【ドル円コンパス】今日の為替相場予想(2025年11月03日)

濃紺の背景に『ドル円コンパス/USD/JPY COMPASS』、円とドル記号、コンパスのシンボル、ローソク足。右下に指を立てたロボット。左上に2025年11月3日のカレンダー。

おはようございます。FX歴15年のTrader MTです。
今日から『ドル円コンパス』を配信します。月曜日〜金曜日の毎朝8時ごろ、ドル円の昨日の動きと今日の注目ポイントを整理して、相場の方向感をサクッと掴んでもらえるよう、トレードの指針にしてもらえたらうれしいです。読んでみて少しでも『いいね!』と思ったら、記事下のグッドボタンをポチッとお願いします👍
(公開時刻:09:35/日本時間)

先週末の振り返り

10月31日のドル円相場は154円台を中心とした高値圏での神経質な値動きに終始しました。週前半に付けた高値を維持しつつも、週末・月末要因が重なる中で積極的な売買は手控えられ、次第に方向感を失っていく展開となりました。特に、日本の株式市場が歴史的な高値を更新する中でも円売りが一方的に進むことはなく、政府・日銀による為替介入への警戒感が市場参加者の心理的な重石となった一週間であったと言えるでしょう。

日付 始値 高値 安値 終値
2025年10月31日 154.113 154.415 153.647 154.004

※当データはTradingViewの日足チャートに基づいています。

東京時間

先週金曜日、10月31日の東京市場のドル円は、154円台前半での比較的落ち着いたスタートとなりました。この日の市場の最大の注目材料は、日経平均株価の動向でした。日経平均は企業の好決算を背景に買いが途切れず、取引時間中には史上初となる5万2,000円台に乗せ、終値では前日比+2.12%高の52,411.34円という歴史的な高値で取引を終えました。このリスクオンの流れは通常であれば円売り・ドル買いを誘発しやすい地合いですが、ドル円の上値は限定的でした。154円台半ばに近づく場面では戻り売りに押され、株価ほどの力強い上昇には繋がりませんでした。

仲値にかけては、月末要因から輸入企業のドル買い需要が観測されたものの、輸出企業による円買い戻しも見られ、需給は概ね均衡していた模様です。市場の関心は、同日に開催されていたAPEC首脳会議における中国主席の発言にも向けられました。中国主席が多国間貿易の保護を訴え、日本やカナダの首脳と会談したことが報じられましたが、為替市場への直接的な影響は限定的でした。むしろ、週末を控えていることに加え、154円台という水準が定着する中、日本政府・日銀による為替介入への警戒感が根強く、上値を積極的に買い進む動きは抑制された形です。

結局、東京時間のドル円は、日経平均の歴史的な上昇を横目に、154円台前半を中心とした狭いレンジ内での取引に終始しました。154円台前半がサポートとして機能する一方、154円台半ばでは上値の重さが確認され、引けにかけては「週末を前に慎重な動き」が支配的となりました。日本時間8時から17時にかけては、株高という追い風がありながらも、介入警戒感という向かい風がそれを相殺し、方向感の乏しい展開で週の取引を終えることになったのです。

欧州・NY時間

欧州時間に入っても、ドル円の動意は限定的でした。ロンドン為替概況で伝えられた通り、「週末控えて小動き ドル円154円台前半」という状況が続き、東京時間からの流れを引き継ぐ形となりました。欧州の主要株式市場では、英FTSE100指数が-0.44%と軟調に推移しましたが、これがリスクオフの円買いを誘うほどの材料とはならず、ドル円相場への影響はほとんど見られませんでした。ユーロドルやポンドドルも小動きに終始し、クロス円相場も方向感に欠ける展開だったことが、ドル円の膠着感を一層強めた要因と考えられます。

