【ドル円コンパス】今日の為替相場予想(2025年11月10日)

濃紺の背景に『ドル円コンパス/USD/JPY COMPASS』、円とドル記号、コンパスのシンボル、ローソク足。右下に指を立てたロボット。左上に2025年11月10日のカレンダー。

おはようございます。Trader MTです。今日は米国の重要度の高い経済指標の発表もなく、明日は米国市場が休日閉場となるため、ポジション調整の動きが中心となりそうです。それでは、今日もサクッと今日の見通しを確認しておきましょう😌(公開時刻:08:10/日本時間)

先週末の振り返り

11月3日から7日にかけての週は、米国の金融政策の先行きを占う上で重要な雇用関連指標の発表が相次ぎ、ドル円は一喜一憂する展開となりました。週初はやや方向感に欠ける動きでしたが、週後半にかけてドル買いが強まり、週末金曜日のニューヨーク市場では高値を更新して取引を終えています。しかし、引けにかけてはやや慎重な動きも見られ、上値の重さも意識される一週間でした。特に金曜日の東京市場では日経平均株価が大幅に下落する場面もあり、リスクセンチメントの変化が為替相場にも影響を与えました。

日付 始値 高値 安値 終値
2025年11月7日 153.057 153.597 152.814 153.412

※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。

東京時間

11月7日(金)の東京時間のドル円は、朝方のドル安から一転してドル高に転じる、神経質な展開となりました。寄り付き直後はやや売りに押される場面もありましたが、その後は底堅さを見せました。この日の東京株式市場では、日経平均株価が主力株主導で売り込まれ、一時1000円を超える大幅な下落を記録。終値でも前日比1.19%安の50,276.37円と大きく値を下げました。通常、このようなリスクオフの局面では円が買われやすいですが、この日はむしろ米国の金融引き締めが続くとの思惑からドルが選好され、ドル円は下支えされる結果となりました。

午前9時55分の仲値に向けては、国内輸入企業による実需のドル買い観測が相場を支えました。一方で、日経平均の急落を受けて、一部ではリスク回避的な円買いの動きも見られましたが、ドル買い需要の方が優勢だったようです。この日は目立った経済指標の発表や政府・日銀関係者からの発言はありませんでしたが、株式市場の大きな変動が投資家心理を揺さぶり、為替市場にも影響を及ぼしました。結果として、株安の中でもドルが底堅さを示すという、やや変則的な相関関係が見られた一日でした。

午後に入ってもドル円は堅調な地合いを維持しました。日経平均株価が下げ幅をやや縮小する動きを見せると、それに連れてドルを買い戻す動きが活発化しました。東京時間の終盤にかけては、欧州勢の参入を見据え、ドル高の流れを維持したまま取引を終えることになりました。日本時間8時から17時にかけての動きを総括すると、国内の株価急落というリスクオフ要因がありながらも、根強いドル買い意欲に支えられ、ドル円は底堅く推移した一日だったと言えるでしょう。

欧州・NY時間

欧州時間に入っても、東京時間からのドル買いの流れは継続しました。欧州の主要な株式市場も軟調に推移し、FTSE100指数は0.55%安となるなど、リスク回避的なムードが漂う中、安全資産としてのドルへの資金流入が続いた模様です。ユーロやポンドといった主要通貨に対してもドルが強含んだことが、対円でのドル相場をさらに押し上げる要因となりました。特段の材料がない中でも、じりじりと下値を切り上げる展開が続きました。

ニューヨーク時間では、市場が注目していたミシガン大学消費者信頼感指数が発表されました。この指標の結果を受けてドル円は一時的に上下に振れる場面も見られましたが、最終的にはドル買いの基調が崩れることはありませんでした。米国の株式市場では、ダウ平均株価が前日比0.16%高の46,987.10ドルと小幅ながらプラス圏で取引を終え、市場心理の悪化を食い止めたことも、ドル円の下値を支える一因となりました。

この日の米10年物国債利回りは4.0930%と高水準を維持しており、日米の金利差を意識したドル買い・円売りが入りやすい地合いが継続しました。ニューヨーク市場の引けにかけて、ドル円は高値を更新する動きを見せましたが、「やや慎重な動き」との報道にもあるように、一本調子での上昇とはならず、高値圏での利益確定売りにも押されるなど、上値の重さも感じられました。最終的に、ドル円は153.75円で週の取引を終え、ドル高の流れを来週に引き継ぐ形となりました。

今日の注目材料

週明け月曜日の本日、為替市場は比較的静かなスタートが予想されます。リサーチデータによると、本日は米国から市場の方向性を決定づけるような重要な経済指標の発表は予定されていません。一部では、米政府機関の動向により「米CPIが史上初めて発表されない可能性」も報じられており、経済指標を巡る不透明感が市場の関心事の一つとなっています。

このような状況下で、市場の関心は必然的に中央銀行関係者の発言へと向かいます。本日、最大の注目材料となるのが、日本時間12時40分に予定されている日銀の中川順子審議委員による講演と、その後の記者会見です。中川委員は日銀の金融政策決定会合における議決権を持つメンバーであり、その発言は今後の金融政策の方向性を占う上で極めて重要な手掛かりとなります。

