日は深夜のFOMC議事録とFRB要人発言を控え、155円台を中心に様子見ムードが強まりやすい一日になりそうです。それでは、今日も無理のない範囲で相場を追いかけていきましょう😌(公開時刻:07:57/日本時間)
昨日の振り返り
昨日のドル円相場は、東京時間に株安を背景としたリスク回避の円買いが先行したものの、欧州・NY時間にかけてその動きを完全に打ち消し、一時155.70円近辺まで上値を伸ばす力強い展開となりました。世界的な株安や米長期金利の低下といった、通常であればドル円の下押し圧力となる要因をものともせず、根強い円売り圧力が相場全体を支配した一日であったと言えるでしょう。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年11月18日 | 155.174 | 155.732 | 154.814 | 155.453 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
昨日の東京時間のドル円は、リスク回避ムードの高まりを背景に、上値の重い展開で始まりました。日経平均株価が前日比で一時1620円以上も下落(終値ベースで-3.22%)するという大幅な下げに見舞われたことが、市場のセンチメントを急速に悪化させました。この世界的な株安の流れを受け、投資家はリスク資産から資金を引き揚げる動きを強め、安全資産とされる円を買い戻す動きが優勢となりました。相場は朝方から軟調に推移し、午後に向けて円買い圧力が一段と強まる場面も見受けられました。
仲値公示にかけては、本邦実需筋のフローが交錯したものの、市場の関心はもっぱら株式市場の動向に集中していました。特に、午後の取引時間帯には「株安などを受けたリスク警戒の円買いが午後に強まる」との声が聞かれるなど、リスクオフの地合いが為替市場にも直接的な影響を及ぼしました。政府・日銀関係者からの目立った発言はなく、市場参加者は株価の下げ止まりを見極めようと、神経質な取引を続けていた模様です。
結局、東京時間のドル円は、株価下落を主因とする円買い圧力に押され、終始軟調な地合いが続きました。しかし、下値を積極的に売り込むほどの勢いはなく、155円台を大きく割り込むまでには至りませんでした。これは、欧州勢の本格参入を前にポジション調整の動きが中心であったことや、根底に存在する円売り需要が下値を支えた結果と考えられます。日本時間8時から17時にかけては、リスク回避の円買いが優勢ながらも、決定的な方向感を見出すには至らない展開で取引を終えました。
欧州・NY時間
欧州時間に入ると、東京時間のリスク回避的な円買いムードは一変しました。欧州の主要株価指数である英FTSE100が-1.27%下落するなど、株式市場の軟調な地合いは続いていたにもかかわらず、「根強い円売り圧力」が顕在化し、ドル円は力強く反発しました。円は対ドルだけでなく、ユーロやポンドなど他の主要通貨に対しても売られる展開となり、円独歩安の様相を呈し始めたのです。この動きは、日米欧の金融政策の方向性の違いが改めて意識された結果と分析できます。
ニューヨーク時間に入っても、この流れはさらに加速しました。ダウ平均株価が続落(-1.07%)し、市場の不安心理を示す「恐怖指数」が大幅に上昇するなど、リスク回避の雰囲気は継続していました。しかし、ドル円はこうした外部環境の悪化を全く意に介さず、上げ幅を拡大し、一時155.70円近辺まで上値を試す展開となったのです。この動きは、市場がリスク回避の手段として「円買い」ではなく「ドル買い」を選択したこと、そしてそれを上回るほどの強力な「円売り」が存在することを示唆しています。
特筆すべきは、米国の金融政策を占う上で重要な米10年債利回りが低下した点です。「株安と米労働市場の弱さを示す新たな兆候」を背景に債券が買われた(利回りは低下)にもかかわらず、ドルが買われ円が売られるという、教科書通りとは言えない動きが見られました。これは、世界経済の先行き不透明感から基軸通貨であるドルに資金が逃避する動きと、日本の金融緩和継続観測に基づく構造的な円売り圧力が複合的に作用した結果と考えられます。ロンドンフィキシングにかけてもドル買い需要が観測され、ドル円は高値圏を維持したまま、この日の取引を終えました。
今日の注目材料
本日の為替市場は、深夜に発表される米国の金融政策関連のイベントに最大の注目が集まります。日中は比較的材料に乏しい展開が予想されるものの、世界的にリスク回避ムードが継続する中、株式市場や長期金利の動向には引き続き注意が必要です。
| 時間 | 通貨 | 指標 | 重要度 | 前回 | 予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 24:00 | 🇺🇸 | FRB理事ミラン氏の発言 | ⚡⚡ | - | - |
| 28:00 | 🇺🇸 | FOMC議事録公表 | ⚡⚡⚡️ | - | - |
| 28:00 | 🇺🇸 | NY連銀総裁ウィリアムズ氏の発言 | ⚡⚡ | - | - |
| 米株引け後 | 🇺🇸 | エヌビディア決算 | ⚡⚡⚡️ | - | - |
本日のメインイベントはニューヨーク時間深夜に予定されている2つの金融イベントです。
