【ドル円コンパス】今日の為替相場予想(2025年11月12日)

濃紺の背景に『ドル円コンパス/USD/JPY COMPASS』、円とドル記号、コンパスのシンボル、ローソク足。右下に指を立てたロボット。左上に2025年11月12日のカレンダー

おはようございます。Trader MTです。昨日のドル円は一時下押ししつつも、最終的には154円台を維持して取引を終えました。本日は深夜にかけてFRB高官の発言が相次ぐため、動きが出るのは後半になりそうです。日中は無理に追わず、流れを確認しながらいきましょう。それでは今日もサクッと見ていきますね😌(公開時刻:07:56/日本時間)

昨日の振り返り

昨日のドル円相場は、東京時間での円売り地合いを引き継ぎ高値を更新したものの、NY時間には一時的に下落するなど、方向感の定まらない一日となりました。米債券市場が休場という特殊な環境下で、材料難から神経質な展開となりましたが、最終的には154円台を維持して取引を終えており、下値の堅さが印象付けられています。

日付 始値 高値 安値 終値
2025年11月11日 154.131 154.494 153.663 154.138

※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。

東京時間

昨日の東京時間のドル円は、底堅い展開が続きました。寄り付きから154円台前半で推移すると、午前中には円売りの流れが優勢となり、11月4日につけた高値(154.483円)をわずかに更新する場面が見られました。日経平均株価が前日比-0.14%となる50,842.93円と小幅に反落して引けたものの、株式市場との明確な連動性は見られず、ドル円は独自の材料で動いていたと言えるでしょう。

市場では、午前9時55分の仲値公示に向けて、国内輸入企業による実需のドル買い・円売り観測が相場を下支えしたとの声が聞かれました。特に目立った経済指標の発表や政府・日銀関係者からの要人発言がなかったため、こうした実需筋のフローが相場の方向性を左右した側面が強いと考えられます。結果として、ドル円は終始安定した値動きを見せました。

午後に入っても、ドル円は高値圏でのもみ合いが続きました。上値では154円台半ばがレジスタンスとして意識されましたが、下値も堅く、大きな値崩れには至りませんでした。日本時間8時から17時にかけては、緩やかな円安・ドル高基調が継続し、欧州時間へとバトンを渡す形となりました。全体として、明確なトレンドは発生しなかったものの、押し目買い意欲の強さが確認された時間帯であったと総括できます。

欧州・NY時間

欧州時間に入ると、英国で発表された雇用統計が弱含んだことを受けてポンドが売られる展開となりましたが、ドル円相場への直接的な影響は限定的でした。欧州株式市場が総じて堅調に推移し、英FTSE100指数が+1.15%高となるなど、市場全体のリスクセンチメントは良好であり、これがドル円の下支え要因として機能した模様です。ユーロドルも底堅く推移し、ドルが全面高となる展開ではありませんでした。

NY時間序盤、ADP社が発表した週次統計が市場予想と異なる内容だったとの見方から、一時的にドル売りが強まり、ドル円は153円台後半まで下落する場面がありました。しかし、この動きは長続きしませんでした。米株式市場では、ダウ平均株価が+1.18%高の47,927.96ドルと3日続伸した一方で、ハイテク株中心のナスダック総合指数は反落するなど、まちまちな展開となりました。昨日はベテランズデーの祝日で米債券市場が休場だったため、米長期金利の動向をにらんだ取引は見られず、これが相場の方向感を乏しくした一因と考えられます。

結局、153円台への下落は一時的なものにとどまり、その後は買い戻しが優勢となりました。引けにかけては再び154円台を回復し、154.14円近辺で一日の取引を終えています。日本時間17時から翌朝7時にかけては、一時的な下押しがあったものの、それを吸収して値を戻すという底堅さが際立つ展開でした。米債券市場が動かない中、投資家の様子見姿勢が強かったものの、リスク選好の流れがドル円を支えた格好です。

今日の注目材料

本日の外国為替市場は、重要な経済指標の発表が予定されていない一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を担う複数の高官による発言が相次いで予定されており、その内容に市場の注目が集中することになりそうです。昨日は休場だった米債券市場が取引を再開するため、発言内容を受けた米長期金利の動向が、ドル円相場の方向性を決定づける重要な鍵となるでしょう。

本日発表が予定されている日米の主要経済指標は以下の通りです。

☑️ 11月12日(水)の重要度の高い注目材料
時間 通貨 指標 重要度 前回 予想
12:25 🇺🇸 FRBバー氏の発言 ⚡⚡ -
23:20 🇺🇸 NY連銀総裁ウィリアムズ氏の発言 ⚡⚡ - -
24:20 🇺🇸 FRBウォラー氏の発言 ⚡⚡ - -
26:30 🇺🇸 FRBミラン氏の発言 ⚡⚡ - -
30:00 🇺🇸 ボストン連銀総裁コリンズの発言 ⚡⚡ - -