☑️ 11月10日(月)の重要度の高い注目材料
時間 通貨 指標 重要度 前回 予想
12:40 🇺🇸 日銀中川理事の発言 ⚡⚡ - -

今回の発言で特に注目されるのは、主に3つのポイントです。第一に、現在の物価情勢に対する評価と今後の見通し。第二に、市場が織り込み始めている追加利上げのタイミングやペースに関するヒント。そして第三に、最近の急速な円安進行に対する見解です。

もし、中川委員から追加利上げに前向きな、いわゆる「タカ派」的な発言が聞かれれば、日銀の金融政策正常化が市場の想定よりも早く進むとの思惑が広がり、金利差縮小を見込んだ円買い(ドル円の下落)が強まる可能性があります。逆に、現状の金融緩和政策の維持を重視し、追加利上げに慎重な「ハト派」的な姿勢が示されれば、円売り安心感が広がり、ドル円は再び上値を試す展開となるでしょう。発言内容がどちらに傾くかによって、東京時間午後の相場の流れが大きく変わる可能性があるため、最大限の注意が必要です。

また、先週末には「中国がネクスペリア半導体の輸出制限を解除する」との報道がありました。これは米中間の技術覇権を巡る対立に関連する動きであり、地政学リスクの緩和と受け止められれば、市場全体のリスクセンチメントを改善させる可能性があります。リスクセンチメントが改善した場合、安全資産とされる円が売られやすくなる(リスクオンの円売り)ため、このニュースの続報にも注意を払う必要があります。

なお、明日11月11日(火)はベテランズデー(退役軍人の日)のため米国市場が休場となります。そのため、本日のNY市場では、休場を前にしたポジション調整の動きが活発化することも考えられます。市場参加者が減少して流動性が低下する中、通常よりも値動きが荒くなる可能性も念頭に置いておくべきでしょう。

今日の見通し

本日のドル円相場は、日銀の中川審議委員の発言内容を見極めたいとの思惑が交錯し、東京時間午前中は神経質な展開が予想されます。発言を受けて方向感を探る動きが活発化しそうです。

ファンダメンタルズ分析

本日の相場を動かす最大の要因は、間違いなく12時40分に予定されている日銀・中川審議委員の発言です。先週末、米国の弱い経済指標にもかかわらずドル円が底堅く推移した背景には、FRBの金融引き締めスタンスと日銀の緩和的なスタンスという、日米の金融政策の根本的な方向性の違いが強く意識されていることがあります。中川委員の発言が、この市場コンセンサスに変化をもたらすかどうかが最大の焦点となります。

発言内容が市場の想定よりもタカ派的であった場合、これまでの一方的な円安の流れに修正が入るきっかけとなる可能性があります。具体的には、物価目標の持続的・安定的な達成に自信を示し、追加利上げの必要性に言及するような内容であれば、短期的に1円程度の円高が進むことも考えられます。逆に、発言が現状維持を示唆するハト派的な内容に留まれば、材料出尽くし感から改めてドル買い・円売りが優勢となり、154円台を試す展開が想定されます。

米国サイドでは重要な経済指標の発表がないため、米長期金利の動向がドル円の方向性を左右する重要な要素となります。米10年債利回りが再び4.1%台を回復するような動きとなれば、ドル円の強力なサポート要因となるでしょう。また、明日が米国市場休場であることから、NY時間は積極的なポジション構築が手控えられ、様子見ムードが広がりやすい地合いであることにも留意が必要です。値を試す動きが強まることが想定されます。

テクニカル分析

ドル円は先週末に高値を更新し、上昇トレンドが継続していることを示唆しています。しかし、154円という心理的な大台を前に上値の重さも意識されており、短期的な過熱感も漂っています。

📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
日足チャートでは、短期の25日線、中期の75日線、長期の200日線の全てが上向きで、かつ価格がこれらの移動平均線の上方に位置する「パーフェクトオーダー」が形成されています。これは典型的な上昇トレンドを示しており、地合いの強さを裏付けています。

📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
日足の一目均衡表では、価格は厚い「雲(抵抗帯)」を大きく上回って推移しており、強い上昇基調を示唆しています。転換線が基準線を上回る「好転」シグナルも継続中で、さらに遅行スパンも日々線を大きく上抜けており、「三役好転」という非常に強い買いサインが点灯している状況です。

📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDラインはシグナルラインを上回った状態で推移しており、買いシグナルが継続しています。ただし、両者の乖離を示すヒストグラムの拡大ペースはやや鈍化しており、上昇の勢いが若干弱まっている可能性も示唆されています。ダイバージェンスの発生には至っていませんが、今後の動向を注視する必要があります。

主要なサポートレベルとしては25日移動平均線が位置する152円台半ば、レジスタンスレベルとしては先週末の高値である153円台後半から心理的節目である154.00円が強く意識されます。