ニューヨーク時間もこの流れは変わらず、「前日の急速な上げ一服も154円台での推移継続」という状況でした。米国の株式市場は、ダウ平均が+0.09%、S&P500種指数が+0.26%と小幅ながらプラス圏で引けましたが、相場全体のセンチメントを大きく変えるには至りませんでした。この時間帯、特に注目されるような経済指標の発表はなく、市場参加者は手掛かり材料難の中で様子見姿勢を強めました。週末・月末のポジション調整のフローが中心となり、積極的な取引は手控えられた模様です。

このような静かな市場環境の中、ドル円相場の下値を支えたのは、依然として高水準で推移する米長期金利でした。米10年債利回りは4.083%前後で安定的に推移しており、日米の金利差を意識したドル買い需要が相場を支えました。結果として、ドル円は大きな下押しもなく、154円台を維持したまま週の取引を終えました。日本時間17時から翌朝にかけては、明確な方向感は出なかったものの、高値圏での底堅さを示す形でクローズし、来週以降の展開に含みを残す結果となりました。

今日の注目材料

週明け月曜日の本日、11月3日は、一見すると静かなスタートに見えますが、市場の方向性を占う上で重要な材料が控えています。特に、米国が冬時間に移行したことで日本との時差が1時間拡大し、経済指標の発表時間などが変更になる点には注意が必要です。

☑️ 11月3日の重要度の高い注目材料
時間 通貨 指標 重要度 前回 予想
24:00 🇺🇸 ISM製造業PMI ⚡⚡⚡ 49.1 49.0

まず、本日最大の注目点は、日本時間深夜(11月4日0:00)に発表される米国の10月ISM製造業PMI(以下、ISM製造業景気指数)です。これは米国の製造業の景況感を測る重要な先行指標であり、市場の注目度が非常に高い指標です。この結果が市場予想を上回るか下回るかで、米国の景気に対する見方が変化し、FRBの金融政策への思惑を通じてドル円相場を大きく動かす可能性があります。同時に発表されるPMI(購買担当者景気指数)の確報値も、景気の現状を把握する上で参考にされるでしょう。

一方で、市場の重石となっているのが「米政府閉鎖史上最長」という状況です。政府機関の一部閉鎖が長期化することにより、経済活動への悪影響が懸念されるだけでなく、経済指標の発表にも影響を及ぼす可能性があります。本日発表が予定されている9月の建設支出などの政府関連統計が、予定通り公表されるかどうかも不透明な状況です。こうした不確実性は、リスク回避の動きを強め、ドルの上値を抑える要因となり得ます。

政治動向では、先週末にAPECの場で中国主席が多国間貿易の保護を訴えたことが、週明けのアジア市場でどのように消化されるかが注目されます。米中関係や世界経済の先行きに対する市場心理に影響を与える可能性があります。

本日は、これら複数の材料が絡み合う複雑な地合いが予想されます。日中は目立った材料がないため様子見ムードが広がりやすいものの、深夜の米ISM製造業景気指数の発表を前に、米長期金利や株価の動向に振らされやすい展開となるでしょう。政府閉鎖に関する新たな報道や、当局者からの突発的な発言にも警戒が必要です。

今日の見通し

本日のドル円相場は、深夜に発表される米ISM製造業景気指数を待つ展開となり、それまでは米政府閉鎖の長期化を巡る報道を睨みながら、154円台での方向感を探る動きが中心となりそうです。

ファンダメンタルズ分析

ファンダメンタルズ面では、強弱両方の材料が混在しており、神経質な展開が予想されます。最大の注目材料である米ISM製造業景気指数が市場予想を上回る強い結果となれば、米国の景気後退懸念が和らぎ、FRBによる金融引き締めが長期化するとの観測から米長期金利が上昇し、ドル買いが強まるでしょう。この場合、155円の節目を試す動きが本格化する可能性があります。

一方で、史上最長となっている米政府閉鎖の経済への悪影響が意識されれば、リスク回避的な円買い(ドル売り)が優勢になる場面も想定されます。政府閉鎖が長引くほど、個人消費や企業活動へのダメージが深刻化し、景気の先行き不透明感を強めるため、ドルの上値を重くする要因となります。ISMの結果が市場予想を下回る弱い内容だった場合、この政府閉鎖の悪影響と相まって、ドル売りが加速するリスクも考えられます。