まず、本日深夜24時(日本時間11月20日午前0時)には、ミランFRB理事の発言が予定されています。同理事は今年のFOMCで投票権を持っており、その発言は金融政策の方向性を探る上で極めて重要です。昨日の市場では「米労働市場の弱さを示す新たな兆候」が意識され、米長期金利が低下しました。こうした経済の変調の兆しや、世界的な株安を受けて、ミラン理事がどのような見解を示すのかに注目が集まります。景気に対して慎重な、いわゆるハト派的な姿勢を示せばドル売り圧力に、インフレ抑制を優先するタカ派的な姿勢を維持すればドル買い材料となるでしょう。
そして、本日深夜28時(日本時間11月20日午前4時)には、10月28日・29日に開催されたFOMCの議事録が公表されます。この議事録からは、政策金利の据え置きを決定した会合で、FRBの政策担当者たちがどのような議論を交わしたのか、その詳細が明らかになります。特に、インフレ見通しや今後の利上げペース、景気後退リスクに対する委員間の意見の温度差などが最大の焦点となります。もし、多くの委員が追加利上げの必要性を強調していたり、インフレへの強い警戒感を示していたりする内容であれば、タカ派的と受け止められドル買いを誘うでしょう。逆に、景気減速への懸念が強く示されていれば、ハト派的な内容としてドル売りにつながる可能性があります。
これらの重要イベントを前に、市場参加者はポジション調整に動きやすく、神経質な展開が予想されます。「リスク回避の雰囲気継続」と「悪い円安」という相反するテーマが交錯する中、FRBの金融政策スタンスを見極めたいとの思惑が、本日の相場を支配することになりそうです。
今日の見通し
本日のドル円相場は、世界的な株安を背景としたリスク回避ムードと、根強い円売り圧力との綱引きが続く見通しです。深夜のFOMC議事録公表とFRB理事の発言を前に、155円台での方向感に乏しい、神経質な値動きが予想されます。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ面での最大の焦点は、本日深夜に控えるミランFRB理事の発言とFOMC議事録公表です。市場は、最近の株安や景気減速の兆候を受けてもなお、FRBがインフレ抑制を最優先とするタカ派的なスタンスを維持するのかどうかを見極めようとしています。議事録の内容が市場の想定よりもタカ派的であれば、米長期金利が反発し、ドル買いが再燃する可能性が高いでしょう。逆に、景気への配慮を求めるハト派的な意見が目立つようであれば、利上げサイクルの終了が意識され、ドル売り圧力が強まる展開も考えられます。
一方で、日本銀行は現行の大規模金融緩和を当面維持するとの見方が大勢であり、日米の金融政策の方向性の違いは明らかです。この金利差を背景とした構造的な円売り・ドル買い需要は根強く、ドル円の下値を支える要因として機能し続けるでしょう。世界的な株安がさらに進行すれば、一時的にリスク回避の円買いが強まる場面も想定されますが、昨日の動きを見る限りその影響は限定的で、むしろ押し目買いの好機と捉える市場参加者も多いと考えられます。したがって、ファンダメンタルズ的には、下値は堅く、上値を試す地合いが継続すると見るのが妥当ではないでしょうか。
テクニカル分析

テクニカル的には、ドル円は強い上昇トレンドを維持しており、155円台という高値圏で足場を固める動きを見せています。ただし、短期的には過熱感も意識される水準であり、主要なサポートラインを維持できるかが今後の展開を占う上で重要なポイントとなります。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
日足チャートでは、短期の25日線を上に、続いて75日線、200日線が並ぶパーフェクトオーダーが継続しています。25日線と75日線は明確な上向きで推移しており、200日線も横ばいから緩やかに上向きへ転じつつある状態です。いずれも価格の下方で位置しているため、地合いの強さを裏付ける形となっています。短期的には25日線が最初の重要なサポートとして意識されます。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
一目均衡表では、ローソク足が転換線や基準線の上方に位置し、先行スパンで構成される雲も大きく下で控えています。転換線が基準線を上回り、遅行スパンもローソク足を明確に上抜く「三役好転」が継続しており、強い上昇基調を示しています。トレンドに逆らいにくい相場環境が続いているといえます。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDはシグナル線の上方を維持しており、買いシグナルが継続中です。ただし、MACDとシグナル線の乖離が縮小しつつあり、上昇の勢いがやや鈍化している可能性も示唆しています。価格は高値を更新している一方でオシレーターの上昇が追いついていない「弱気のダイバージェンス」の兆候には注意が必要です。
主要なサポートとしては155.00円の心理的節目、レジスタンスとしては昨日の高値である155.70円近辺が強く意識されます。
シナリオ分析
↗️ 上昇シナリオ(メインシナリオ:確率60%)
強気の材料としては、①日米金利差を背景とした根強い円売り圧力の継続、②本日深夜のFOMC議事録が市場予想よりもタカ派的な内容であること、③米国株式市場が反発し、市場のリスクセンチメントが改善すること、などが挙げられます。これらの要因が重なれば、ドル円は再び上値を試す展開となるでしょう。この場合、まずは昨晩の高値である155.70円を突破し、次の心理的節目である156.00円、さらには156.50円を目指す動きが考えられます。
