【ドル円コンパス】今日の為替相場予想(2025年11月24日)

濃紺の背景に『ドル円コンパス/USD/JPY COMPASS』、円とドル記号、コンパスのシンボル、ローソク足。右下に指を立てたロボット。左上に2025年11月24日のカレンダー。

こんにちは。Trader MTです。システム不具合で更新が遅くなり、今日は夕方の配信になってしまいました🙇‍♂️。ドル円は国内要因を背景に156円台まで円安が進む一方で、介入警戒もかなり強まってきています。欧州勢参入前に、改めて今日のポイントをサクッと整理しておきましょう😌(公開時刻:08:10→更新時刻:16:32/日本時間)

先週末の振り返り

先週(11月17日~21日)のドル円相場は、週を通じてドル高・円安の流れが継続したものの、週末にかけては調整色が強まる展開となりました。特に11月21日(金)には、片山財務相から円安進行をけん制する発言が出たことで市場の介入警戒感が一気に高まり、一時156円台前半まで下落する場面が見られました。それまで積み上がっていたドル買い・円売りポジションの利益確定売りを誘発した形です。

日付 始値 高値 安値 終値
2025年11月21日 157.436 157.541 156.198 156.328

※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。

東京時間

先週の東京時間のドル円は、底堅い展開が続いていましたが、週末にかけて雰囲気が一変しました。特に注目されたのは、国内株式市場の動向です。11月21日(金)の日経平均株価は、ハイテク株が軒並み安となったことを受けて前日比-2.40%(-1198.06円)と大幅に反落し、48,625.88円で取引を終えました。この株価の急落は、市場のリスクセンチメントを悪化させ、安全資産とされる円を買い戻す動きを誘発する一因となったと考えられます。週前半は比較的落ち着いた値動きでしたが、週末にかけてはリスク回避のムードが市場を覆いました。

相場の転換点となったのは、11月21日(金)の片山財務相による発言です。同財務相は、急速な円安進行に対して「為替介入も当然考えられる」「無秩序な動きには適切に対応する」と述べ、市場に対して強い警告を発しました。この発言は、これまでじりじりと円安を進めてきた市場参加者の心理に大きな影響を与え、政府・日銀による実弾介入への警戒感を一気に高める結果となりました。この発言を受けて、ドル円は上値が重くなり、それまで買いポジションを保有していた短期筋の利益確定売りが活発化した模様です。仲値にかけては実需の買いも見られましたが、それを上回る売り圧力に押される形となりました。

結果として、東京時間の後半にかけてドル円は下落基調を強めました。それまでサポートとして意識されていた水準を次々と下抜け、円買い戻しの動きが加速しました。特に、財務相発言という強力な材料が出たことで、テクニカルなサポートラインが機能しにくい地合いとなりました。日本時間8時から17時にかけては、週初からの上昇分を一部打ち消す形で、円高方向に振れるという、週の締めくくりとしてはやや波乱含みの展開で引けています。介入警戒感が今後の相場の大きなテーマとして残った一週間でした。

欧州・NY時間

欧州時間に入っても、東京時間からの円買い戻しの流れは継続しました。欧州株式市場は、英FTSE100指数が+0.13%と小幅高で引けるなど、比較的落ち着いた動きを見せましたが、ドル円の上値を積極的に買い上げる材料とはなりませんでした。むしろ、ユーロ円が180.39円まで上昇するなど、クロス円での円安がドル円の下値を支える側面もありましたが、片山財務相の発言のインパクトが大きく、ドル円は戻りの鈍い展開が続きました。ボラティリティは高まり、神経質な値動きが目立ちました。

NY時間に入ると、米国市場の動向が注目されました。ダウ平均株価が+1.08%(終値46,245.41ドル)、S&P500種指数も+0.98%(終値6,602.99)と、米国株は堅調に推移しました。通常であれば、こうしたリスクオンの動きはドル買い・円売りを支援する材料となります。しかし、この日のドル円は米国株の上昇に素直に連動せず、むしろ上値の重い展開が続きました。NY為替概況が報じた通り、「ドル円、一時156円台前半まで下落 ロング勢も一旦後退」という状況となり、週末を前にしたポジション調整の売りが優勢だったことが窺えます。

米10年債利回りは4.067%へと小幅に上昇(+0.004)し、日米金利差の観点からはドル買いが優位な状況に変化はありませんでした。しかし、市場の関心は金利差よりも日本の為替介入リスクへとシフトしており、金利上昇がドル円を押し上げる力は限定的でした。ロンドンフィキシングやNYクローズにかけては、週末のリスクを回避するためのドルロングの手仕舞い売りが断続的に観測され、ドル円は安値圏での引けを余儀なくされました。日本時間17時から翌朝にかけては、介入警戒感を背景とした調整売りに終始したと言えるでしょう。