日米の金融政策の方向性の違いという、ドル円相場の根底にあるテーマは依然としてドルを支える要因です。しかし、155円という心理的節目を前に、日本政府・日銀による円買い介入への警戒感は非常に強く、一本調子での上昇は難しいでしょう。本日はこれらの強弱材料の綱引きとなり、深夜の指標発表までは明確な方向性が出にくい地合いとなりそうです。

テクニカル分析

現在のドル円相場は、短期的な上昇トレンドが継続しているものの、154円台では上値の重さも明確に意識されています。各テクニカル指標は地合いの強さを示唆しつつも、一部では過熱感も見られ始めており、調整が入る可能性にも注意が必要です。

📈 移動平均線(25日・75日・200日線)
短期の25日線、中期の75日線、長期の200日線の全てが上向きを維持しており、価格もこれらの線の上で推移しています。これは典型的な「パーフェクトオーダー」の形状であり、強力な上昇トレンドが継続していることを示唆しています。当面は、上昇の過程でサポートとして機能してきた25日移動平均線が下値の目処として意識されるでしょう。

📈 一目均衡表(雲・基準線・転換線)
日足の一目均衡表では、ローソク足は分厚い「雲」のはるか上で推移しており、地合いの強さを裏付けています。また、短期的な勢いを示す転換線が、中期的な方向性を示す基準線を上回る状態が続いており、遅行スパンも日々線の上方に位置していることから、「三役好転」の買いシグナルが点灯中です。目先のサポートとしては、転換線や基準線が意識されることになります。

📈 MACD(シグナル・ヒストグラム)
MACDはシグナル線を上回って推移しており、買い優勢の状況を示しています。しかし、MACDとシグナル線の乖離幅を示すヒストグラムは、徐々に縮小傾向にあります。これは、上昇のモメンタム(勢い)がやや鈍化してきていることを示唆しており、トレンド転換の可能性も視野に入れ始めるべきサインと解釈できます。

主要なサポートレベルは154.00円の心理的節目や25日移動平均線が位置する153円台前半、レジスタンスは先週高値圏の154円台後半から心理的節目である155.00円が意識されます。

シナリオ分析

↗️ 上昇シナリオ(メインシナリオ:確率60%)
強気要因としては、①本日深夜に発表される米ISM製造業景気指数が市場予想を上回る強い結果となること、②米長期金利が再び上昇基調を強めること、③日経平均株価を始めとする世界的な株高基調が続き、リスクオンの円売りが優勢になること、が挙げられます。これらの要因が重なれば、日本政府・日銀による介入警戒感をこなしながら、上値を試す展開が予想されます。この場合、まずは先週の高値圏である154.50円を突破し、次の心理的節目である155.00円、さらには155.50円を目指す動きが考えられます。

↘️ 下落シナリオ(サブシナリオ:確率40%)
弱気要因としては、①米ISM製造業景気指数が予想外に悪化し、米国の景気後退懸念が再燃すること、②史上最長となっている米政府閉鎖問題がさらに深刻化し、リスク回避ムードが市場全体に広がること、③日本政府・日銀の当局者から市場の円安進行を強く牽制する発言が飛び出し、介入警戒感が極度に高まること、が考えられます。これらの要因が顕在化した場合、利益確定売りや新規のドル売りが優勢となるでしょう。この場合、まずは154.00円の心理的サポートを割り込み、次のサポートである153.50円、さらには25日移動平均線が位置する153.00円近辺を試す展開が想定されます。

