おはようございます。Trader MTです。今日は今週最大級のイベントデー、今夜の米雇用統計と小売売上高ほかが22時30分に一気に並ぶスケジュールです。東京〜欧州時間は155円台中心の様子見レンジを想定しつつ、指標後は上下どちらにも大きく振れやすいので、ポジションサイズと損切りラインを先に決めてから、落ち着いて値動きを追いかけていきましょう😌(公開時刻:07:56/日本時間)
昨日の振り返り
昨日のドル円は、東京朝に発表された日銀短観をこなしつつ、今夜の米雇用統計や小売売上高など“今週最大級”のイベントを控えたポジション調整が進んだことで、いったんは156円台後半まで上昇したものの、その後は高値警戒感とドル売り・円買いの戻りが優勢となり、155円台前半へ押し戻される展開となりました。結果として、始値155.671円、高値156.985円、安値154.835円、終値155.208円と、上値の重さと下値の底堅さの両方を確認する一日となっています。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月15日 | 155.671 | 155.985 | 154.835 | 155.208 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
12月15日の東京時間のドル円は、155.67円前後で取引をスタートしました。朝方には第4四半期の日銀短観が発表され、市場予想と大きく乖離しない内容だったこともあって、直後は一時的に円買い・円売りが交錯する場面こそ見られたものの、方向感のあるトレンドにはつながりませんでした。企業マインドの悪化が想定ほど深刻ではなかったことや、国内株式市場が総じて底堅く推移したこともあって、リスクオフに大きく傾く雰囲気にはなりにくく、ドル円は155円台後半を中心にじり高基調をたどりました。
午前〜お昼にかけては、短観の結果を織り込みつつ、今夜の米雇用統計や小売売上高など一連の米指標を控えた思惑も交錯し、短期筋の買い戻しと戻り売りが交錯する中で、ドル円は156円台前半へとじわじわと水準を切り上げました。市場の一部では「指標前にもう一段上を試すのではないか」との期待も出て、テクニカル要因の買いも加わる形で、東京後場には156円台半ばをうかがう動きも見られました。
もっとも、156円台後半に近づくにつれて高値警戒感や週明け早々の利食い売りも強まり、積極的に上値を追うフローは限られました。東京クローズにかけては、利益確定を優先する向きや、米指標前にポジションを軽くする動きも重なり、156円台前半〜155円台後半へとやや水準を切り下げて欧州時間へとバトンが渡されています。
欧州・NY時間
欧州時間序盤、ドル円は155円台後半で取引を再開しました。欧州株式市場は方向感に乏しい小動きで、欧州債利回りも落ち着いた推移となるなか、為替市場は「米指標待ち」の色合いが濃い展開となりました。ロンドン勢の参入後も、156円ちょうどを挟んで押し目買いと戻り売りが交錯する状態が続き、しばらくは155.80〜156.30円近辺のレンジ内での往来にとどまりました。
流れに変化が出始めたのは、NY時間入り以降です。米金利は今夜の雇用統計と小売売上高を前にやや上値の重さが意識され、ドルロングの持ち高調整を意識した売りも出たことで、ドル円は徐々に上値を切り下げる展開へ。テクニカル面で意識されていた156円台後半を明確に上抜けられなかったこともあり、欧米勢の戻り売りが優勢となるなか、一時は154.83円まで下押しして日中安値を更新しました。
ただ、155円割れの水準では本邦実需筋の買い戻しや、イベント前のショートポジション調整も入りやすく、売り一辺倒の流れにはならずに徐々に下げ渋りました。NY後半にかけては、翌日のビッグイベントを前にした「様子見ムード」と「ポジション調整」が交錯し、ドル円は155円台前半を中心に落ち着いた値動きにシフト。最終的には終値155.21円程度と、前日のクローズからやや水準を切り下げつつも、依然として155円台を維持して取引を終えています。
今日の注目材料
| 時間 | 通貨 | 指標 | 重要度 | 前回 | 予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 22:30 | 🇺🇸 | 雇用統計 | ⚡⚡️⚡️⚡️⚡️ | +11.9万人 | +5.0万人 |
| 22:30 | 🇺🇸 | 失業率 | ⚡⚡️⚡️⚡️ | 4.4% | 4.4% |
| 22:30 | 🇺🇸 | 製造業雇用者数 | ⚡⚡️⚡⚡️ | -0.6万人 | -0.5万人 |