シナリオ分析

↗️ 上昇シナリオ(メインシナリオ:確率60%)
強気要因としては、(1)日銀・中川委員の発言が市場の想定通り、あるいはそれ以上にハト派的と受け止められること、(2)米長期金利が再び上昇基調を強め、4.1%台に乗せること、(3)根強い日米金利差を背景とした実需の円売り・ドル買いフローが継続すること、などが挙げられます。この場合、まずは先週末高値である153.80円付近を突破し、次の心理的節目である154.00円、さらには154.50円を目指す動きが考えられます。

↘️ 下落シナリオ(サブシナリオ:確率40%)
弱気要因としては、(1)日銀・中川委員の発言が予想外にタカ派的で、早期の追加利上げが強く意識されること、(2)日本政府・日銀高官から市場の円安進行を強く牽制する発言が相次ぐこと、(3)米国の株価が大幅に下落するなど、市場全体がリスク回避ムードに傾き、安全資産としての円買いが強まること、などが考えられます。この場合、まずは153.00円のサポートを割り込み、次のサポートである25日移動平均線が位置する152.50円近辺、さらには152.00円を試す展開が想定されます。

時間帯別の展開予想

🕘 東京時間
午前中は、12時40分に予定されている中川委員の発言を前に、様子見ムードが支配的となるでしょう。153円台後半での方向感に欠ける値動きが続くと予想されます。日経平均株価は先週末の大幅下落からの自律反発が期待されますが、ドル円への影響は限定的となりそうです。仲値にかけても、発言待ちの姿勢から大きなフローは出にくく、小動きに終始する可能性があります。発言後は、その内容次第でボラティリティが急上昇する展開が想定されます。タカ派的なら円買い、ハト派的なら円売りで市場が反応し、午後の相場の方向性が決定づけられるでしょう。
チメントを測る上で注目されます。

🕔 欧州・NY時間
欧州時間も、基本的には東京時間の流れを引き継ぐ形となりそうです。欧州発の目立った材料もないため、中川委員の発言を受けた市場のセンチメントと、欧州株や米長期金利の動向を睨みながらの展開が続きます。NY時間に入ると、明日のベテランズデー休場を控えているため、市場参加者が減少し、流動性の低下が予想されます。そのため、新たなトレンドを形成するというよりは、休場前のポジション調整の動きが中心となるでしょう。予期せぬニュースに過敏に反応し、値が飛びやすくなるリスクもあるため、注意が必要です。

今日の予想レンジ

↕️ 予想レンジ:152.80円~154.20円
日銀・中川委員の発言内容を見極めたいとの思惑と、根強いドル高地合いが交錯。発言次第で上下に振れやすい神経質な展開を予想します。

🔀 上値抵抗線:153.75円、154.00円
153.80円は先週末の高値圏であり、最初の重要なレジスタンスとなります。ここを明確に上抜けることができれば、買いに勢いがつき、心理的な大台である154.00円、そして次の節目となる154.20円が視野に入ってきます。

🔀 下値支持線:153.00円、152.50円
153.00円は先週金曜日のロンドン時間に何度も下値を支えた重要なサポートレベルです。この水準を割り込むと、短期的な調整色が強まり、次の支持線として日足の一目均衡表・転換線が位置する152.60円近辺が意識されるでしょう。

🔃 ブレイクアウト条件
上方向へのブレイクアウトは、中川委員のハト派発言をきっかけに153.80円を終値ベースで明確に上抜け、米長期金利の上昇が伴うケースが考えられます。その際は154円台定着を目指す動きが加速する可能性があります。下方向へのブレイクは、予想外のタカ派発言を受けて153.00円を割り込み、リスク回避ムードが市場に広がる場合です。その際は短期的な下落トレンドへの転換も視野に入れる必要があります。

⚠️ 注意すべきリスク要因
最大のリスク要因は、日銀・中川委員の発言が市場コンセンサスから大きく乖離する「サプライズ」となることです。特に、極端なタカ派姿勢が示された場合は、ポジションの巻き戻しを伴って円が急騰する可能性があります。また、明日の米国市場休場を控え、流動性が低下するNY時間帯に、地政学リスク関連などの突発的なニュースが出た場合、相場が大きく振れるリスクにも注意が必要です。

☑️ 投資判断における留意点
本日は、12時40分の中川委員の発言とその後の記者会見が最大のイベントです。この時間帯はボラティリティが急上昇する可能性が高いため、ポジション管理には細心の注意を払うべきです。発言内容と市場の初動をしっかりと確認するまでは、新規のポジションメイクは慎重に行うのが賢明でしょう。NY時間は薄商いの中、神経質な値動きとなりやすいため、無理な追随買いや追随売りは避けるべきと考えます。

免責事項

本記事は、為替相場の動向に関する一般的な情報提供・分析を目的としたものであり、特定の通貨ペアの売買や投資を推奨するものではありません。投資判断は、読者ご自身の責任と判断において行ってください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト運営者は一切の責任を負いません。