時間帯別の展開予想

🕘 東京時間
東京時間は、先週末の海外市場の流れを引き継ぎ、154円台前半での静かなスタートが予想されます。日経平均株価が先週末の史上最高値更新の流れを維持できるかが、市場心理を測る上で一つの焦点となります。株価が堅調に推移すれば、ドル円の下値は支えられるでしょう。仲値にかけては目立った実需のフローは想定しにくいものの、輸入企業からの押し目買い意欲は根強いと考えられます。ただし、154円台後半では介入警戒感から上値も重く、深夜の米指標発表を前に積極的な取引は手控えられ、レンジ内での揉み合いに終始する可能性が高いと見ています。

🕔 欧州・NY時間
欧州時間に入っても、引き続き様子見ムードが支配的となりそうです。欧州の株式市場や長期金利の動向に反応する場面はあるかもしれませんが、トレンドを形成するほどの動きには繋がりにくいでしょう。NY時間に入ると、市場の関心は深夜0:00に発表される米ISM製造業景気指数に完全にシフトします。発表までは米長期金利の動向を睨みながらの神経質な展開が続き、指標の結果を受けてボラティリティが急上昇する可能性があります。予想を上回ればドル買い、下回ればドル売りという素直な反応が予想されますが、米政府閉鎖問題に関するヘッドラインにも振らされやすく、一筋縄ではいかない展開も想定しておく必要があります。

今日の予想レンジ

↕️ 予想レンジ:153.80円~155.00円
本日深夜の米重要指標の発表を控え、日中は様子見ムードが強まる見込みです。指標結果次第では上値を試す展開も想定される一方、介入警戒感が上値を、根強いドル買い需要が下値を支え、このレンジ内での推移を予想します。

🔀 上値抵抗線:154.50円、155.00円
第一の上値抵抗線は、先週からの高値圏である154.50円となります。ここを明確に突破するには強い材料が必要ですが、抜けた場合は市場参加者が強く意識する心理的な大台である155.00円が次のターゲットとなります。155.00円は、政府・日銀による為替介入が最も警戒される水準であり、非常に強力なレジスタンスとして機能するでしょう。

🔀 下値支持線:154.00円、153.80円
第一の下値支持線は、154.00円の心理的節目です。この水準では押し目買い意欲も強いと考えられますが、割り込んだ場合は短期的な調整ムードが強まる可能性があります。その場合、次のサポートとして意識されるのが、先週の安値圏でもある153.80円近辺となります。ここが維持されるかどうかが、目先のトレンドを判断する上で重要になります。

🔃 ブレイクアウト条件
上方向へのブレイクアウトは、155.00円を明確に上抜けることが条件となります。これには、市場予想を大幅に上回る米ISM製造業景気指数の結果や、米長期金利の急騰といった強力なドル買い材料が必要です。下方向へのブレイクアウトは、153.80円を割り込むケースです。弱い米経済指標と米政府閉鎖問題の深刻化が重なり、リスクオフムードが市場を支配した場合、調整売りが加速し、下落トレンドへと転換する可能性が出てきます。

⚠️ 注意すべきリスク要因
最大のリスク要因は、日本政府・日銀による実弾介入です。特に155円に近づくにつれてそのリスクは増大し、当局者からの円安牽制発言だけでも相場が急落する可能性があります。また、史上最長となっている米政府閉鎖問題に関して、経済への悪影響を示すネガティブな報道が出た場合も、リスク回避の円買いが強まる可能性があるため、関連ニュースには常に注意を払う必要があります。

☑️ 投資判断における留意点
本日は、深夜の米ISM製造業景気指数の発表までは方向感が出にくい展開が予想されるため、無理なポジションメイクは避けるのが賢明です。指標発表前後は価格が乱高下する可能性があるため、取引を行う際は必ずストップロス注文を設定し、リスク管理を徹底してください。高値圏での取引であるため、常に急な反落リスクを念頭に置き、慎重なスタンスで臨むことが重要です。

免責事項

本記事は、為替相場の動向に関する一般的な情報提供・分析を目的としたものであり、特定の通貨ペアの売買や投資を推奨するものではありません。投資判断は、読者ご自身の責任と判断において行ってください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト運営者は一切の責任を負いません。