| 22:30 | 🇺🇸 | 平均時給 | ⚡⚡️⚡⚡️ | +0.2% | +0.3% |
| 22:30 | 🇺🇸 | 小売売上高 | ⚡⚡️⚡ | +0.2% | +0.2% |
| 23:45 | 🇺🇸 | 製造業PMI | ⚡⚡️ | 52.2 | 52.0 |
今日は、米雇用統計・失業率・平均時給に加え、小売売上高と製造業雇用者数、そして製造業PMIまで一気に集中する「米指標デー」です。為替市場だけでなく、株式・債券・コモディティまで巻き込むフルセットのイベントとなるため、22時30分以降はボラティリティが一段と高まりやすい時間帯になることが想定されます。
とくに注目されるポイントは、
- 非農業部門雇用者数:雇用の“量”としての強弱
- 失業率:労働市場全体の引き締まり具合
- 平均時給:賃金インフレの持続性
- 小売売上高:個人消費の勢い(景気の“足腰”)
の組み合わせです。
雇用者数・平均時給・小売売上高がそろって強い結果となれば、「景気はなお堅調で、利下げペースを急ぐ必要はない」との見方が意識され、米長期金利上昇を通じてドル買い・円売りが進みやすくなります。逆に、雇用・賃金・消費のいずれも市場予想を下回るような弱い結果が重なると、「景気減速と利下げ加速」の思惑が強まり、ドル売り・円買い方向に傾きやすいでしょう。
一方で、指標の結果が“まちまち”となった場合には、金利・株価・ドルの方向感が短時間で何度も入れ替わる「乱高下パターン」になりやすく、初動だけで方向を決め打ちするリスクが高まる点には注意が必要です。
今日の見通し
今日のドル円は、東京〜欧州時間は「今夜の米指標待ち」で様子見ムードが強まりやすい一方、22時30分以降は指標の結果次第で大きく振れやすい一日になりそうです。
ファンダメンタルズ分析
足もとの市場はすでに「利下げサイクル入り」という大きな枠組みを意識しつつありますが、そのペースや最終的な金利水準については、依然として不透明感が残っています。今回の雇用統計と小売売上高は、
- 「利下げはするが、景気はなお底堅い」
- 「景気減速が進んでおり、利下げ加速が必要」
のどちらに重心を寄せるのかを占ううえで、非常に重要な材料となります。
雇用者数や平均時給が市場予想を上回る強い結果となれば、「インフレ圧力は簡単には収まらない」との見方から、利下げペースの加速観測がやや後退し、米長期金利の上昇を通じてドル買い・円売りが優勢となりやすくなります。この場合、ドル円は再び156円台後半〜157円方向を試す展開も視野に入ってきます。
一方、雇用者数の伸びが大きく鈍化し、失業率の上昇や平均時給の伸び鈍化が重なる場合には、「労働市場の減速」と「賃金インフレの落ち着き」が意識され、利下げペースの加速を正当化する材料となりやすく、米金利低下・ドル売り・円買いが加速するシナリオも想定されます。この場合、155円台前半〜154円台後半にかけてのサポートゾーンを試す流れになりやすいでしょう。
日本側では、日銀の政策スタンスに大きな変化はなく、マイナス金利解除や追加利上げの議論は続いているものの、当面の主導権はあくまで米側の金利・景気指標の結果にあります。したがって、今日のドル円は「米指標の結果次第でどちらにも振れ得る一日」と位置付けつつ、指標前の時間帯はレンジ内でのポジション調整が中心になるとみるのが自然です。
テクニカル分析

テクニカル面で見ると、ドル円の日足は依然として高値圏での持ち合いを続けながらも、前日のローソク足はやや上ヒゲの長い形となり、上値の重さも意識される足型となりました。高値が156.985円と157円手前まで迫った一方で、終値は155.208円と始値をやや下回って引けており、「上方向を試したものの、現時点では上抜けに失敗した」という印象です。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
25日移動平均線はなお右肩上がりを維持しており、中期の75日線・長期の200日線も緩やかな上昇基調を保っています。三本の移動平均線がすべて上向きで、短期線が長期線を上回る順ザヤ構造は維持されていることから、中長期的な上昇トレンド自体は継続していると判断できます。一方で、足もとのレートは25日線のやや上側〜近辺での攻防となっており、155円台前半〜半ばが「短期トレンドの分岐点」として意識されやすいゾーンです。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