今日の注目材料

本日は、日本ならびに米国において注目度の高い経済指標の発表予定はなく、静かな週明けとなる可能性があります。しかし、指標がないからこそ、市場は他の材料に敏感に反応することが予想され、特に先週末からの流れを引き継ぐ形で、以下の点に注目が集まるでしょう。

まず最大の焦点は、先週11月21日(金)に観測された片山財務相による円安牽制発言の余波です。同財務相は「為替介入も当然考えられる」と、かなり踏み込んだ表現で市場に警告を発しました。この発言の効果が今週の東京市場でどの程度持続するのか、市場参加者は固唾をのんで見守っています。政府・日銀による「口先介入」のレベルが一段階引き上げられたと市場が認識すれば、ドル円の上値は引き続き抑制される可能性が高いでしょう。本日も政府・日銀関係者から追加的な発言が出てくるかどうかが、相場の方向性を左右する重要な要素となります。

次に、株式市場の動向です。先週末は、日経平均株価が-2.40%と大幅に下落した一方で、米国のダウ平均は+1.08%と堅調に推移し、日米で対照的な結果となりました。本日は勤労感謝の日の振替休日で東京株式市場は休場となりますが、今週の取引再開後に、東京市場がこの米株高の流れを好感して反発するのか、それとも国内のハイテク株安の流れを引きずり、軟調な展開が続くのかに注目が集まります。日経平均が続落するようならば、リスク回避ムードが強まり、円買い圧力が強まる可能性があります。逆に、反発して引けるようであれば、ドル円の下値を支える要因となるでしょう。

また、米国では今週、感謝祭休暇とそれに続く「年末商戦」入りを控えており、いよいよ個人消費の動向に注目が集まる局面となります。ブラックフライデーやサイバーマンデーの売上動向は、米国の個人消費の力強さを測る上で重要な試金石となります。もし消費が市場の予想を上回る強さを見せれば、米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が後退し、ドルが買われる要因となり得ます。今週を通じて、年末商戦に関するヘッドラインには注意を払う必要があるでしょう。

本日は重要な経済指標の発表がないため、これらのファンダメンタルズ要因や市場心理、そして要人発言といった材料が相場を動かす主役となります。特に、日本の当局による介入警戒感が市場心理を冷やしている中、新たな買い材料が出てくるかどうかが問われる一日となりそうです。

今日の見通し

本日のドル円相場は、先週末からの介入警戒感が上値を抑える一方で、米国の堅調な株価や根強いドル買い需要が下値を支える、神経質な綱引き相場が予想されます。

ファンダメンタルズ分析

本日は日米ともに重要な経済指標の発表がなく、明確な方向性を打ち出す材料に欠ける一日となりそうです。そのため、市場の関心は先週末の片山財務相による円安牽制発言に集中するでしょう。この「口先介入」が市場に与えた影響は大きく、投機的な円売りポジションを構築しにくい地合いが続くと考えられます。政府・日銀が円安に対して強い不快感を示している以上、157円台を試すような動きには強い抵抗が予想されます。

一方で、ドルを支える要因も存在します。先週末の米国株式市場は堅調に推移しており、市場のリスクセンチメントは決して悪くありません。また、米国では年末商戦がスタートし、個人消費の底堅さが確認されれば、FRBの金融引き締め姿勢が長期化するとの観測からドルが買われる可能性があります。日米の金融政策の方向性の違いという、ドル円相場の根底にあるテーマは変わっておらず、下値では押し目買い意欲も根強いと見られます。本日は、この日本の介入警戒感という円買い要因と、米国の底堅い経済への期待というドル買い要因が交錯し、方向感の定まらない展開が想定されます。

テクニカル分析

現在のドル円は、短期的な調整局面に入ったものの、中長期的な上昇トレンドは依然として維持されている状況です。チャートからは、今後の方向性を探る上で重要なシグナルがいくつか見受けられます。

📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
日足チャートでは、短期の25日線が中期・長期の75日線、200日線を上回る「パーフェクトオーダー」が継続しています。これは、上昇トレンドが依然として健全であることを示唆しており、下値の堅固さを示しています。現在の価格は25日線近辺まで調整しており、この水準がサポートとして機能するかが目先の焦点となります。

📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
日足の一目均衡表では、価格は依然として分厚い「雲」の上で推移しており、地合いの強さを示しています。しかし、短期的な勢いを示す転換線が横ばいから下向きに変化し始めており、上昇の勢いが一服していることを示唆します。目先のサポートとしては、基準線や雲の上限が意識されることになりそうです。

📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
日足のMACDを見ると、MACD線がシグナル線を下抜けるデッドクロスの形成が近づいています。また、強弱の勢いを示すヒストグラムもゼロラインに向かって縮小しており、買いのモメンタムが明らかに低下していることが確認できます。これは短期的な調整局面が続く可能性を示唆するサインと言えるでしょう。

