おはようございます。Trader MTです。ドル円は155円台を挟んで高値圏の持ち合いが続くなか、今日は東京時間の植田日銀総裁の発言と、NY時間のJOLTS求人が控えるイベント満載の一日です。レンジ継続か、それともどちらかにブレイクするのか、時間帯ごとの値動きをしっかり追いかけていきましょう😌(公開時刻:07:35/日本時間)
昨日の振り返り
昨日のドル円は、155円台前半を中心に上下に振れつつも、終盤にかけてじり高となり、156円手前で取引を終える展開となりました。東京時間では一時154.90円まで下押しする場面があったものの、その後は押し目買いが優勢となり、欧州・NY時間にかけて徐々に水準を切り上げました。結果として、始値155.18円、高値155.99円、安値154.90円、終値155.92円と、安値からはしっかりと切り返し、日足ベースでは下値の堅さを確認する形となっています。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月8日 | 155.181 | 155.985 | 154.901 | 155.920 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
12月8日の東京時間のドル円は、155.18円前後で取引をスタートしました。序盤は155円台前半でもみ合う展開となりましたが、前週末にかけての戻り一服感や、高値警戒感から上値は重く、じりじりと水準を切り下げる動きが優勢となりました。日経平均株価は小幅安で始まり、その後も方向感に乏しい推移となったことから、株高を材料とした積極的な円売りにはつながらず、午前中のドル円は戻り売り主体の流れとなりました。
午後に入ると、海外勢の参入を意識したポジション調整も加わり、ドル円は一時154.90円まで下落し、心理的節目である155円を割り込む場面が見られました。ただ、154円台後半には本邦実需筋を中心とした買いが観測されていたこともあり、この水準を大きく下抜ける動きにはつながりませんでした。むしろ、155円割れをきっかけに短期筋のショートカバーも入り始め、東京時間の後半にかけては徐々に下値を切り上げる展開へと変化しました。東京クローズ時点では155円台前半をおおよそ回復し、欧州時間へバトンを渡しています。
欧州・NY時間
欧州時間に入ると、ドル円は155.30円前後で取引を再開しました。欧州株式市場は総じて落ち着いた動きとなり、リスクオン・リスクオフいずれにも大きく傾かない中で、ドル円も155円台前半〜半ばを中心としたレンジ取引が続きました。週明けで新たな材料に乏しかったこともあり、欧州勢は積極的なポジション構築よりも様子見姿勢を優先し、方向感に欠ける展開がしばらく続きました。
NY時間に入ると、米金利は小幅な上下にとどまりつつも、全体としては底堅い推移となりました。米経済指標の発表が限られていたこともあり、金利や株価を材料とした大きなフローは見られなかったものの、東京時間にかけて売られていたドル円のショートカバーや、155円台前半を押し目とみた買いが断続的に入りました。この流れの中で、ドル円は徐々に水準を切り上げ、NY午後には155.98円まで上昇して日中高値を更新。
最終的に、終値は155.92円と高値圏でクローズしており、日足では下ヒゲの短い陽線を形成する形となりました。154円台後半では押し目買いが入りやすい一方、156円ちょうど手前では戻り売りも顔を出しており、レンジ上限・下限を改めて確認するような一日だったと言えるでしょう。
今日の注目材料
| 時間 | 通貨 | 指標 | 重要度 | 前回 | 予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 18:00 | 🇯🇵 | 日銀総裁植田氏の発言 | ⚡⚡️⚡️ | - | - |
| 24:00 | 🇺🇸 | JOLTS求人 | ⚡⚡️ | - | - |
今日の為替市場で特に注目されるのは、夕方18時に予定されている植田日銀総裁の発言と、深夜24時に発表される米JOLTS求人です。
まず、植田総裁の発言は、日銀の金融政策正常化に向けたスタンスを見極めるうえで非常に重要なイベントです。これまでも総裁は「物価・賃金の好循環がどの程度定着しつつあるか」を慎重に見極める姿勢を繰り返し示してきましたが、複数の審議委員が追加利上げに前向きな発言を行っていることもあり、市場は「いつ、どのようなペースで正常化を進めるか」に神経を尖らせています。今日の場では、①追加利上げの必要性やタイミングにどこまで踏み込むか、②長短金利操作や国債買い入れの方向性、③円安や物価への言及、あたりが円相場にとっての焦点となりそうです。
