おはようございます。Trader MTです。ドル円は155円台での高止まりが続きます。今日は週末金曜日、実需フローも落ち着きやすく、ポジション調整が中心の展開になりそうです。大きな材料は乏しいだけに、155円台維持となるか注目です。それでは、今日も相場をチェックしていきましょう😌(公開時刻:08:06/日本時間)
昨日の振り返り
昨日のドル円相場は、米国の政治情勢を巡る不透明感から神経質な展開となりました。東京時間に一時155円台まで上昇する場面がありましたが、米政府機関再開のニュースを受けて材料出尽くし感が広がり、ニューヨーク時間にかけてはドル売りが優勢となりました。米株式市場の大幅な下落もリスク回避の円買いを誘い、ドル円は高値から1円近く下落して取引を終えるなど、ボラティリティの高い一日だったと言えるでしょう。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年11月13日 | 154.793 | 155.017 | 154.126 | 154.510 |
※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。
東京時間
11月13日木曜日の東京市場において、ドル円は前日の流れを引き継ぎ、底堅い展開で始まりました。寄り付き後、ドル円は一時155円台に乗せるなど、上値を試す動きが先行しました。この背景には、堅調に推移した日経平均株価(終値で+0.43%)がリスクセンチメントを支え、円売り・ドル買いを後押しした側面があります。しかし、155円という心理的な節目では上値の重さも意識され、積極的な買いは限定的でした。
仲値にかけては、国内輸入企業による実需のドル買い観測が相場を下支えした一方で、155円台という高値水準では輸出企業によるドル売り・円買いのオーダーも観測され、需給が交錯する形となりました。また、日本政府・日銀による円安進行を牽制する発言への警戒感も根強く、市場参加者は高値追いに慎重な姿勢を崩しませんでした。目立った経済指標の発表がなかったこともあり、市場は米国の政治動向に注目が集まっていました。
午後に入ると、155円台が短期的なレジスタンスとして機能し、利益確定の売りに押される場面が見られました。その後、引けにかけては再び買い戻される動きもありましたが、明確な方向感を出すには至らず、154円台後半でのもみ合いのまま欧州時間へと取引を引き継ぎました。東京時間全体としては、上昇基調は維持しつつも、155円の壁を前に足踏み状態となった格好です。
欧州・NY時間
欧州時間に入ると、ドルは主要通貨に対して軟調な展開となりました。米国のつなぎ予算法案の行方を見極めたいとのムードが広がる中、ドル円は一時154円台前半まで下落しました。欧州の主要株価指数がまちまちの動きとなる中、ユーロドルやポンドドルが対ドルで堅調に推移したことも、相対的なドル安圧力となり、ドル円の上値を抑える要因となった模様です。
ニューヨーク時間に入ると、米つなぎ予算法案が成立し、政府機関の再開が決定したことが伝わりました。しかし、市場はこれを好感する動きとはならず、むしろ「噂で買って事実で売る(セル・ザ・ファクト)」展開となり、ドル売りが一段と加速しました。この動きを決定づけたのが、米株式市場の急落です。ダウ平均は797ドル安、S&P500種指数も1.66%安と大幅に下落し、投資家心理が急速に悪化。リスク回避の動きから安全資産とされる円が買われ、ドル円は下押し圧力を受けました。
市場の不安心理を反映し、恐怖指数(VIX)は大きく上昇しました。また、米10年債利回りは、政府機関再開にもかかわらず先行きの不透明感を背景に4.112%へと上昇しましたが、この日は金利上昇によるドル買いよりも、株安を背景としたリスク回避の円買いとドル売りが優勢となりました。これまで積み上がっていたドルロング・円ショートのポジションを解消する動きも活発化し、ドル円は154円51銭近辺でこの日の取引を終えました。
今日の注目材料
※本来、本日は米国で「生産者物価指数(PPI)」や「小売売上高」の発表が予定されていますが、政府閉鎖の影響により予定通りに公表されるかどうかは不透明な状況です。最新の発表スケジュールについては、米国労働統計局(BLS)の公式発表を確認する必要があります。指標発表の有無にかかわらず、市場では不透明感が強まる可能性があり、ポジション管理には十分な注意が求められます。
執筆時点(日本時間11月14日 08:00)では、日本ならびに米国において注目すべき経済指標の発表は確認されていません。そのため、市場の関心はテクニカルな要因や、昨日大きく変動した金融市場の動向、そして米国の政治情勢といったファンダメンタルズ要因に集中することになるでしょう。材料難の中、市場参加者のセンチメントが相場の方向性を左右する一日となりそうです。