一目均衡表では、ローソク足は依然として雲の上方に位置していると考えられ、遅行スパンもローソク足を上抜けた状態を概ね維持しているとみられます。このことから、中期的な強気優勢の地合いは保たれているものの、転換線・基準線はやや横ばいに近づきつつあり、直近は「高値圏でのスピード調整局面」に入っている印象です。155円台前半〜半ばに位置する転換線〜基準線の帯は、押し目買いが入りやすい一方、これを明確に下回るような動きとなった場合には、154円台後半〜前半方向への調整が意識されやすくなります。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDを確認すると、ゼロラインより上のプラス圏を維持しつつも、前日の上ヒゲを伴う値動きの影響もあり、MACD線とシグナル線の乖離はやや縮小傾向にあります。ヒストグラムのプラス幅も限定的で、モメンタムは「強くも弱くもない中立寄り」といった状態です。今日のようなビッグイベントをきっかけに、ここから上方へ再び乖離が広がるのか、それともデッドクロス方向へ向かうのかが、今後のトレンドを占ううえで重要なポイントになりそうです。
総じて、テクニカル面からは、
- 下値めど:155.00円前後、その下は154.50〜154.80円ゾーン
- 上値めど:156.80〜157.00円ゾーン、その上は157.50円近辺
といったレンジ感が意識されやすい状況だと整理できます。
シナリオ分析
今日のドル円は、米雇用統計・平均時給・小売売上高などの結果次第で、大きく上下どちらにも振れ得る局面です。
↗️ 上昇シナリオ(確率45%)
上昇シナリオでは、雇用者数の増加が市場予想を上回り、失業率も低位を維持、平均時給も堅調な伸びを示すとともに、小売売上高もプラス圏を維持するような「景気の底堅さ」を確認する展開を想定します。この場合、米長期金利には上昇圧力がかかりやすく、「利下げサイクル入り」という大枠を維持しながらも、ペースの加速を織り込む動きは後退し、ドル買い・円売りが優勢となりやすくなります。テクニカル面で意識されている156円台後半〜157円ちょうどの上値抵抗帯を明確に上抜けると、ストップロスを巻き込みながら157円台半ば方向への上昇余地も視野に入ってきます。
↘️ 下落シナリオ(確率55%・メインシナリオ)
下落シナリオでは、雇用者数の伸び鈍化や失業率の上昇、平均時給の伸びの鈍化、小売売上高の弱さといった「景気減速シグナル」が複数重なるケースを想定します。この場合、「利下げペースの加速」や「来年以降の金利の最終着地点引き下げ」が意識され、米長期金利には低下圧力が強まり、ドル売り・円買いが優勢になりやすくなります。155円台前半のサポートを割り込み、154円台後半〜前半方向を試す展開となれば、高値圏レンジの中で調整が一段と深まるシナリオとして意識されそうです。
いずれのシナリオにせよ、初動の値動きだけで方向を決め打ちするのではなく、金利・株価・ドルインデックスの反応をセットで確認しながら、「それが継続しうる流れなのか」を見極めることが重要な一日といえます。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
東京時間は、米雇用統計と小売売上高を控え、155円台前半〜半ばを中心とした様子見レンジになりやすいと見られます。仲値にかけては輸入企業のドル買いが下値を支える一方、156円ちょうどに近づく場面では前日の高値圏が意識され、戻り売りも出やすく、「上がれば売り・下がれば買い」のレンジ取引が中心になる公算が大きいでしょう。
日本発の新たな材料は限られるため、東京時間だけでレンジを大きく抜けていくイメージは持ちにくく、むしろ「今夜のビッグイベントに向けてポジションとリスク量を整える時間帯」と位置づけておくのが現実的です。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入ると、東京で形成されたレンジを引き継ぎつつ、ロンドン勢が今夜の米指標を前にポジションを軽くする動きが優勢になりそうです。欧州株や欧州債の値動きに連動して、一時的にリスクオン・リスクオフのフローが出る場面はあり得ますが、基本的には「雇用統計待ち」で方向感は出にくい展開が想定されます。
NY時間前半は、22時30分の指標発表までは、155円台半ば〜156円近辺を中心としたレンジ取引がメインシナリオです。22時30分以降は、複数の指標が同時に発表されることから、アルゴリズム取引も巻き込んだ“瞬間的な乱高下”が発生しやすい時間帯です。一方向に大きく走ったあと、その反動で逆方向に急速に戻す「往って来い」となるパターンも少なくないため、5分足・15分足レベルの初動だけで判断せず、1時間足〜4時間足のローソクがどの水準で確定するかを意識しながら、トレンドの継続性を見極めていきたいところです。