一方、24時発表のJOLTS求人は、米労働需給の逼迫具合を測るうえで重要な指標です。求人件数が高止まりしているようであれば「労働市場のタイトさ」と「賃金インフレの根強さ」が意識され、インフレ圧力の持続を通じてドル買い方向に働きやすくなります。逆に求人件数が大きく減少するようであれば、労働市場のひっ迫感が和らいだと受け止められ、利下げ開始時期の前倒し観測を通じてドル売り材料となる可能性があります。
今日は東京時間に日銀、NY時間に米労働関連指標と、日米双方の金融政策を占うイベントが前後して控えており、時間帯ごとに主役が入れ替わる一日になりやすい点が特徴と言えるでしょう。
今日の見通し
今日のドル円は、東京時間の植田総裁発言とNY時間のJOLTS求人という、日米の金融政策スタンスを占ううえで重要なイベントを消化しながら、155〜157円レンジのどちら側にバランスが傾くかを探る展開になりそうです。
ファンダメンタルズ分析
日本側では、日銀の追加利上げやマイナス金利解除をめぐる思惑が続くなかで、植田総裁の一言一句が円相場を大きく動かす可能性があります。タカ派寄りと受け止められる発言──たとえば、物価・賃金の好循環への自信や、追加利上げへの言及、円安の副作用に踏み込むような内容──が目立てば、一時的に円買いが強まる展開も考えられます。一方、従来どおり「データを踏まえて慎重に判断」「拙速な引き締めは避けるべき」といった慎重スタンスを強調するにとどまれば、正常化期待がやや後退する形で円売りが優勢となる場面もあり得ます。
米国側では、JOLTS求人の結果を通じて、労働市場のひっ迫度合いと賃金インフレ圧力の強さが改めて試されます。求人件数が高水準を維持するようであれば、「労働市場はなおタイトで、利下げを急ぐほどの状況ではない」との見方が意識され、米長期金利の下支えを通じてドル買い材料となりやすくなります。逆に、求人件数が大きく減少するようであれば、労働市場の減速とインフレ鈍化が同時に意識され、利下げ期待の前倒しを通じてドル売り・円買い方向に反応する可能性が高まります。
日銀・FRBの両面でシナリオが分かれ得るだけに、今日のドル円は「どちらか一方向への決め打ち」よりも、イベントごとの反応を確認しながら柔軟にスタンスを見直すことが求められる一日と言えそうです。
テクニカル分析

テクニカル面では、ドル円の日足チャートは依然として高値圏での持ち合いを続けているものの、直近の足型からは下値の堅さも改めて意識される状況です。昨日のローソク足は、安値154.90円から終値155.92円まで切り返した長めの陽線に近い形となっており、155円割れの水準では押し目買い意欲が強いことがうかがえます。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
移動平均線を見ると、短期の25日移動平均線はなお右肩上がりを維持しており、その下側には75日線と200日線が緩やかな上昇基調で控えています。三本の移動平均線がすべて上向き、かつ短期線が長期線を上回る形は、大局としての上昇トレンドが続いているサインです。足元のレートは25日線よりやや上側で推移しているとみられ、155円前後が「短期トレンドの分岐点」として意識されやすい水準になっています。155円割れでは押し目買いが入りやすい一方、156円台後半〜157円近辺には戻り売りが控えており、当面はこのレンジ内での上下動を想定するのが妥当な局面です。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
一目均衡表に目を向けると、ローソク足は依然として雲の上方で推移していると考えられ、遅行スパンもローソク足を上回る位置を維持していることから、中期的な上昇基調は維持されています。一方、転換線と基準線はやや横ばいに近づきつつあり、高値圏でのスピード調整が進んでいる印象です。直近では、155円前後に位置する転換線〜基準線のゾーンがサポートとして機能しており、このゾーンをしっかり維持できるうちは押し目買い優勢のスタンスが取りやすい状況といえます。逆に、このゾーンを下抜けて雲の上限に接近するような動きとなれば、調整局面が一段深まるリスクにも注意が必要になってきます。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDはゼロライン近辺のプラス圏で推移しており、トレンドの向き自体は上向きながら、ここ数週間はMACD線とシグナル線の乖離が小さく、ヒストグラムの振れ幅も限定的です。これは、強いトレンド発生というよりも、「上昇トレンドの中での持ち合い・調整」が続いている状態を示唆しています。今日のように大きなイベントを控えた局面では、指標結果をきっかけにMACDがどちらか一方向に大きく動き出す可能性もあり、今後の方向感を見極めるうえで注目したい指標のひとつと言えそうです。