まず最大の注目点は、昨日のリスクオフムードが継続するかどうかです。ニューヨーク市場でダウ平均が797ドル安と急落した流れを受け、本日の東京株式市場、ひいては欧米の株式市場がどのような反応を示すかが焦点となります。株価の下落が続くようであれば、リスク回避姿勢が強まり、安全資産とされる円が買われやすい地合いが続く可能性があります。投資家の不安心理を示す恐怖指数(VIX)が昨日に引き続き高い水準で推移するかどうかも、市場センチメントを測る上で重要な指標となるでしょう。
次に、米長期金利の動向からも目が離せません。昨日は株価が大幅に下落する一方で、米10年債利回りは4.112%へと上昇しました。通常、リスク回避時には金利は低下する傾向がありますが、昨日は逆の動きとなりました。これは、米国の財政に対する懸念やインフレ期待が根強いことを示唆している可能性があり、市場の不透明感を増幅させる要因です。金利がさらに上昇すれば日米金利差からドル円を下支えする一方、株価への圧迫要因ともなり、ドル円の方向感を複雑にするでしょう。
また、米国の政治情勢も引き続き材料視されます。つなぎ予算法案は成立しましたが、これはあくまで政府閉鎖を一時的に回避したに過ぎません。今後の本格的な予算審議を巡っては、議会内の対立が激化するとの懸念が燻っており、これが昨日の市場の不透明感につながりました。政治的なヘッドラインには引き続き注意が必要です。
経済指標の発表がない分、金融当局者による発言への感応度が高まる可能性もあります。特に、市場のボラティリティが高まっている状況下で、FRB(米連邦準備制度理事会)や日銀の関係者から金融政策や市場の安定に関する発言が出た場合、相場が大きく反応する展開も考えられます。
今日の見通し
米政府機関再開という目先の好材料が出尽くした一方、根強い不透明感からリスク回避ムードが優勢となっています。執筆時点では本日の重要指標の発表の予定が確認されておらず、米株や長期金利の動向を睨みながらの神経質な展開が予想されます。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ面では、本日は新たな手掛かり材料に乏しい一日となる見込みです。市場の関心は、昨日の米株急落(ダウ-797ドル)と恐怖指数(VIX)の上昇によって示された、投資家心理の悪化がどこまで続くかに集約されます。米国のつなぎ予算成立はポジティブなニュースでしたが、市場はむしろその先の本格的な予算審議を巡る政治的対立を懸念しており、楽観ムードは広がっていません。
このリスクオフの流れが継続する場合、伝統的な安全資産である円には買い圧力がかかりやすく、ドル円の上値は重くなるでしょう。特に、米株価が続落するような展開になれば、クロス円での円買いも強まり、ドル円を押し下げる要因となり得ます。
一方で、ドル円の下値を支える要因も存在します。米10年債利回りが4.1%台という高い水準を維持していることは、依然として大きい日米の金利差を市場に意識させます。この金利差を背景としたドル買い・円売りの需要は根強く、ドル円が大きく下落する場面では押し目買いが入りやすいと考えられます。材料難の中、リスク回避の円買いと金利差を背景としたドル買いが綱引き状態となり、方向感の定まらない展開が続く可能性が高いと見ています。
テクニカル分析

昨日、一時155円台まで上昇した後に反落したことで、上値の重さが強く意識される形となりました。短期的な方向感を探る重要な局面にあり、各テクニカル指標も強弱入り混じったシグナルを発しています。
📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
日足チャートでは、価格が依然として25日移動平均線の上方で推移しており、短期的な上昇トレンドは維持されています。ただし、直近の下落により25日線との乖離が縮小しており、上昇の勢いがやや鈍化している印象です。中期の75日線は緩やかに上向いており、長期の200日線はまだ横ばい圏内ながらも、全体としてはドル高・円安基調が続いています。
📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
一目均衡表では、ローソク足が雲の上限を大きく上抜けた位置にあり、強気の地合いが継続しています。遅行スパンもローソク足を上回っており、転換線が基準線を上抜く「三役好転」が維持された状態です。ただし、転換線が横ばいに転じつつあり、短期的な上昇モメンタムの低下を示唆しています。
📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDは、MACD線がシグナル線を上回るゴールデンクロスを維持していますが、両線の乖離が急速に縮小しています。このまま価格が伸び悩むと、デッドクロスを形成する可能性も出てきました。上昇の勢いを示すヒストグラムも縮小傾向にあり、買いの勢いが衰えていることを示唆しています。
主要なサポートとしては昨日の安値圏である154円台前半、レジスタンスとしては昨日上値を抑えられた155円台が意識されます。
シナリオ分析
↗️ 上昇シナリオ(メインシナリオ:確率60%)
