【ドル円コンパス】今日の為替相場予想(2025年11月21日)

濃紺の背景に『ドル円コンパス/USD/JPY COMPASS』、円とドル記号、コンパスのシンボル、ローソク足。右下に指を立てたロボット。左上に2025年11月21日のカレンダー。

Trader MTです。ドル円は157円台での高止まりが続く中、今日は日本のCPIに加えて、FRB高官発言や米景況感指標がずらりと並ぶイベント密集日です。157円台のレンジをどちらにブレイクするのか、介入警戒も頭に入れつつ、慎重に値動きを追っていきましょう😌(公開時刻:08:32/日本時間)

昨日の振り返り

昨日のドル円相場は、米国の雇用統計が市場予想を上回る強い結果となった一方で、その後の米長期金利低下を受けてドル売り・円買いが入り、指標発表直後には157円後半から157円前半へと大きく振れるなど、乱高下する場面が見られました。もっとも、日米の金融政策の方向性の違いを背景としたドル買い意欲は根強く、下押し局面では押し目買いが入りやすい展開となったほか、158円の大台を前にした政府・日銀による為替介入への警戒感も意識される中、最終的には157円台を中心とした上下動にとどまった一日だったと言えるでしょう。

日付 始値 高値 安値 終値
2025年11月20日 157.136 157.893 156.873 157.444

※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。

東京時間

東京時間のドル円は、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、157円台前半で取引を開始しました。寄り付き後は目立った材料がない中、157円20銭を挟んだ小幅なレンジでの推移が続きました。日経平均株価が堅調に推移したことは、リスク選好の円売りを誘い、ドル円の下値を支える一因となったと考えられます。しかし、積極的に上値を試すほどの勢いはなく、157円台半ばでは戻り売りに押されるなど、神経質な値動きに終始しました。

午前9時55分の仲値公示に向けては、国内輸入企業による実需のドル買い観測が下支え要因となりました。一方で、157円台半ばでは輸出企業によるドル売り・円買いのフローも観測され、需給は比較的均衡していた模様です。政府・日銀関係者からの新たな円安牽制発言などは聞かれませんでしたが、市場は常に当局の動向を注視しており、これが上値を重くする要因として機能していました。結果として、大きな方向感は出ないまま、静かな値動きが続いたのです。

午後に入っても、市場のムードに大きな変化は見られませんでした。欧州勢の本格参入を前に様子見姿勢が強まり、ドル円は157円10銭から40銭程度の非常に狭いレンジ内での取引となりました。テクニカル的には157円00銭の心理的節目がサポートとして意識され、下値の堅さが確認されましたが、上値も限定的でした。結局、東京時間は明確な方向性を見出すことができないまま、欧州・NY時間へとバトンを渡す形となりました。

欧州・NY時間

欧州時間に入ると、ドル円は東京時間からのレンジを引き継ぎ、157円台前半でのもみ合いが継続しました。欧州の主要株価指数がまちまちの動きとなる中、為替市場全体としても動意に乏しく、ユーロドルやポンドドルも限定的な値動きにとどまりました。このため、クロス円相場も方向感が出にくく、ドル円も新たな材料を待つ展開が続いたと言えます。ボラティリティは低いままで、エネルギーを溜め込む時間帯となりました。

NY時間に入り、市場の注目が集まっていた9月の米雇用統計が11.9万人増と市場予想を上回る内容であったことが伝わると、市場の雰囲気が一変しました。しかしながら、米国の長期金利の指標である10年債利回りが低下すると、日米金利差の縮小が意識され、ドル売り・円買いが優勢となりました。ドル円は一時的に157円86近辺から157円22近辺のレンジで大きく値動きがありましたが、下落は限定的ですぐに値を戻すなど、底堅さも示されました。一方で、NYダウ平均が約400ドル安と下落したことは、リスク回避の円買いを誘う要因ともなり、上値の重しとなりました。

NY時間終盤にかけても、ドル円は157円台での上下動に終始しました。米10年債利回りは低下したまま推移しましたが、ドル円の売り圧力は持続しませんでした。市場の不安心理を示す「恐怖指数」が大幅に上昇しており、投資家心理が悪化していることが示唆されましたが、これもドル円の方向性を決定づけるには至りませんでした。結局、ドル円は底堅さを維持したまま157.44円台で取引を終え、本日の重要イベントの結果を見極めたいとの市場参加者の思惑が色濃く反映された一日となりました。

今日の注目材料

本日は、週末を前に日米双方から市場の方向性を決定づける可能性のある重要イベントが多数予定されており、為替市場のボラティリティが大きく高まる可能性があります。特に、日本のインフレ動向を示すCPI、そしてFRBの金融政策の先行きを占う上で重要な複数の高官発言と米国の景況感指数が注目されます。これらの結果次第では、ドル円が現在の157円台のレンジをどちらかにブレイクする展開も十分に考えられるため、細心の注意が必要な一日となるでしょう。