↘️ 下落シナリオ(サブシナリオ:確率40%)
弱気の材料としては、①世界的な株安が一段と深刻化し、リスク回避姿勢が極端に強まること、②FOMC議事録やミランFRB理事の発言が想定以上にハト派的で、米国の利上げ打ち止め観測が強まること、③日本の通貨当局による円安牽制発言や介入への警戒感が高まること、などが考えられます。これらの要因が顕在化した場合、利益確定売りが優勢となる可能性があります。この場合、まずは155.00円の心理的節目を割り込み、次のサポートである154.50円、さらには25日移動平均線が控える154.00円近辺を試す展開が想定されます。
各シナリオの実現可能性は、本日深夜の金融イベントの結果に大きく左右されます。イベント通過までは、決め打ちのポジションを持つのはリスクが高いと言えるでしょう。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
東京時間は、日経平均株価の動向を睨みながらの神経質な展開が予想されます。株価が続落するようであれば、昨日同様に一時的な円買い戻しが入る可能性はありますが、155円台前半では本邦輸入企業によるドル買い・円売り需要も根強いと見られ、下値は限定的でしょう。仲値にかけては実需筋のフローが交錯し、大きな方向感は出にくいと考えられます。基本的には、深夜の米重要イベントを前に様子見ムードが支配的となり、155円台を中心とした小幅なレンジ内での推移となりそうです。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入ると、ロンドン勢の本格参入により流動性が高まります。欧州株の動向次第では、改めて円売りの動きが強まる可能性も考えられます。ニューヨーク時間序盤は、22時30分の米貿易収支が発表されますが、市場への影響は限定的でしょう。市場の関心は、本日深夜24時(翌0時)のミランFRB理事の発言と、深夜28時(翌4時)のFOMC議事録公表に集中します。これらのイベント内容が明らかになるにつれて、米長期金利とドル相場が大きく変動する可能性があります。特に議事録公表後はボラティリティの急上昇が予想されるため、ポジション管理には細心の注意が必要です。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:154.80円~156.20円
根強い円売り地合いが下値を支える一方、深夜の重要イベントを控えて神経質な展開が予想されます。昨日の高値更新を試す動きと、リスクオフの強まりによる調整下落の両睨みでレンジを設定します。
🔀 上値抵抗線:155.70円、156.00円
155.70円は昨日の高値であり、目先の最初の重要なレジスタンスとなります。ここを明確に上抜けることができれば、上昇に弾みがつき、次のターゲットとして156.00円という大台の心理的節目が強く意識されることになるでしょう。FOMC議事録がタカ派的な内容と受け止められれば、この水準を試す展開も十分に考えられます。
🔀 下値支持線:155.00円、154.50円
155.00円は心理的な節目として非常に重要であり、短期的なサポートラインとして機能することが期待されます。万が一、この水準を割り込むような展開となれば、短期的な上昇トレンドの一服感が強まり、利益確定売りが出やすくなるでしょう。その場合、次のサポートとしては、直近の上昇局面で意識された154.50円近辺が視野に入ってきます。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向へのブレイクアウトは、昨日の高値である155.70円を実体線で明確に上抜けることが条件となります。この場合、上昇モメンタムが再加速し、156円台を目指す動きが本格化するでしょう。FOMC議事録がタカ派的な内容であったり、ミランFRB理事が追加利上げに前向きな発言をしたりすることがトリガーとなり得ます。下方向へのブレイクは、155.00円の心理的サポートを割り込むことがシグナルとなります。その場合、短期的な調整局面に入る可能性が高まり、154円台半ばまでの下落も視野に入れる必要があります。
⚠️ 注意すべきリスク要因
最大のリスク要因は、本日深夜のFOMC議事録やFRB理事の発言が市場のコンセンサスと大きく異なる内容だった場合に発生する、ボラティリティの急激な上昇です。特に、市場が織り込んでいないレベルのハト派的な内容(景気後退への強い懸念など)が示された場合、ドルの急落を招く可能性があります。また、地政学リスクの急な高まりや、世界的な株安がパニック的な売りに発展した場合には、リスク回避の円買いが一時的に強まるシナリオも念頭に置くべきでしょう。
☑️ 投資判断における留意点
本日は深夜に相場を大きく動かす可能性のあるイベントが集中しています。そのため、日中の取引においては、イベントの結果を見極めたいとする様子見ムードが強まり、方向感が出にくい展開が予想されます。イベント通過までは大きなポジションを持つことを避け、短期的な値動きに一喜一憂しない慎重な姿勢が求められます。高値圏での推移が続いているため、突発的なニュースによる急落リスクも常に意識し、ストップロスの設定を徹底することが重要です。