昨日の株安が一過性のもので、本日の米国市場で自律反発の動きが見られることが最も有力な強気要因です。具体的な要因としては、(1)米株価が反発し、リスクセンチメントが改善すること、(2)米長期金利が4.1%台を維持、あるいはさらに上昇し、日米金利差を意識したドル買いが再燃すること、(3)日本当局からの円安牽制発言などが見られず、介入警戒感が後退することが挙げられます。
この場合、まずは心理的節目の155.00円を突破し、次の心理的節目である155.50円、さらには昨日の高値圏である155.80円を目指す動きが考えられます。
↘️ 下落シナリオ(サブシナリオ:確率40%)
昨日のリスクオフムードが継続・悪化するシナリオです。具体的な弱気要因としては、(1)米株式市場が続落し、リスク回避の円買いが一段と強まること、(2)米国の政治的混乱への懸念が再燃し、ドルが主要通貨に対して包括的に売られること、(3)週末を前にポジション調整のドル売りが優勢になることなどが考えられます。
この場合、まずは昨日の安値である154.20円を割り込み、次のサポートである154.00円、さらには25日移動平均線が位置する153円台半ばを試す展開が想定されます。
各シナリオの実現可能性は、本日夕方以降の米株先物や米長期金利の動向に大きく左右されるでしょう。
時間帯別の展開予想
🕘 東京時間
昨日の米株大幅安を受けて、日経平均株価は軟調なスタートとなる可能性が高いでしょう。株安はリスク回避の円買いを誘いやすく、ドル円は朝方から上値の重い展開が予想されます。仲値にかけては、実需筋のフローが注目されます。輸入企業のドル買い需要が下支えとなる一方、155円に近づく場面では輸出企業のドル売りも控えており、大きな方向性は出にくいかもしれません。週末・ゴトー日(五十日)でもあるため、実需のフローが通常より活発化し、一時的に値が振れる可能性には注意が必要です。
🕔 欧州・NY時間
欧州時間も、引き続き米株先物や欧州株の動向を睨んだ展開が続くと考えられます。NY時間に入ると、米株式市場が昨日の下げから立ち直れるかが最大の焦点となります。市場が落ち着きを取り戻せばドル円は買い戻される可能性がありますが、下落が続くようであればリスクオフの円買いが優勢となるでしょう。本日は重要指標がないため、市場参加者のポジション調整の動きが中心となりそうです。特に週末を控えていることから、利益確定やリスク回避のためのポジション解消のフローが活発化し、NY市場の引けにかけてボラティリティが高まる展開も想定されます。
今日の予想レンジ
↕️ 予想レンジ:154.00円~155.20円
昨日のリスクオフ地合いと根強いドル買い需要が交錯し、方向感の出にくい展開を予想します。米株の動向次第で上下に振れる可能性があります。
🔀 上値抵抗線:155.00円、155.20円
155.00円は心理的な大台であり、昨日も上値を抑えられた重要なレジスタンスとして機能しています。ここを明確に上抜けることができれば、昨日の高値圏である155.20円が次のターゲットとなります。この水準では利益確定売りや政府・日銀による介入への警戒感も再び高まりやすく、強い抵抗が予想されます。
🔀 下値支持線:154.20円、154.00円
154.20円は昨日のNY時間で下値が支えられた水準であり、最初のサポートラインとして意識されます。このレベルを割り込むと、次の心理的節目である154.00円が視野に入ります。この水準は短期的な押し目買いが入りやすいポイントと見られ、重要な支持線として機能するかどうかが注目されます。
🔃 ブレイクアウト条件
上方向では、155.20円を実体線で明確に上抜けた場合、短期的な調整が終了し、再び上昇トレンドが勢いづくと判断されそうです。その場合、ロング勢が追随し、155円台後半を目指す展開が考えられます。下方向では、154.00円の節目を割り込むと、下落に勢いがつき、短期的な調整局面入りと市場に認識される可能性があります。その際は、153円台への下落も視野に入ってくるでしょう。
⚠️ 注意すべきリスク要因
最も注意すべきは、米株式市場のさらなる下落です。市場心理が一段と悪化した場合、リスク回避の円買いが想定以上に強まり、ドル円が急落するリスクがあります。また、週末を控えているため、ウクライナ情勢や中東情勢など、地政学リスクに関する突発的なニュースにも警戒が必要です。これらのニュースは市場のセンチメントを急変させる可能性があります。
☑️ 投資判断における留意点
本日は明確なトレンドが出にくく、設定したレンジ内での神経質な値動きが予想されます。そのため、高値圏での売り、安値圏での買いといった短期的な逆張り戦略が有効となる可能性があります。ただし、米株の動向次第ではボラティリティが急上昇するリスクもあるため、取引を行う際にはストップロス注文を必ず設定し、リスク管理を厳格に行うことが極めて重要です。
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