☑️ 11月21日(金)の重要度の高い注目材料
時間 通貨 指標 重要度 前回 予想
08:00 🇺🇸 シカゴ連銀総裁グールズビー氏の発言 ⚡⚡ - -
08:15 🇺🇸 FRB理事ミラン氏の発言 ⚡⚡ - -
08:30 🇯🇵 全国消費者物価指数 ⚡⚡ - -
21:30 🇺🇸 NY連銀総裁ウィリアムズ氏の発言 ⚡⚡ - -
22:30 🇺🇸 FRB理事バー氏の発言 ⚡⚡ - -
22:45 🇺🇸 FRB副議長ジェファーソン氏の発言 ⚡⚡ - -
23:45 🇺🇸 F製造業PMI【速報値】 ⚡⚡ - -

まず東京時間では、8時30分に発表される日本の10月全国消費者物価指数(CPI)が最初の注目点です。ミラン理事はFRB内でもタカ派寄りの人物として知られており、インフレに対する警戒感を改めて示すような発言があれば、ドル買いを誘う可能性があります。一方、日本の全国コアCPIは市場予想で前年同月比+3.0%と、前回の+2.9%からの伸びの加速が見込まれています。予想を上回る強い結果となれば、日銀による金融政策正常化への期待が高まり、円買い圧力が強まる展開が想定されます。

NY時間では、金融政策への影響力が極めて大きいFRB副議長ジェファーソン氏の発言(22時45分)が最大の注目材料と言えるでしょう。FRBのナンバー2として、今後の金融政策の方向性について何らかのヒントが示されるか、市場は固唾をのんで見守ることになります。その後、23時45分には米国の製造業PMI速報値が発表されます。景気の先行指標として注目度が高く、市場予想(52.0前後)を下回る弱い結果となれば、米景気の減速懸念からドル売りに繋がる可能性があります。そして、本日深夜24時(=11月22日0時)には11月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値が控えています。特に、消費者のインフレ期待を示す項目が再び上昇するようなことがあれば、FRBの利下げ期待が後退し、ドルが買い戻される要因となり得ます。

これらの経済指標や要人発言に加え、158円を目前にした政府・日銀による為替介入への警戒感も、引き続きドル円の上値を抑える要因として強く意識されるでしょう。

今日の見通し

本日のドル円相場は、日米の重要指標やFRB高官発言を消化しながら、157円台を中心とした神経質な展開が予想されます。底堅い地合いは継続するものの、介入警戒感が上値を抑える構図に変化はなく、材料次第で上下に振れやすい相場となるでしょう。

ファンダメンタルズ分析

ファンダメンタルズの観点からは、日米の金融政策の方向性の違いがドル円の根底にあるサポート要因であることに変わりはありません。FRBが高インフレ抑制のために引き締め的な金融政策を維持する姿勢を見せる一方、日銀は当面、緩和的な金融環境を継続するとの見方が大勢です。この金利差を背景としたドル買い・円売り圧力は根強く、ドル円が大きく崩れる展開は想定しにくい状況です。

しかし、本日はこの構図を揺るがしかねない材料が複数控えています。日本のCPIが市場予想を大幅に上回れば、日銀の政策修正期待が再燃し、円買い戻しが強まる可能性があります。逆に、米国のPMIなどが景気減速を強く示唆し、FRB高官からハト派的な発言が相次ぐようであれば、米国の利下げ観測が前倒しされ、ドルが売られる展開も考えられます。

現在の市場は、この日米の金融政策の綱引きに加え、日本の通貨当局による為替介入という不確定要素を織り込みながら動いています。158円に近づくにつれて介入リスクは高まるため、ファンダメンタルズ的にドル高が正当化される局面であっても、一本調子の上昇は期待しにくいと言えるでしょう。

テクニカル分析

テクニカル的には、ドル円は依然として強い上昇トレンドの範疇にあります。しかし、高値圏での推移が続く中で、過熱感も意識され始めており、調整への警戒も怠れない状況です。

📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
日足チャートでは、短期の25日線、中期の75日線、長期の200日線が全て上向きを維持し、価格がこれらの線の上で推移する「パーフェクトオーダー」が継続しています。これは典型的な強い上昇トレンドを示唆しており、地合いの強さを裏付けています。目先は25日移動平均線が重要な下値支持線として機能すると考えられます。

📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
日足の一目均衡表では、転換線が基準線を上回り、価格が厚い「雲」のはるか上方に位置する「三役好転」の買いシグナルが点灯中です。先行スパンで形成される雲も上向きであり、先行きに対する強気の見方を示しています。短期的には、転換線や基準線がサポートとして意識されるでしょう。

📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDはシグナルラインを上回って推移しており、買いシグナルが継続しています。ただし、MACDとシグナルラインの乖離が縮小し始めたり、ヒストグラム(MACDとシグナルラインの差)が伸び悩んだりするようであれば、上昇の勢いが鈍化しているサインと捉えることができ、注意が必要です。