こうしたチャートのシグナルからは、155.00〜155.20円近辺が短期的な下値のフロアとして意識されやすく、一方の上値は156.50円前後から157.00円ちょうどにかけてが重くなりやすい水準として浮上してきます。
シナリオ分析
今日のドル円は、日銀と米労働市場という二つのテーマを意識しながら、「レンジ継続か、どちらかへのブレイクか」を見極める一日になりそうです。イベントの性質上、東京時間とNY時間でそれぞれ一方向に振れる可能性もあり、時間帯ごとにシナリオをイメージしておくことが重要になります。
↗️ 上昇シナリオ(確率45%)
上昇シナリオでは、植田総裁が従来どおり慎重なスタンスを崩さず、「データを踏まえて時間をかけて判断」「急激な金融引き締めは適切ではない」といったメッセージを前面に出すケースを想定します。この場合、日銀の正常化期待がやや後退することで円買い圧力が和らぎ、155円台前半〜半ばを支えにじり高基調となりやすくなります。さらに、NY時間のJOLTS求人が市場の懸念を深めない水準(緩やかな減少か横ばい程度)にとどまり、「来年の利下げは意識しつつも、労働市場は依然としてタイト」という評価が維持されれば、米長期金利の下げ渋りを通じてドル買いが優勢となる流れも考えられます。このシナリオでは、まず156円ちょうど〜156.20円のラインをしっかり超えられるかが焦点となり、その上で156.50円を上抜けてくるようであれば、157円台前半への上値トライも視野に入ってきます。
↘️ 下落シナリオ(確率55%・メインシナリオ)
下落シナリオでは、植田総裁が物価・賃金の好循環に一定の自信を示し、追加利上げの必要性や円安による物価押し上げのリスクなどにやや踏み込んだ発言を行うケースを想定します。市場が「日銀の正常化が一段と現実味を増した」と受け止めれば、東京時間を中心に円買い・ドル売りが強まりやすく、155円割れを試す展開も考えられます。さらに、NY時間のJOLTS求人が予想を大きく下回り、労働市場の減速や賃金インフレの鈍化が意識されるようであれば、来年の利下げ前倒し観測を通じて米長期金利が低下し、ドル売り圧力が加速する可能性があります。この場合、155.00〜155.20円のサポートを明確に割り込むと、154.80円や154.50円といった水準を試す下落局面への移行リスクも無視できません。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
東京時間は、夕方18時の植田総裁発言を控えながらの取引となるため、前場は155円台前半〜半ばを中心とした様子見のレンジ取引になりやすいと見られます。仲値にかけては実需のドル買いが下値を支える一方、156円手前では戻り売りも出やすく、早い時間帯からトレンドが出るというよりは、「イベント待ち」の色合いが濃い展開が想定されます。
午後以降、とくに発言が近づく時間帯になると、内容を事前に織り込む形でポジション調整が進む可能性があります。タカ派寄りの発言を警戒した円買い先行、あるいは逆に「言ってもそこまで踏み込まないだろう」との見方からの円売り先行など、マーケットのセンチメント次第で方向感が出る場面もあり得ますが、実際には発言内容・ニュアンス次第で一転するリスクがあるため、ヘッドラインに振らされやすい時間帯と言えるでしょう。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入ると、東京時間の植田総裁発言を受けた余波を整理しながらの取引となります。日銀サイドのサプライズ度合いによっては、欧州勢がドル円のトレンドをさらに追随する動きに出る可能性もあれば、逆に過度な値動きに対する修正(利食い・逆張り)が中心となる可能性もあります。いずれにせよ、東京時間の値動きが欧州時間の地合いを方向づける一日となりそうです。