本日の最大の注目点は、投票権を持つFRB高官3名(バー理事、ウォラー理事、ミラン理事)の発言です。特に、金融政策スタンスに関して市場への影響力が大きいとされるウォラー理事の発言は、相場を大きく動かす可能性があります。市場参加者は、今後の利上げペースや高金利政策の維持期間について、何らかの手がかりが得られるのではないかと固唾をのんで見守っています。発言内容がインフレ抑制を重視するタカ派的なものであれば、米長期金利の上昇を通じてドル買いが強まるでしょう。逆に、景気への配慮を示すハト派的なトーンが示されれば、ドル売り圧力が高まる展開が予想されます。

また、リサーチデータによれば「米政府機関再開、ドルにはマイナス要因となるとの指摘」というニュースも報じられています。政府機能の正常化は市場の不透明感を後退させる一方で、政府支出の拡大が将来的なインフレ圧力につながるとの見方もあり、短期的にはドル売り材料として意識される可能性も念頭に置いておく必要がありそうです。昨日のNY株式市場でダウ平均が続伸した背景にあるリスク選好ムードが本日も継続するのか、それともFRB高官の発言が冷や水を浴びせるのか、慎重に見極めたい一日となります。

今日の見通し

本日のドル円は、FRB高官発言と米長期金利の動向を睨みながら、154円台を中心とした神経質な展開が予想されます。底堅い地合いは継続していますが、発言内容次第では上下に振れやすい地合いとなるでしょう。

ファンダメンタルズ分析

ファンダメンタルズ面では、本日相次ぐFRB高官の発言が最大の変動要因となります。バー、ウォラー、ミランの3理事から、インフレに対する警戒感や金融引き締め継続の必要性を強調するタカ派的な発言が出た場合、市場では利上げ長期化観測が再燃し、米長期金利が上昇するでしょう。米10年債利回りが昨日の4.122%から明確に上昇すれば、日米金利差の拡大を意識したドル買い・円売りが加速する可能性があります。

一方で、もし彼らが景気減速への懸念を示唆したり、これまでの利上げ効果を見極めたいといったハト派的な姿勢を見せたりすれば、市場の雰囲気は一変するでしょう。その場合、米長期金利は低下し、ドル円は調整売りに押される展開が想定されます。

現在の市場センチメントは、米議会動向を背景としたリスク選好ムードに支えられていますが、このムードがFRBのタカ派姿勢をどこまで吸収できるかが焦点です。また、ドル円が155円の心理的節目に近づくにつれて、日本政府・日銀による円買い介入への警戒感が再び高まることも、上値を抑える要因として意識しておく必要があります。

テクニカル分析

テクニカル的には、短期的な上昇トレンドは継続しているものの、高値圏での上値の重さも意識される局面です。主要な移動平均線は依然として強気の形状を維持しており、地合いの強さを示唆しています。

📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
日足チャートでは、25日・75日・200日の並び順が上から順に揃っており、形状としてはパーフェクトオーダーが継続しています。ただし、すべての線が力強く上向いているわけではなく、特に200日線はまだ横ばいに近い動きです。短期線が相場を引っ張る形で上昇トレンドは維持されているものの、長期トレンドは途上段階と言えます。

📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
日足の一目均衡表では、ローソク足が「雲」(抵抗帯)の上限を明確に上抜けており、強い上昇基調を示しています。また、短期的な方向性を示す転換線が中期的な基準線の上を推移し、現在の価格を示す遅行スパンもローソク足のはるか上方に位置しており、「三役好転」の買いシグナルが点灯中です。

📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDは、MACDラインがシグナルラインの上方を維持しており、買いシグナルが継続しています。ただし、両者の乖離幅を示すヒストグラムの拡大ペースはやや鈍化しており、上昇の勢いに若干の陰りが見え始めている可能性も示唆しています。今後のモメンタムの変化には注意が必要です。

主要なサポートとしては昨日の安値圏である153円台後半、レジスタンスとしては直近高値圏である154円台半ばが意識されます。

シナリオ分析

↗️ 上昇シナリオ(メインシナリオ:確率60%)
本日予定されているFRB高官の発言が総じてタカ派的な内容となり、米長期金利が上昇、さらに米株式市場も堅調に推移する展開がメインシナリオと考えられます。具体的な強気要因としては、①ウォラー理事らによるインフレ警戒発言、②米10年債利回りの4.2%台への上昇、③ダウ平均の続伸に代表される良好なリスクセンチメント、が挙げられます。この場合、まずは昨日の高値圏である154.60円を突破し、次の心理的節目である155.00円、さらには年初来高値の更新を目指す動きが考えられます。