主要なサポートとしては先週末の安値圏である156.00円、レジスタンスとしては心理的節目である157.00円が意識されます。

シナリオ分析

↗️ 上昇シナリオ(メインシナリオ:確率60%)
本日のメインシナリオは、下値の堅さを確認した後の緩やかな反発です。強気要因としては、①先週末の米株高を受けたリスクオンムードの継続、②日米の根本的な金利差を背景とした押し目買い需要の根強さ、③米国の年末商戦への期待感が挙げられます。介入警戒感から上値は重いものの、大きな下落材料もない中で、じりじりと下値を切り上げる展開が考えられます。この場合、まずは156.80円の抵抗線を突破し、次の心理的節目である157.00円、さらには介入警戒感が強まる水準である157.20円を目指す動きが考えられます。

↘️ 下落シナリオ(サブシナリオ:確率40%)
サブシナリオとしては、介入警戒感が市場心理を支配し、調整が続く展開です。弱気要因としては、①政府・日銀関係者からの追加的な円安牽制発言、②先週末の流れを引き継いだ日経平均株価の続落によるリスク回避の円買い、③ドルロングポジションのさらなる手仕舞い売りが挙げられます。これらの要因が重なった場合、下値を試す動きが強まるでしょう。この場合、まずは先週末の安値である156.00円を割り込み、次のサポートである155.80円、さらには155.50円を試す展開が想定されます。

各シナリオともに、日本の当局者の発言一つで流れが急変する可能性があるため、常にニュースヘッドラインには注意が必要です。

時間帯別の展開予想

🕘 東京時間
週明けの東京市場は、先週末の片山財務相の発言を消化する動きから始まります。仲値にかけては、輸入企業によるドル買い需要も見込まれますが、輸出企業や投機筋は介入を警戒して円売りに慎重になると予想され、総じて上値の重い展開となりそうです。日経平均株価が反発すれば相場を下支えしますが、続落するようだとリスク回避の円買いが優勢になるでしょう。156円台前半を中心とした、方向感の定まらないもみ合いが続くと見ています。

🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入っても、新たな材料がなければ東京時間からのレンジ相場が継続する可能性が高いです。NY時間に入ると、米長期金利や米国株の動向が主な変動要因となります。米株が続伸し、長期金利も上昇するようであれば、ドル買いが再燃し、156円台後半を試す動きも考えられます。ただし、高値を追う動きには介入警戒感が根強く残るため、一本調子の上昇は見込みにくいでしょう。ロンドンフィキシングやNYクローズにかけても、大きなポジションを傾ける動きは限定的となり、比較的落ち着いた値動きで一日を終えることが予想されます。

今日の予想レンジ

↕️ 予想レンジ:155.80円~157.20円
日本の為替介入への警戒感が上値を抑える一方、根強いドル買い需要が下値を支える構図を想定。このため、比較的狭いレンジ内での神経質な値動きになると予想します。

🔀 上値抵抗線:156.80円、157.20円
156.80円は、先週末の下落に対する戻りの目処として意識される水準です。ここを明確に上抜けると、次のターゲットは心理的な節目であり、当局の警戒レベルが一段と高まるとみられる157.20円となります。この水準では、戻り売り圧力も相当強まるでしょう。

🔀 下値支持線:156.00円、155.80円
156.00円は、先週末に付けた安値圏であり、重要な心理的サポートです。この水準を割り込むと、下落に勢いがつく可能性があります。その場合、次のサポートとしては、テクニカルな節目が重なる155.80円が意識されることになります。

🔃 ブレイクアウト条件
上方向へのブレイクアウトは、157.20円を実体線で明確に上抜けた場合に考えられます。介入警戒感をものともしない強いドル買い材料(例えば、米国の極端に強い経済指標など)が出た場合、ショートカバーを巻き込みながら158円台を目指す動きが加速する可能性があります。下方向では、155.80円を割り込むと、下落トレンドが明確になります。リスクオフムードの強まりや介入期待の高まりが背景となれば、155円台前半への下落も視野に入ってきます。

⚠️ 注意すべきリスク要因
本日最も注意すべきリスクは、政府・日銀関係者からの追加的な円安牽制発言です。特に「あらゆる選択肢を排除しない」といった、より強いトーンの発言が出た場合は、急激な円買いを誘発する可能性があります。また、米国株が突然急落するなど、市場のリスクセンチメントが急変する展開にも警戒が必要です。

☑️ 投資判断における留意点
本日は明確なトレンドが出にくいレンジ相場となる可能性が高いため、高値圏での安易な追随買いは避けるべきでしょう。むしろ、予想レンジの上限・下限を引き付けた上での逆張り戦略が有効となる可能性があります。ただし、ブレイクアウトのリスクも常に念頭に置き、ポジションを持つ際には必ずストップロス注文を設定することが肝要です。特に、介入警戒感がくすぶる中でのドルロングポジションの保有には、慎重な姿勢が求められます。

免責事項

本記事は、為替相場の動向に関する一般的な情報提供・分析を目的としたものであり、特定の通貨ペアの売買や投資を推奨するものではありません。投資判断は、読者ご自身の責任と判断において行ってください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト運営者は一切の責任を負いません。