NY時間は、24時発表のJOLTS求人が主役となります。発表直後はアルゴリズム取引なども重なり、一時的に上下どちらかに大きく振れる「スパイク」的な値動きが生じやすい時間帯です。まずは米長期金利と株価の反応を確認し、その方向にドル円がどこまでついていくかがポイントになります。初動で節目を抜けたあとに「往って来い」となるケースも少なくないため、ブレイクの信頼性を見極めるうえでは、1時間足・4時間足といった上位時間軸のローソク足がどの水準で確定するかも意識しておきたいところです。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:154.80円〜157.20円
今日は154.80円〜157.20円のレンジをメインシナリオとして想定しており、植田総裁発言とJOLTS求人という二つのイベントをこなしながら、この価格帯の中で押し目買いと戻り売りを組み合わせていくイメージです。どちらか一方のイベントをきっかけにレンジの外側へ抜けた場合には、その動きが一時的なノイズにとどまるのか、それともトレンド転換を示唆するものなのかを慎重に見極める必要があります。
🔀 上値抵抗線:156.50円、157.00円
上方向では、まず156.50円近辺が目先のレジスタンスとして意識されます。この水準は、これまで何度か上値を抑えられてきた価格帯であり、短期筋の利食い売りや新規の戻り売りが出やすいゾーンです。その上では157.00円ちょうど近辺が次の上値目処となり、このラインを明確に超えてくるようだと、高値圏からの上放れを意識した動きが加速しやすくなるでしょう。
🔀 下値支持線:155.20円、154.80円
下方向については、155.20円前後が直近の押し目候補として意識されます。ここは25日移動平均線や直近の押し目水準と重なりやすいゾーンであり、このレベルを維持できるうちは押し目買いが入りやすいと考えられます。さらに下では154.80円近辺が次の下値支持として意識され、ここを割り込むようだと、調整局面が一段深まる可能性が高まる点に注意が必要です。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向については、157.00円ちょうどのレジスタンス帯を日足ベースで明確に上抜けて引けるかどうかが、ブレイクの成否を測るうえで重要なポイントになります。この水準をしっかり超えて定着するようであれば、11月高値圏を再び試しながら、158円方向を視野に入れたトレンド継続シナリオが強まりやすくなります。下方向については、155.20円と154.80円の支持帯を連続して割り込み、日足ベースで155円台を回復できない状態が続くようであれば、154円台前半〜ちょうどの水準が次のターゲットとして浮上し、高値圏での持ち合いから一段深い調整局面へ移行するリスクが高まると考えられます。
⚠️ 注意すべきリスク要因
今日は、東京時間に日銀総裁の発言、NY時間に米労働関連指標と、時間帯ごとに相場の主役が変わる構図となっているため、それぞれのイベント前後でボラティリティが急激に高まるリスクがあります。特に、植田総裁の発言が市場の想定から大きく外れた場合や、JOLTS求人が予想と大きく乖離した場合には、テクニカルの節目を一気に飛び越える値動きが出る可能性があります。
また、イベント直後はスプレッドが一時的に拡大したり、成行注文が想定より不利なレートで約定したりする「スリッページ」のリスクも高まります。レバレッジを高めにかけている場合には、想定以上の損失につながるおそれもあるため、イベント前後の時間帯にどの程度ポジションを持ち越すのか、事前にしっかりと決めておくことが重要です。
☑️ 投資判断における留意点
今日のように日米それぞれに重要イベントが控えている局面では、「どのイベントにどれだけリスクを乗せるのか」をあらかじめ決めておくことが大切です。植田総裁発言とJOLTSの両方にフルサイズでポジションを持ち越すのか、それとも片方だけに絞るのか、あるいはどちらも結果を見てから動くのか──スタンスによって取るべき戦略は大きく変わってきます。いずれの場合も、逆行した場合にどのレベルで損切りするのかを、レートと金額の両面で事前に定義しておくことが、リスク管理のうえで欠かせません。
さらに、イベントドリブンの相場では、「一発で大きく取ろう」とするほど、感情に振り回されやすくなります。レンジの真ん中で飛び乗るのではなく、自分が優位性を感じられる支持線・抵抗線付近まで引きつけてからエントリーすること、そして利確・損切りのルールを機械的に守ることが、結果として資金曲線とメンタルの安定につながります。今日のような動きやすい一日ほど、欲張りすぎず、自分のルールに忠実にトレードしていきたいところです。
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