↘️ 下落シナリオ(サブシナリオ:確率40%)
FRB高官から予想外にハト派的な見解が示され、市場に利上げ打ち止め観測が広がる場合がサブシナリオです。具体的な弱気要因としては、①FRB高官による景気減速への言及、②米長期金利の4.1%割れへの低下、③政府・日銀による円買い介入への警戒感が急速に高まること、などが想定されます。この場合、まずは心理的サポートである154.00円を割り込み、次のサポートである昨日の安値圏153.80円、さらには一目均衡表の転換線が位置する153.50円を試す展開が想定されます。

時間帯別の展開予想

🕘 東京時間
東京時間は、日本時間の12時25分に予定されているバーFRB理事の発言が最初の注目点となります。それまでは、前日の流れを引き継ぎ、154円台前半での方向感に乏しい展開が続く可能性が高いでしょう。日経平均株価の動向を睨みつつも、基本的には様子見ムードが支配的となりそうです。仲値にかけては、引き続き本邦実需筋のフローが相場を左右するかもしれませんが、大きなトレンド形成には至らないとみています。

🕔 欧州・NY時間
欧州時間からNY時間にかけて、本日のクライマックスを迎えます。昨日は休場だった米債券市場が再開し、米長期金利のボラティリティが高まるでしょう。日本時間21時のMBA住宅ローン申請指数の影響は軽微とみられますが、NY時間中盤から深夜にかけて予定されているウォラーFRB理事(本日深夜24:20)、ミランFRB理事(本日深夜26:30)の発言で相場は大きく動く可能性があります。タカ派的な内容であればドル買いが、ハト派的な内容であればドル売りが一気に強まる展開を想定しておく必要があります。ロンドンフィキシングからNYクローズにかけては、これらの発言内容を消化し、新たな方向性を探る動きが中心となるでしょう。

今日の予想レンジ

↕️ 予想レンジ:153.50円~155.00円
FRB高官発言を控え、ボラティリティ拡大の可能性を考慮。上値は介入警戒感が強まる155円、下値は昨日の安値圏より下の節目を想定します。

🔀 上値抵抗線:154.60円、155.00円
154.60円は昨日の高値圏であり、最初の重要なレジスタンスとなります。ここを明確に上抜けることができれば、市場参加者が強く意識する大台であり、心理的節目でもある155.00円が次のターゲットとして視野に入ってきます。

🔀 下値支持線:154.00円、153.50円
154.00円は心理的な節目であり、昨日のNY時間でも一時的なサポートとして機能した水準です。ここを割り込むと、下落の勢いが強まる可能性があり、日足一目均衡表の転換線などが位置する153.50円近辺が次の重要な支持線として意識されます。

🔃 ブレイクアウト条件
上方向へのブレイクアウトは、154.60円を実体線で明確に上抜けた場合と考えられます。FRB高官のタカ派発言と米長期金利の顕著な上昇が重なれば、155.00円を目指す動きが加速する可能性が高まります。一方、下方向へのブレイクは、154.00円の節目を割り込む展開です。特に、ウォラー理事からハト派的なサプライズ発言が出た場合などは、売りが売りを呼ぶ形で153円台半ばへの下落も視野に入ってきます。

⚠️ 注意すべきリスク要因
本日最大の注意点は、FRB高官、特にウォラー理事の発言内容が市場コンセンサスと大きく乖離した場合の急激な価格変動リスクです。発言は日本時間の深夜に行われるため、ポジション管理には細心の注意が求められます。また、155円に接近する局面では、本邦通貨当局者による円買い介入をけん制する「口先介入」が強まる可能性にも警戒が必要です。

☑️ 投資判断における留意点
本日は重要なイベントが深夜に集中しているため、日中は様子見姿勢が強まる可能性があります。しかし、イベント通過後のボラティリティは非常に高くなることが予想されるため、不用意なポジションを持つことは避けるべきでしょう。取引を行う際は、必ず米長期金利の動向をリアルタイムで確認し、相場の方向性を見極めることが重要です。ストップロスの設定を徹底し、リスク管理を万全にして臨みたい一日です。

免責事項

本記事は、為替相場の動向に関する一般的な情報提供・分析を目的としたものであり、特定の通貨ペアの売買や投資を推奨するものではありません。投資判断は、読者ご自身の責任と判断において行ってください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト運営者は一切の責任を負いません。