主要なサポートとしては157.00円の心理的節目、レジスタンスとしては直近高値圏である157.80円や158.00円の節目が意識されます。

シナリオ分析

↗️ 上昇シナリオ(メインシナリオ:確率60%)
日本のCPIが市場予想の範囲内にとどまるか下振れし、円買い材料とならない場合。さらに、米国のPMIが底堅さを示し、ジェファーソン副議長をはじめとするFRB高官がインフレへの警戒を緩めないタカ派的な姿勢を維持した場合、ドル買いが優勢となるでしょう。日米金利差の拡大観測が改めて意識され、押し目買いが活発化することが想定されます。この場合、まずは直近高値圏である157.80円を突破し、次の心理的節目である158.00円、さらには介入警戒感を試す形で158.20円を目指す動きが考えられます。

↘️ 下落シナリオ(サブシナリオ:確率40%)
日本のCPIが市場予想を大きく上回り、日銀の政策修正期待が急速に高まった場合。または、米国の経済指標が軒並み悪化し、FRB高官から景気への懸念などハト派的なトーンの発言が聞かれた場合、ドル売り・円買いの流れが強まる可能性があります。加えて、週末を前にしたポジション調整の売りや、介入警戒感からの利益確定売りが重なることも下落要因となり得ます。この場合、まずは心理的節目の157.00円を割り込み、次のサポートである156.80円、さらには156.50円を試す展開が想定されます。

時間帯別の展開予想

🕘 東京時間
8時30分の日本のCPI発表が最大の焦点となります。結果が予想から大きく乖離すれば、発表直後からボラティリティが高まるでしょう。CPIが強く円買いで反応した場合でも、仲値にかけての輸入企業のドル買い需要が下値を支える可能性があります。日経平均株価が堅調に推移すれば、リスク選好の円売りが相殺要因となり、157円台前半でのもみ合いに終始する可能性も十分にあります。

🕔 欧州・NY時間
欧州時間は、NY時間に発表される重要イベントを前に様子見ムードが強まり、比較的小動きとなることが予想されます。NY時間に入ると、22時45分のジェファーソンFRB副議長の発言を皮切りに、米PMI、ミシガン大学消費者信頼感指数と立て続けに重要材料が発表されます。これらの結果に市場が一喜一憂し、値動きが荒くなる展開が想定されます。米長期金利の動向を睨みながら、ドル買いが強まれば158円の大台を試す一方、ドル売りが強まれば156円台後半への下落も視野に入ってきます。ロンドンフィキシングにかけては、週末を控えたポジション調整のフローにも注意が必要です。

今日の予想レンジ

↕️ 予想レンジ:156.80円~158.20円
日米の重要指標とFRB高官発言を控え、ボラティリティの上昇が警戒されます。根強い押し目買い意欲が下値を支える一方、介入警戒感が上値を抑える神経質な展開を予想します。

🔀 上値抵抗線:157.80円、158.00円
157.80円は昨日の高値圏であり、最初の抵抗線として意識されます。ここを明確に上抜けると、心理的な大台であり、政府・日銀による介入が強く警戒される158.00円が次のターゲットとなります。この水準では、当局の動向を睨みながら、戻り売り圧力も強まることが予想されます。

🔀 下値支持線:157.00円、156.80円
157.00円は心理的な節目であり、昨日もサポートとして機能した重要な水準です。ここを割り込むと、短期的な押し目買いが入りやすい水準として156.80円が意識されます。このレベルも下抜けるようであれば、下落基調が強まる可能性があり、次の節目である156.50円が視野に入ってきます。

🔃 ブレイクアウト条件
上方向へのブレイクアウトは、158.00円を実体で明確に上抜けることが条件となります。米国の強い経済指標とFRB高官のタカ派発言が重なるなど、ファンダメンタルズ面での強い後押しがあれば、介入警戒感を振り切って158.20円、さらには158.50円を目指す展開も考えられます。下方向では、156.80円を割り込むと下落に勢いがつく可能性があります。日本の強いCPIや米景気減速懸念が強まった場合に想定され、156円台半ばまでの調整が進むシナリオです。

⚠️ 注意すべきリスク要因
最大のリスク要因は、引き続き政府・日銀による円買い介入です。特に158円の大台に接近、あるいは突破した場合には、いつ介入が実施されてもおかしくない状況と言えます。また、FRB高官から市場の想定を大きく超えるハト派的な発言(利下げを示唆するなど)が飛び出した場合、ドルの急落リスクも念頭に置く必要があります。地政学リスクの急な高まりにも注意が必要です。

☑️ 投資判断における留意点
本日は重要イベントが相次ぐため、ポジションを持つ際には細心の注意が求められます。特に指標発表や要人発言の直前直後は、スプレッドが拡大し、価格が急変動するリスクがあります。トレードを行う際は、事前に損切りラインを明確に設定し、許容できるリスクの範囲内で取引を行うことが極めて重要です。また、週末を控えているため、ポジションを持ち越す際には週末のリスクも考慮した上で判断することをお勧めします。

免責事項

本記事は、為替相場の動向に関する一般的な情報提供・分析を目的としたものであり、特定の通貨ペアの売買や投資を推奨するものではありません。投資判断は、読者ご自身の責任と判断において行ってください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト運営者は一切の責任を負いません。