23時45分の製造業PMIも、雇用・消費の結果を確認したあとの「景気の全体像」を補完する材料として意識されます。雇用・小売・PMIの組み合わせが「強いか・弱いか」で方向感が再確認される可能性もあり、NY後半まで油断できない展開が続きそうです。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:154.50円〜157.80円
今日は米雇用統計・平均時給・小売売上高など非常に重要な指標が集中しているため、やや広めに154.50円〜157.80円のレンジをメインシナリオとして想定します。東京〜欧州時間はこのレンジ内での押し目買いと戻り売りを組み合わせながら、22時30分以降にレンジの外側へブレイクが出た場合には、その動きが一時的なノイズにとどまるのか、それともトレンド方向の変化を示唆しているのかを慎重に見極めたい局面だと考えます。
🔀 上値抵抗線:156.80円、157.50円
上方向では、まず156.80円近辺が目先のレジスタンスとして意識されます。前日の高値156.98円にも近く、高値圏で何度か上値を抑えられてきたゾーンであるため、利食い売りや新規の戻り売りが出やすい水準です。その上では157.50円前後が次の上値目処となり、この水準を超える動きが出た場合には、「高値圏レンジからの上放れ」を意識する必要が出てきます。
🔀 下値支持線:155.00円、154.50円
下方向については、まず155.00円ちょうど前後が最初のサポートとして意識されます。ここは心理的な節目であると同時に、直近の押し目水準とも重なりやすいゾーンであり、この水準を維持できる限りは押し目買いが入りやすいと考えられます。これを明確に割り込んだ場合には、154.50円近辺が次の下値支持として浮上し、この水準まで下押しする場面では、一時的に調整色がかなり強まる可能性がある点には注意が必要です。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向のブレイクアウト条件としては、157.50円前後のレジスタンス帯を、米指標発表後の値動きも含めて日足ベースでしっかりと上抜けて引けるかどうかが重要なポイントになります。この条件を満たした場合、158円台方向への高値更新トレンドが意識されやすくなります。下方向については、155.00円および154.50円の支持帯を連続して割り込み、日足で155円台を回復できない状態が続くようであれば、154円台前半が次のターゲットとして浮上し、高値圏での持ち合いから一段深い調整局面に入ったと評価されやすくなります。
⚠️ 注意すべきリスク要因
今日は、雇用・賃金・消費・製造業と、米景気の“柱”となる指標がほぼ同じ時間帯に集中しているため、22時30分以降の値動きは平常時とは比べものにならないほど荒くなる可能性があります。指標発表直後はスプレッドの拡大や約定の滑り(スリッページ)が発生しやすく、損切りや利確が想定より不利なレートで執行されるリスクも高まります。
また、一つひとつの指標が強弱バラバラの結果となった場合、市場の解釈が短時間で何度も入れ替わり、上にも下にも「ダマシ」のブレイクが出やすい点にも注意が必要です。ヘッドラインだけで判断するのではなく、米長期金利や株価指数、ドルインデックスの動きと合わせて、マーケット全体がどちらのシナリオを重視しているのかを意識しておきたいところです。
☑️ 投資判断における留意点
今日のようなビッグイベントデーでは、「どこで勝負するか」以上に「どこではあえて勝負しないか」を先に決めておくことが、資金とメンタルを守るうえで非常に重要です。
雇用統計などの直前・直後の時間帯にフルサイズのポジションを持ち込むと、想定外のスリッページや一時的な乱高下に巻き込まれ、計画していた以上の損失につながることがあります。エントリーを検討する場合は、
- 自分が許容できる損失額から逆算したロットサイズをあらかじめ決めること
- どの水準まで逆行したら必ず損切りするのか、レートと金額ベースで事前に明確にしておくこと
- 指標直後の“最初の一波”を追いかけ過ぎず、ある程度落ち着いてから方向性を見極める余裕を持つこと
を意識しておくと、結果的にブレに振り回されにくくなります。
一回の指標で「大きく取ってやろう」と力みすぎるほど、判断が感情寄りになりやすいものです。いつもどおり、自分のシナリオとリスク管理のルールに沿って、冷静に今日の相場と向き合っていきたいですね。
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